本日付け日経新聞朝刊「経済教室」は、小池和男・法政大名誉教授。
海外進出した日本企業で活動する人々が、今後の日本の雇用・成長を支えるとの論。
本主張に対して想定される反論が4点挙げられ、それに対する回答が呈示されています。
(1)海外の日本企業が伸びるのは、そもそも日本の成長や雇用にマイナスではないか?
⇒日本企業の海外直接投資残高は多くないが、収益率は国際的にみても悪くない。海外直接投資残高が伸びていけばそこからもたらされる所得は大きいものとなる。
(2)海外に出ていっても日本企業に国際競争力がないのでは?
⇒日本企業の職場における中堅人材の質は高く、収益力の源泉となっている。
(3)海外日本企業に日本の雇用を支えるほどの人数が必要とならないのではないか?
⇒(2)の中堅人材を進出先の庶民に形成するための”教え手”としての要員が発生する。
(4)海外で働くための外国語習得などのトレーニングは大多数の人には実行不可能ではないか?
⇒海外派遣要員にとって流暢に外国語をしゃべることは必ずしも必要ではない。物事の理解こそが肝要。「内向き志向」と言われているが、実際に海外で活躍する先輩の姿をみれば、意欲は生まれる。
実証的な根拠があるのかどうかは分かりませんが、なかなか興味深い主張ではあります。
特に(1)の海外直接投資で稼ぐという視点は結構重要と思う。
せっかくの円高ですし。
最後に一点、懸念が挙げられています。
ややポテンシャルの低い層の人たちの雇用をどうするか。
そう、結局のところそれが最大の課題なのですよね。