かまくら春秋社
創刊号(特別定価840円)
責任編集:やなせたかし
投稿詩とイラストレーション
たまたま本屋さんで見つけました。
こういうのを眺めていると、ほっとします。長く続いていくのか、ちょっと注目。
たり
やなせたかし
空をとぶ夢を見たり
過剰にセンチメンタルだったり
グレたふりしてみたり
ひとを好きになったり
赤面恐怖症だったり
深刻な苦悩と思ったり
それはありきたりだったり
浅はかだったり
勘違いだったり
口惜しがったり
嫉妬したり
うらぎられたり
うらぎったり
人見知りだったり
厚顔無恥だったり
得意満面だったり
挫折したり
いつのまにか
人生の終わりに近づいていたり
甘い壁 澤村薫 絵・葉祥明
ちんじゅの杜のものかげで 糸川草一郎 絵・黒井健
巻末の鼎談(発行人・伊藤弦二郎、編集人・桑原茂夫)でやなせが語っています。
リリカルな心っていうのか。そうね、日本人的にいうと、花鳥風月っていうことでしょうね。ものを愛する心というか、つまりドライではない、ある程度湿った部分でしょうね。ですから、兎を見て可愛いと思ったり、花が綺麗だと思ったり、日本でいう一種の風流、そういう部分が今ね、全然無くなっている。「詩とファンタジー」は抒情詩を中心に、つまりはグロテスクなことはやらないということです。グロテスクであったり、それからダダイズムとか、そういう風な方向にも、詩というものは確かにあるんです。それも、悪くはない。だけど「詩とファンタジー」はその中で、今やや馬鹿にされている抒情詩を中心にしてやっていきたい。僕はそう思うんだよね。