イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

預言者伝19

2011年03月01日 | 預言者伝関連

بسم الله الرحمن الرحيم
63.マディーナはどのように預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を迎えたか?:
  アッラーの使徒(平安と祝福あれ)がマッカを発ったという知らせを受けたアンサール(マディーナのムスリム援助者)は、毎朝ファジュルの礼拝を終えた後にマディーナの広場に出て行ってはアッラーの使徒(平安と祝福あれ)の到着を待ちわびました。彼らは日が暮れて暗くなってから帰宅するのでした。当時は暑い夏の季節でした。

  ついにアッラーの使徒(平安と祝福あれ)が到着したのは、人々が家に戻っている時間帯でした。マディーナのユダヤ人はアンサールが行っていることをずっと見ていましたが、実はアッラーの使徒(平安と祝福あれ)をまず初めに見たのは、ユダヤ人でした。大声を上げて、彼はアンサールにアッラーの使徒(平安と祝福あれ)の到来を告げ知らせました。彼の声を聞いた人々は、一斉に、アブー・バクルと共にヤシの木陰にいたアッラーの使徒(平安と祝福あれ)に駆け寄りました。アブー・バクルはアッラーの使徒(平安と祝福あれ)と同世代の男性なので、アッラーの使徒(平安と祝福あれ)をまだ見たことのないアンサールの人々は、はじめどちらがアッラーの使徒(平安と祝福あれ)か分からず戸惑いました。その様子に気づいたアブー・バクルは、上着でアッラーの使徒(平安と祝福あれ)に陰を作るために立ち上がり、人々に真実が判明しました。

  このお二人を、500名ほどのアンサールが出迎えました。マディーナに到着すると、アンサールは、「お二人様、怖がる必要はありません。何なりとお申し付けください。」と声をかけました。アッラーの使徒(平安と祝福あれ)とアブー・バクルは、人々の中に入って行きました。すると町の人々がどんどん出て来て、家の上から未婚の女性たちが、「あのお方はどこ?どこ?」と言うほどでした。アナスは、「これに似た情景を私たちは見たことがありません。」と言い残しています。

  お二人がマディーナに入ると、人々は道や家の屋上に出て来て、「アッラーフアクバル!アッラーの使徒が見えたぞ!アッラーフアクバル!ムハンマドが来てくださった!アッラーフアクバル!ムハンマドが来てくださった!アッラーフアクバル!アッラーの使徒が見えたぞ!」と叫ぶのでした。

  当時若かったアル=バッラーゥ・イブン・アーズィブという教友は次のように言っています:預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)がいらしたこと以上に、マディーナの民を喜ばせたものを私は他に知りません。何しろ、女奴隷までもが、「アッラーの使徒さまが見えた」と言っていたのですから。

  そしてアンサールの女たちは、喜びと興奮に満ちて、歌を歌ったのでした。

  当時子どもだったアナスは言っています:私はマディーナに預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)がいらした日に彼を拝見しましたが、彼が私たちのいるマディーナにいらした日よりも素晴らしく、輝いた日を見たことはありません。

(参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P195~197)