グリーンズ・テイブル

ppのピアニッシモな戯言でござ~い☆

常設展示室/原田マハ

2022-06-08 12:38:45 | 

鼻水は花粉症からきているのか、朝晩の冷え込みで風邪をひいたせいなのか、はっきりしない昨日今日です

さて、原田マハさんの「常設展示室」読みました。

6つの短編が収められています。

いずれも美術館のキュレーターだった作家らしい、本当にあったのではと思わせるような美術界に関わる物語。

しかもどの作品にも名画が登場し、それが思い浮かべられる絵画だったことが嬉しい。

圧巻は最後の「道 La Strads」

涙で何度も読めなくなるなんて、いつ以来だろう…

これまで美術館を訪れたときには特別展だけで満足し、常設展示室までは行っていない。

今度はちょっと覗いてみようかなと思ったり。。。

 

表紙の絵画はフェルメール「デルフトの眺望」


まぐだら屋のマリア

2020-12-11 11:37:49 | 

すっかりご無沙汰してしまいました。アップするペースがますます遅くなり、このままフェードアウトするのではというところまで来ています。毎日アップすることを目標にしていた時期もあったのに…です。

先月の連休前にヤボ用で出かける機会があり、移動中に読む本を空港の書店で購入。吟味する時間はあまりなかった中で、なぜか飛び出ている1冊があり、無意識に手が伸びる、それが「まぐだら屋のマリア」。「屋」が気になり即決(フフ)

原田マハ著/幻冬舎

このマグダラは「マグロのようなタラ」のことで、だからこちらの「グ」は鼻濁音ですね。ユーモア小説かと思いきや、それぞれの苦しい過去を持った登場人物達の再生の物語でした。プロローグがなく、いきなり引き込まれ、重い話と対比するかのような美しい風景描写は、本当に日本のどこかにあるようで、まぐだら屋食堂のある岬に旅してみたいと思ったのでした。映画になったら素敵だろうな……いやいや想像が膨らむから良いのだ。絶望が希望に昇華する爽やかな読後です。


なぞとき 読んでみました

2020-05-22 19:09:14 | 

〈捕物〉時代劇小説傑作選 編/細谷正充

五月菓子/和田はつ子

煙に巻く/梶よう子

六花の涼/浮穴みみ

人待ちの冬/澤田瞳子

うき世小町/中島 要

鰹千両/宮部みゆき

PHP文芸文庫

女性作家によるそれぞれのシリーズの中から選ばれた短編集。

時代物はあまり読まないので、慣れるまでの数ページはぐっと我慢の子でした(笑)

どれも小気味よく進行しラストで一気に盛り上がります。共通しているのは人情、ときには底辺に流れ、ときに前面に出て、「六花の涼」では泣けました。短編ながらどれも濃くて印象的、オススメの本です。

知らなかったこと…

…六花(リッカ)=雪の結晶

…福寿草の新芽=有毒


アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎

2019-11-06 08:09:46 | 

 

騙された~

最近は長編はちょっと……空いた時間に読み切れるようなエッセイとか短編小説ならと、題名に惹かれたこともあり、短編集だと思い込んで読み始めたこれは、それぞれの話の登場人物が時を超えて繋がった連作でもあった。書き始める前の人物構成図を描く作家が見えるよう。

色んなところに転がっている「何気ない出会い」、ほんわかしたものが残る。


森のささやきが聞こえますか点描画集/倉本聰

2018-06-23 18:31:20 | 

倉本聰が十数年にわたり描いた森の樹々の点描画集。富良野に住み、朝な夕な森を見続けた人ならではの作品。目に見えない根の部分にも焦点を当てている。まぁ、それにしても何という根気強さと多才さ。

急用で札幌へ出向き、余った時間に寄ったプラニスホールで開催されていた「点描画展」。

足元のラインや柵がないので、原画を限りなく接近して観ることができ、気の遠くなるような点々に、これはもう才能だと思わされる。

絵に添えられている短い文章が倉本聰らしいユーモアと皮肉、ウィットに富んでいて、一人クスクスっと。いつしか文章を先に読んでから絵を観るに変わり、そうして展示数の多さに疲れ、これが本にまとまっていればいいのにと思いつつ出口へ向かうと、そこに本がありました! まんまと買いました。いえいえ欲しくてです。文章は英文としても添えられています。

リスにも意見あり 2017

 

シミ 2016

 

水の森 2017

 

老木 2015

 

「森のささやきが聞こえますか 倉本聰の仕事と点描画展」

札幌プラニスホール 6月25日まで


65歳からのセカンドライフ…心と脳のケア

2018-06-22 19:42:59 | 

65歳からのセカンドライフ…心と脳のケア

宮崎雄二/幻冬舎

医師の視点から書かれた心身の変化と対処方法。特に具体的に細かく書かれている身体の病気に関してはまだ早い気がして、サラッと読み流す。字が大きめなのが嬉しい。

心に残ったのは、孤独感の項

人生の孤独感は他人が慰めることができなく、友人や家族にも救っってもらえません。一人で耐える他ありません。動物の群れから離れてしまった1匹の動物と同じです。スマナサーラさんは孤独に慣れるのが賢いとさえ言っています。孤独によってもたらされる時間の中に自分を発見しましょう。どう生きるか、どう意味があるのかをささやかな凡庸の人生の中に大きな意味を見つけようではありませんか。

新約聖書の「テモテへの手紙一第6章7」に、”吾らはこの世に何ものも持たずに来たりて、何一つ持たずにこの世を去る”と書かれています。人間は一人で生まれ、一生の後に死ぬ時は一人です。病気になって周囲の人が大丈夫と言っても大丈夫ではありません。自分の苦しみは自分一人で受けねばなりません。私たちは天涯孤独なのです。私たちは自分の気持はちっともわかってもらえないと言いますが、人はあくまで一人ひとりの存在なのです……云々

 

2月に体調を崩してなかなか治らないでいた夜、悲しみと寂しさの底に落ちたのは、家族や友人の有無に関わらない根源的なものだったのだと、得心。


詩とファンタジーNo.37

2018-05-10 07:39:10 | 

暖房を入れたり消したり、寒い寒い。

 

詩とファンタジーNo.37

投稿詩とイラストレーション/かまくら春秋社

特集/「詩とファンタジー」10年の軌跡

 

発行責任者のやなせさんが亡くなった後、季刊誌だったものが春と秋の年2回発行に変わり、ここ(当ブログ)でのアップはNo.33でストップ。

ストップしたのは、発行はずっと続くのだから、アップが機械的になる前にやめようと思って。

いつものように投稿詩をゆっくり読み、イラストにワクっとし、夢見る夢子ちゃんに戻ってショートファンタジーを読み、選外の優秀作品「星屑ひろい」(ステキなテーマです)に目を通し、「ほんの三行詩」にクスッとして、めくったついでに編集後記へ。

その文章の中に休刊の小さな文字。

え~~~!

この手のものは売れないのですかね~。

書き手にとっても残念な思いでしょうに、始まりがあれば必ず終りありということか……豊かな時間をありがとう。

「詩とメルヘン」のあと、時を経て「詩とファンタジー」が生まれたように、いつかまた…


夜空と月の物語

2017-03-01 20:56:30 | 

夜空と月の物語~いつの時代も、人は同じ月を見上げていた

発売元:パイ インターナショナル

 

世界各地の月のある写真に短い物語がついています。

もう少し起きていたい静かな夜、あるいは心が騒いで眠れない夜、ゆっくり眺めていると、まるでそこに佇んでいるかのように想像がふくらみ、穏やかで豊かな時となる。

ページをめくるたびに、別世界へいざなってくれる写真がじつに素晴らしい。

 

そのかがやきは、恋する乙女のキスでした。

             ギリシャ

「なんと美しい少年でしょう」

月の神セレーネは、羊飼いの少年エンデュミオンに一目で心を奪われました。

山の上で眠るエンデュミオンのやすらかな顔に、しばらく見とれるセレーネ。

かがやかしい月光を注ぎながらセレーネが少年にキスをすると、

彼はそこで永遠に夢を見つづけることになったのです。

月が山の方へ姿を消すたびに、人々はこううわさしています。

「ほら、今日もセレーネが彼に会いに行っているよ」


詩とファンタジー No.33

2016-04-30 09:47:23 | 

今年はいつになく早い開花宣言、それなのに今日は雪がぱらついて、行きつ戻りつが激しい春。

 

詩とファンタジー No.33

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

特集:小田和正の時を超えた歌

 

これまで季節ごとだった発刊が今号から年2回に。これを機にアップするのは止めにしようと思っていたのだけど…

残しておきたい一遍がありました。読み進める先が想像する通りで意外性はないけれど、しっくりきて、また情景も見ているかのように想像できる作品。

日常生活の中で、遠くにあっても色々な表情を見せる海を無意識に目にしている身としては、白波が立つと「今日はうさぎが飛んでいる」と思うのです。

 

海に放つ

   TAKAKO

無数のうさぎたちを

海に放つために

夜の浜辺に連れてゆく

砂防堤を越え

砂浜に下り立てば 彼らは

ためらいもなく波打ち際に走りより

沖に向かって泳ぎ始めるのだ

 

振り返るものはなく

引き返すものもいない

波間をさんさんと進んでゆく白い背中

まるで降り積もった雪のような水面(みなも)

やがて 海の向こう側へと

潮が引くように白い影は消えてゆき

海面は元通りの暗いほら穴になる

見送った風は

少しだけ年老いて戻ってくる

 

すべてのうさぎを解き放った私は

ただ

自分だけを解き放つことができずに

海の果てを見つめたまま

いつまでも浜辺から立ち去れないでいる

 

 

絵 Mogu Takahashi


詩とファンタジーNo.32

2015-12-03 09:06:06 | 

詩とファンタジーNo.32 秋染号

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

特集:田村隆一と秋の鎌倉

 

特集の舞台が今年訪れた鎌倉だったので、読み物が身近に感じられる楽しみを味わった。

田村隆一と伊藤玄二郎の対談の中から、

鎌倉は不思議な町だと思います。重ねて不思議なのは歴史学者がこれまでその点についてあまり指摘してこなかったことです。何が不思議かといえば、古い都市なのに「近世」というものがない。つまり鎌倉の歴史は、北条氏が滅亡(1333年)して半農半漁の村に戻ったポイントと、明治22年(1889)に横須賀線が開通するポイントが直結している。

なるほど、そう言われれば。

 

今回、印象に残ったのはイラストレーション。

「風と棘」 WATAKA(東京都・59歳)

乱視が進んだのかとおもわず瞬く。

 

「進むために必要なのは」 青野広夢(千葉県・25歳)

緊張感をよそに、柔らかいタッチがたまりません。

 

木崎よしおさんの詩が入選してました「鏡よ鏡よ鏡さん」。

「まずは自分を好きになることが大切」という思いに至った時に、この作品と出会い、偶然にも同じことが書かれていてびっくり嬉し。


楽しいこと、美味しいものは……新しい力にかわってくれる☆

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