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Someone's Junk, Someone's Treasure

2011-07-28 | アメリカ

買い物って楽しいですよね。

しかし、買い物の如何なる部分を楽しく思うのかは人によって様々でしょう。
中村うさぎさんのように皆が観ている中、シャネルやエルメスの店で
「これいただくわ!」
とカードを取り出して注目されることそのものが好きな人も(少数ですが)いるでしょうし、
「正価のものがこれだけ安く買えた!」
と達成感を感じる人、あるいは自分の生活がそれによって「充填された」と満足する人、
買い物そのものが目的で、家に帰って品物の山を眺めてため息をついて後悔する人。

消費行為はそれだけで各々の人生とのかかわり方の根幹にもかかわってくるのです。

かく言う私ですが、
「必要な買い物」
「必要ではないが楽しみとして行う買い物」
の間には、きっかりと線を引いて臨みます。

後者については「ゲーム」そして「出会い」だと割り切ります。
品物を手に取りながら、自分の現在のそのアイテムについてのかかわりや、必要度、
今持っているものとの兼ね合い、あるいはコストパフォーマンス、(この値段に価値が見合うか)
そう言ったことをめぐらせつつ、
「買う」
「買わない」
の脳裏での攻防戦を行うわけです。

ですから、たとえ1000円以下のものであっても、買うかどうかに異常な決断を要するのです。
そう言う意味ではわたしは非常な「ケチ」であるともいえるでしょう。

余談ですが、不肖わたくし、いままでこのブログでファッション好きを自認してきました。
しかし、新作のコレクションをデパートや銀座のンモトマで値段も見ずに買っている、
と思われては困ります。
はっきり言いますが、そういった買い方はお金が余っていてセンスの無い人のすることです。

流行りのものを人に先駆けてそれも本店で手に入れる、などと言うことは、
芸能人やファッションを仕事にしている人ならいざ知らず、そこに付加されている
「雰囲気」「新作」「ブランド」のための代金は、一般の生活を営むものには
あまり必要のない、いわば「かなり無駄な」出費ではないでしょうか。

というわけで、高いものを正価で買うことと「お洒落」の間には何の関係もない!と、
ここに断言しておきます。

さて、アメリカにくるとこの「楽しみとしての買い物」をします。
買わなくても見て歩くだけで十分楽しめてしまうのです。
いいものを安く探すのもゲームのような面白さがありますが、何より
「え、これ誰が買うの?」というものを見つける喜びが・・。
(これは『買い物』とはいいませんけどね)

そう、とんでもないものがとんでもない値段で売られている国、アメリカ。

Someone's Junk, Someone's Treasure
(誰かのゴミは別の人の宝物)

いかに価値のなさそうなものでも、それに価値を認める人は何処かにいる、
この言葉が日本よりぴったりくるモノにお目にかかれるのです。

一体だれが買うんだろう・・・・。
絶句するようなセンスのもの、壊れて使えないもの、そういうものも、
ちゃんと値段が付けられて売られています。

今日は、モールにある「アウトレット靴店をご紹介しましょう。
 

いちいちサイズを店員さんに言いつけて持ってきてもらわなくても、ここでは
各サイズがこのように手にとれるところに置いてあるので、実に気楽に靴が選べます。
自分のサイズが在庫にあるかどうかも瞬時に分かるというわけ。


可愛いマドラスチェックのサンダル。
元々の値段を書いてくれています。
ここにはとんでもない高額商品はありません。
  
せいぜいここでの「高級品」は左のワイツマンやコーチくらい。
でも、どちらも日本では高いですから、もし気にいったものがあればお得です。
ワイツマンは日本ではやたら高く、黒いブーツは日本で正価9万円。
先日ネットで5万円くらいになっているのを見つけました。
そしてここでは330ドル。
ボストンは消費税が高いですから、2万8千円くらいでしょうか。
ピンク柄のコーチのレインブーツ、可愛いですね。

ルブタン風「セクシーかなんかしらんが誰が履くねんこんな靴」、
日本にも進出している良心的なお値段のスティーブ・マッデン。
しかし、こういうお安い値段で作られていると、残念ながら合皮で、固いんですよね。
この過酷なデザインの靴は、20分立っていることすらできますまい。

そして、ここでのSomeone's junkをご紹介しましょう。まずは、


だははは。
これ何?靴?それともラマ?
写真を取るために履いてみましたが、そのまま置いていたらペキニーズが二匹?
ここボストンは極寒の地なので、趣味はともかく確かに冬場役には立つに違いありませんが。

そしてこのお店のSomeone's junk大賞発表。
なんか違うジャパネスク。誰が履くねん。
もともといくらの靴かは知れませんが、ここで50ドルで売られていて、さらに後ろの赤札によって
50パーセント引きになっても、だれも買わず山積みになっているという・・・・。
アメリカでは、ティーン向けに「原宿」というブランドがあって、例えば

このようなセンスのものを「キュート」といって買う女の子もいるわけですが、
なんだかこの路線を狙ってはずしたって感じのデザインですね。
見ようによってはキッチュですが、そう言う方にとってはこれもtreasureってことで。

さて、勿論ここでは何も買わず別のお店に行って、この日さらに
「someone's」グッズを見つけましたよ。
 取っ手、取れてます。
おまけに、いたるところに修復不可能なシミ汚れが。
ところが驚くなかれ、このバッグ、こんな状態なのに万引き防止タグが付けられていて、
驚くなかれ、600ドル(5万円くらい?)するんですよ。
何となればこれはハイエンドブランドの「ジミー・チュウ」のものだから。
おそらく正価20万円くらいするのでしょうが、金具もなくなっているし、
鞄職人でもない限り、修復することはおそらく不可能。
てか、日本ならまずこんなもの店頭に出ませんよね。
でも、ここに次に立ち寄ったとき、無くなっていたので、この値段でも誰かさんにとっては
treasure」となったようです。よかったよかった。



そして同じ場所で60ドルで売られていた謎の黒い折り畳み傘。
どうみても日本で500円レベルなのに、仔細に点検したところ(暇だなあ)
この外カバーがなくなり、御丁寧にも先のプラスティックが割れているこの傘
プラダのものらしい。

洋服ブランドとしてのプラダは大好きです。
気にいって手に取ったものがプラダである確率は非常に高いというくらい。

しかしこのブランドって、バッグが今一つなんですよね。
うっすらと「眉唾な感じ」、特にこういうナイロンものに関しては
「いや、それ原価100分の1でしょ?」っていううさんくささがありますよね。
それがこの傘にいかんなく現われています。
ロゴがなければただのダサい傘。ブランド名と言うベールを剥がせば、
後には500円の実用傘以外の価値はほとんど何も残らないというこの現実。

アメリカ人は実質的なのでこんなもの売れるはずがないと思って次にチェックしたら、
こちらも売れてしまっていました。

「誰かにとってのゴミ」も必ず「誰かの宝物」になるので、こうして売られているというわけです。


というわけで、さんざんこの日も笑わせていただいたあげく何も買わずにモールを後にしました。
今日は「戦わずして大勝利」ってことで。
・・・・・ん?

もしかしたらこの攻防戦、買ったら負け?