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預言者伝46

2013年06月20日 | 預言者伝関連


145.王たちはどのようにこの尊い書簡を受け取ったか:
  ヘラクルアン=ナジャーシーアル=ムカウキスは敬意を込めて書簡を受け取り、丁寧な返事をしたためました。アン=ナジャーシーアル=ムカウキスはアッラーの使徒(祝福と平安あれ)より使いとしてやって来た者に寛大に接し、アル=ムカウキスは二人の女奴隷を贈り物として預言者に(祝福と平安あれ)送りました。そのうちの一人は、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)に男児イブラーヒームを産んだマリヤ です。

  代わって、キスラー・アブルウィズは、書簡が読み上げられた瞬間にそれを引きちぎって、言いました:わしの奴隷の身である分際で書簡を送り付けるだと?
 その知らせがアッラーの使徒(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に届くと彼は言われました:アッラーが彼の王権を裂(さ)き給いますように。

   そしてキスラーは、イエメンを治めていたバーザーンに、預言者(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を連れてくるように命じました。キスラーはバーザーンの両親に遣いを送り、「王たちの王であるキスラーは、バーザーンにお前(つまり預言者)を連れてくる者を送るよう命じた。そしてお前を連れて帰るために彼は私(バーザーン)を送ったのである。」と預言者に言うようバーザーンに言うよう、命じました。アッラーの使徒(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、キスラーの使いの者に言われました:すでにアッラーはキスラーの上にその息子であるシールウェイを君臨させ給うたが、息子はその父を殺した。

  アッラーの使徒がお知らせになったことは詳細にわたって実現しました。シールウェイと いう称号を持つ息子のカバーズが玉座を奪い、キスラーは西暦628年、息子に暗殺されるという形で惨めに死んでいきました。彼の死後、彼の王権は裂かれ、 統治する一家の子息たちの手中でもて遊ばれるおもちゃと化しました。シールウェイは王となってから六ヶ月だけ生き、彼の後、四年の間に10人もの王が現れました。人々がヤズラ ジュラドに集り、彼に王冠を被せるまでは、王国の手綱(たづな)は大いに乱れました。このヤズザジュラドはササン朝の最後の王となりました。そして彼こそが、ササン朝を完全な滅亡へと導いたイスラームの襲撃に対面した人物でした。西暦637年に滅亡したササン朝国は、4世紀に渡り存続し、開花した王国でした。
  このような形でアッラーの使徒(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の知らせは実現したのでした。それ以降にササン朝帝国と呼べるものは存在しませんでした。つまり、アッラーの使徒(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のもう一つの予言: 「キスラーが滅びたら、その後にキスラーはない」が実現したということです。
  アッラーは信徒たちにイランを所有させ、その民をイスラームに導き給いました。彼らの中から学者や、イスラーム学の天才が輩出されました。またアッラーの使徒(祝福と平安あれ)が言われた、彼らについての言葉は真実でした:「星に知識があるとしたら、ペルシアの子孫から成る人たちがそれを手に入れただろう。」

146.ヘラクルとアブースフヤーンのやり取り:
  ヘラクルは、預言者(祝福と平安あれ)の真実を確認したいとの思いから、彼についての情報を集める人物を探したところ、ガザに商売のために滞在していたアブースフヤーンが選ばれ、ヘラクルの元に連れて行かれました。ヘラクルの数多くの質問は、ヘラクルという人物が理性ある、宗教の歴史や預言者たちの特徴、預言者たちの歴史や共同体の彼らとの接し方、彼らに対するアッラーの慣行に熟知した経験者であることを示していました。アブースフヤーンはアッラーの使徒(祝福と平安あれ)は真実であるとしましたが、それは、嘘をつく人間だと人々に言われることを恐れる、先代アラブ本来の態度をとった結果でした。そして二人の間に次のようなやり取りがなされました:
  ヘラクル:彼の血統はあなたたちの間ではどんなものか?
  アブースフヤーン:私たちの間では、彼は由緒正しい血統の持ち主です。
  ヘラクル:彼以前に、このようなこと(自分が預言者であるとの宣言など)を言う人間があなたたちのの中にいたか?
  アブースフヤーン:いいえ。
  ヘラクル:彼の祖先に王はいたか?
  アブースフヤーン:いいえ。
  ヘラクル:高貴な人たち、それとも弱者たちのどちらが彼に追従したか?
  アブースフヤーン:弱者たちです。
  ヘラクル:彼らは増えているか、それとも減っているか?
  アブースフヤーン:増えています。
  ヘラクル:教えに入った後に背教する者はいるか?
  アブースフヤーン:いいえ。
  ヘラクル:彼が言ったかのことを言う前に、あなた達は彼を嘘つきだと非難したことはあるか?
  アブースフヤーン:いいえ。
  ヘラクル:彼は裏切るか?
  アブースフヤーン:いいえ。
  ヘラクル:あなた達は彼と戦ったか?
  アブースフヤーン:はい。
  ヘラクル:あなた達の彼に対する戦いはどんなものだったか?
  アブースフヤーン:私たちの戦は、こちらが勝ったり負けたりです。
  ヘラクル:彼はあなた達に何を命じているか?
  アブースフヤーン:アッラーおひとりをあがめなさい、彼に同位者を配してはならない、先祖の言うことを捨てなさいと彼は言います。また私たちに礼拝、正直であること、貞操を守ること、家族とのつながりを持つことを命じています。

  (参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P299~302)

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