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続)ムスリムの子ども教育-2- アウラ(隠すべき体の部位)

2018年11月23日 | 預言者の教育方法

続)ムスリムの子ども教育-2-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生11」(~最後)

https://www.youtube.com/watch?v=pze7K8xfzH0

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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質問:子どもに服を着ることの意味をどう教えますか?子どもに服を着せる時、何のために着るのだと教えればいいでしょうか。

 

回答:母親が子どもに服を着せる時、「この服がかわいいわ。さぁ、これを着ましょう。幼稚園で一番ステキな子になれるわよ。」、「こんなかっこいい服を着たら、みんなびっくりするよ。」、また、「髪の毛をこういう風に結ぶと、学校できっと一番かわいいって言われるわよ。」という声かけをすることがよくあります。こういった母親の声掛けは、とても小さなことのように見えますが、子どもの心には大きな教育的な影響があります。

 

ムスリムの子どもにまず教えなければならないのは、服が、アウラ(他人に見せてはいけない体の部位)を隠すものだ、ということです。ムスリムの子どもに対して、「これを着ると、幼稚園で一番ステキな子になれる」という声掛けをすることには、大きな2つの間違いがあります。一つは、子どもが、他人の評価を求めて服を着ることを教えている点です。二つ目は、子どもの心に、自分の価値は、自分が着ている服にある、という価値観を植え付けている点です。本来、子どもに教えるべきことは、服が、「アウラを隠すために着るものであること」、また、「アッラーの恩恵を現すために着るものであること」という2点です。

 

夫婦間の問題で、夫の妻への不満の一つに、妻が、夫の収入を考えずに、友達や親戚の集まりがあるたびに、新しい洋服を次々買ってしまうという浪費の問題がありますが、これも、元をただせば、彼女が小さい時に、両親がどういう声掛けをしてたか、という点が問題になります。彼女が新しい服を次から次へと買ってしまうのは、小さい時から服を着る時、「人に見せるため」というニーヤ(意思)しか教わらなかったからかもしれません。もし小さい時に、「アウラを隠すために」服を着る、という正しいニーヤ(意思)を教わっていれば、友達に会うたびに新しい服を着ていなければならない、という強迫観念を抱かなくて済み、夫婦の関係にまで害を与えることはなかったでしょう。

 

また、ある人は、特定のブランドの服やカバンを持つことで、友達に対して優越感を感じたり、友達が持っているブランドを持っていないと劣等感を感じたりします。これも、小さい時に、「これを着ると一番ステキな子になれる」といった間違った価値観を植え付けられてしまったためです。両親が、きちんと子どもに、「いいえ、服があなたをステキにすることはできないのよ。服があなたを一番かわいい子にすることもできない。服は、アッラーを喜ばせるために、アウラを隠すために着るもだから。」と教えていれば、大きくなってからこういった様々な問題は回避できたでしょう。小さい時に教えられた服を着るニーヤ(意思)という小さなことが、自分の価値がどこにあるのか、という自己肯定感の問題、流行の服をいつも買わなければならない経済的な問題、また、将来の夫婦関係の問題にまで影響を与えます。

 

また、「クラスで一番ステキな子になるために服を着る」という価値観は、アッラーとの関係まで壊します。自分が着る服により、人への優越感を感じる、つまり、アッラーのお嫌いなキブル(高慢さ)という病を発症してしまうからです。自分が着ている服に自分の価値を置く子は、他の人の価値も、着ている服で決めるようになることは簡単です。何のために服を着るのか、服を着る時のニーヤ(意思)、そして、服を着る時のスンナ(ドゥアー、右から着る、左から脱ぐetc.)にも注意する必要があります。

 

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質問:小さい女の子のアウラ(異性に対して隠す場所)は、どこですか?何歳から?
回答:
ハナフィー学派(パキスタン、バングラデシュ、トルコに多い): 

①0~4歳まで:誘惑を感じない限り、恥部(尿と便の出る場所とその周り、お尻)のみを隠す。それ以外の全身を見ることは問題ない。

②4~10歳になるまで:お尻と恥部周辺の下半身。(10才は日本の小学校4年生、もしくは5年生)                   

③10歳以上:成人女性のアウラ(顔と手首から先を除く全身。くるぶしから下も除く、という見解が主流。)と同じ。

 

マーリキー学派(モロッコ、アルジェリア、アフリカに多い): 

4歳までは見てはいけないアウラはないが、3歳からは、男性が体に触れることはできない。6歳からは、成人女性のアウラ(手と顔以外の全身)と同じ。

 

シャーフィー学派(インドネシア、マレーシア、エジプト、スリランカに多い)、ハンバリー学派(サウジアラビア):

生まれた時から成人女性のアウラと同じで、手と顔以外の全身

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質問:預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代に、サハーバ達(アッラーのご満悦あれ)の子ども達は、どのように預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と接していたでしょうか?

 

回答:預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がマディーナにヒジュラ(遷都)された時、マディーナのアンサール達は、男性も女性も大勢で出迎えて、「タラアルバドル」という有名な歌を歌って預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を大歓迎した話は有名です。しかしその時、マディーナの子どもたちが、どのように預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を迎えたのか、ということは知らない人が多いでしょう。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がマディーナにやって来た時、迎え入れた大勢の人たちの中に、子どもたちもいました。彼らは、ダッフ(太鼓)を叩きながら、歌を歌って喜びました。小さな女の子たちがは、マディーナの道を歩きながら、ダッフを叩き歌を歌い、

「あぁ、なんて素敵なこと!ムハンマド様が、わたしの隣人になるなんて♪わたしたちは、アンサールのこども♪あぁ、なんて素敵なこと!ムハンマド様が、わたしの隣人になるなんて♪わたしたちは、アンサールのこども♪」

と繰り返し歌っていました。そこに預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が通りかかり、子どもたちを見て大変お喜びになられ、「私のことが好きですか?」とお尋ねになられると、子どもたちは、「もちろんです。アッラーの使徒さま!」と言い、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、《私があなた達を好きなことは、アッラーが知っています。》とおっしゃいました。(イブンマージャ伝承)

 

子どもたちの預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への大きな愛情に注目すべきです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の、子どもたちへの愛情深さとやさしさが、子どもたちの心に反映し、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への愛情を植え付けました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、人々に対し最も慈悲深くお優しいお方で、子どもに対しても大変慈悲深く接していました。

 

《アッラーの使徒様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、(孫の)アル=ハサン・ブン・アリーにキスをしました。彼の御許にはアル=アクラア・ブン・ハービス・アッ=タミーミーが座っていましたが、彼は、「本当に、私には10人の子供がおりますが、その内の一人ともキスをしたことはありません」と言いました。すると、アッラーの使徒は彼を見つめ、それから、「慈悲をかけない者は、(アッラーからも)慈悲をかけられない。」とおっしゃいました。》ブハーリー伝承

 

私たちの子どもに、「明日、預言者ムハンマド様(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が、家にやって来るよ。」と言ったら、何と答えるでしょうか?マディーナの子どもたちのように、大喜びで歌を歌って祝うでしょうか。この「喜び」は、崇拝行為でもあります。子どもたちが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が家を訪問すると聞いて、どんなに喜ぶでしょうか。お子さんがいらっしゃる方は、ぜひ、今日尋ねてみてください。もしお子さんが大喜びしたら、そのことは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)をとても喜ばせるでしょう。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、いつも私たちの行いを見ています。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

≪私の生は、あなた方にとって良い事です。あなた方が話をすれば、あなた方のためにフクム(イスラーム法学的見解)が啓示されます。私の死はあなた方にとって良い事です。私にあなた方の行いが提示され、私がその中の良い行いを見れば、その人についてアッラーを賞讃し、もし悪い事を見たら、あなた方のためにアッラーに許しを乞います。≫バッザール伝承

 

もし子どもたちが預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が訪問する、と聞いても、興味がないようだったり、怖がったり、という否定的な反応を見せたら、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のことを、もっともっと子どもたちに話してあげましょう。数週間後に、同じ質問をしたら、子どもたちが大喜びするように。イスラーム教育をしてくれる学校などない日本では、ご家庭が唯一の学校です。

 

 

質問:イスラーム社会においても、奇妙な名前を子どもにつける親がいますが、イスラームでは、子どもの名前を付ける時、どんなことに気を付けるべきですか?

 

回答:親が子どものために行う良いことのひとつに、良い名前を選ぶことがあります。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、一部のサハーバ達(アッラーのご満悦あれ)が入信した後、彼らの名前を変えました。名前を変えたのは、次の2つの理由のうちのどちらかがあったためです。

1.アキーダ(信仰箇条)に反する名前(例:偶像神のしもべetc.)

2.醜い名前(馬鹿、悪魔etc.)

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、子ども達の名づけにも関わられました。アリー様(アッラーのご満悦あれ)が、ハサン様(アッラーのご満悦あれ)の誕生を預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に告げた時、何と名付けたのかと尋ねられ、アリー様(アッラーのご満悦あれ)が、「ハラブ(戦い)」と名付けたと言うと、「いや、彼はハサン(善良)です。」とおっしゃいました。(当時のアラブの習慣で、子どもに強く、敵に恐怖を与えるような名前を付けることが多かった。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこの習慣に反対し、訂正した。)イスラームでは、子どもの名前をとても重視します。名前は、その子の個性を構築するからです。

 

私たちの子どもたちに、アッラーのご加護がありますように。

 

 

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