イスラーム勉強会ブログ

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79.引き離すもの章(アン・ナーズィアート)【3】

2007年09月03日 | ジュズ・アンマ解説
 次にクルアーンは、ムーサーとフィルアンの物語から得られる教えを明解にするために話題を移行します。ムーサーの物語はクルアーンに登場する物語の中で一番多いですが、それはムーサーがユダヤの民の預言者であったためです。ユダヤ人は昔から、アラブ半島のアラブ人と隣接していて、彼らの持つトーラー(律法)の中にあるムーサーを含むさまざまな預言者たちの昔話をアラブ人に語り聞かせました。

  クルアーンが語る物語の目的の一つに、当時のアラブ人の生活環境と精神状態を基礎として、彼らに影響を与えること、があります。他には、ユダヤ人たちが陥ってしまった間違った宗教に対する解釈を正し、クルアーンがアッラーの啓示であることを証明する、目に見えない消息について明らかにしたイスラームへ彼らを導くこと、があります。  いろいろな形のムーサーの物語がクルアーンの中に登場します。ここでは、教えが抽出されやすいよう簡略されたムーサーとフィルアウンの物語が出てきます。この訓戒は、『フィルアウンの滅亡理由は自身の悪行』です。この中に、預言者(アッラーの平安と祝福がありますように)の心を強化と、彼に、以前アッラーがムーサーをフィルアウンに勝利させたように、信者たちに圧力をかけ、悪さをした不信仰者たちを負かそう、というアッラーの約束があります。

 「ムーサーの物語が,あなたに届いたか。主がトワーの聖谷に,かれを呼ばれた時を思い起せ。(かれは仰せられた。)「あなたはフィルアウンの許に行け。本当にかれは目にあまる者である。」

 「ムハンマドよ、ムーサーの物語があなたに届いたか。トワーと呼ばれる清く祝福された聖なる谷で、アッラーが彼を呼ばれたときを。」 トワーは、シナイ山の最下に位置しています。ここで主は彼に、「あなたはフィルアウンの許に行け。本当にかれは目にあまる者である。」つまり、フィルアウンは、不信と罪の一線を越えた、ということです。不正と言う者をアッラーは嫌いますが、それはかれの慣行に反しており、大地を腐敗させるからです。どんな人間も罪を犯している最中は、主を忘れているか、もしくはかれを否定しているものです。そして導きから外れてしまいます。
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