イスラーム勉強会ブログ

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預言者伝【45】

2013年06月06日 | 預言者伝関連

帝王や太守たちをイスラームへ誘う
(ヒジュラ歴6年後期~7年初期)

141.宣教(ダアワ)は英知である:
 協定が結 ばれ、状況が落ち着いて、やっとイスラーム宣教が前進する時となりました。そこでアッラーの使徒(祝福と平安あれ)は世界中の帝王たちとアラブの太守たち宛に書簡を作りました。彼らをイスラームへそして主への道へと、英知と善きアドバイスによって導くためです。アッラーの使徒(祝福と平安あれ)はこのことに強い関心を持っていたため、使いを送る際には、相手にふさわしい、その国のことをよく知り、また言葉を理解する者を選びました。
 「彼らは封印のない書簡を受け付けません」と言われたアッラーの使徒(祝福と平安あれ)は、銀の指輪を作り、その中に「ムハンマドはアッラーの使徒である」と刻み、封印としました。
 アッ ラーの使徒(祝福と平安あれ)による各書簡は、このイスラームという教えがアラブ人たちやアラビア半島だけのものではないことを示しました。まさにイス ラームは人類のための教えなのです。またアラビア半島の外の地域を所有し、強力で発展した地を治めていた国々に対しても、宣教を受け入れるか、少なくとも国民にこの宣教を目にし聴く機会を与え、自らの行き先を決めさせる機会を与えないのであれば、そのような国家もいずれは滅びてしまうだろうと警告しました。

142.王たちに送られた書簡:
 ローマ帝国の王であるヘラクル、ペルシャ帝国の王であるキスラー、エチオピア王国の王であるアン=ナジャーシー、エジプトの王であるアル=ムカウキスに書簡が送られました。

 以下が、これらの王たちに送られた書簡の内容です:

 アッラーの使徒(祝福と平安あれ)は、ヘラクルあての書簡をドゥヒヤ・アルカルビーに託しました。ドゥヒヤは書簡をボスラーの太守に差し出し、太守がまたそれをヘラクルに差し出しました。内容は以下の通りです:

  慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。アッラーの使徒でありしもべであるムハンマドより 、ローマ帝国の王ヘラクルへ。導きに従った者に平安あれ。さて、私はあなたを真にイスラームへとお誘いする。帰依なさるのだ。そうすれば安全となり、アッラーはあなたに二度の報奨を与え給う。しかしもし背を向けるなら、あなたはイリスの人々の罪を負うだろう。『言え。「啓典の民よ、われらとおまえたちの間の等しい言葉に来れ。すなわち、われらはアッラーのほかに仕えず、彼になにものをも並び置かず、われらのある者がある者を、アッラーをさしおいて主とすることはない と。」それでもし彼らが背き去るなら、言え。「われらが帰依者であることを証言せよ。」』(クルアーン イムラーン家章64節)

 キスラーへの書簡:
慈悲あまねく自愛深きアッラーの御名において。アッラーの使徒であるムハンマドより、ペルシャ帝国の王キスラーへ。導きに従った者、そしてアッラーとその使徒を信じ、アッラーの他に神はなく、私が、生ける者に警告するため人々すべてに送られた彼の使徒であるとことを証言した者に平安あれ。さて。帰依しなさい。そうすれば安全である。しかしもし背を向けるなら、あなたは拝火教の罪を負うだろう。

143.エチオピアの王アンナジャーシーへの書簡:
 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。アッラーの使徒であるムハンマドより、エチオピアの王アンナジャーシーへ。導きに従った者に平安あれ。さて。本当に私は彼以外に神のいない、王、神聖な、平安なる、信仰を与える、保護するアッラーをあなたとともに賞賛する。また私はマルヤムの子イーサーがアッラーの霊であり貞節な処女マルヤムに投げかけ給うた御言葉であることを証言する。彼の霊により彼女はイーサーを身籠り、彼(アッラー)は御自身の手でアーダムを作り給うた時のように息を吹き込み給うた。そこで私はあなたを協力者のいないアッラーおひとりに、そして彼への服従の遂行、そして私への追従、私にもたらされたものへの信仰へとお誘いする。本当に私はアッラーの使徒である。また私はあなたとあなたの軍を至高偉大なるアッラーへお誘いする。ここに私は確実に伝達し進言した。さあ私の進言を受け入れなさい。導きに従った者に平安あれ。

144.コプトの王アル=ムカウキスへの書簡:
 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。アッラーの使徒であるムハンマドより、コプトの王アル=ムカウキスへ。導きに従った者に平安あれ。さて。私はイスラームにあなたをお誘いする。帰依しなさい。そうすれば安全である。帰依すればアッラーはあなたに二度の報奨を与え給う。しかしもし背を向けるなら、あなたはコプト人たちの罪を負うだろう。『言え。「啓典の民よ、われらとおまえたちの間の等しい言葉に来れ。すなわち、われらはアッラーのほかに仕えず、彼になにものをも並び置かず、われらのある者がある者を、アッラーをさしおいて主とすることはない と。」それでもし彼らが背き去るなら、言え。「われらが帰依者であることを証言せよ。」』(イムラーン家章64節)

(参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P285~289など)

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