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 ウイルス (virus) は、生命の最小単位である「細胞」を持たないので、生物学上は非生物とされますが、他の生物の細胞を利用して、自己を複製させて増殖します。微小な構造体で、タンパク質の殻とその内部の核酸からなります。しかし、タンパク質の殻を持っていることから、人体はこれを認識し、排除する仕組みである「免疫機構」を働かせることができます。

 ウイルスは、人に病気を起こさせる「病原性を持った構造体」、つまり「病原体」ですが、それが人体にとどまらないようにすれば「発病」しないし、とどまったとしてもその滞在期間を短いものにすれば「重症化」しません。

 人体の免疫機構は、一度侵入してきて排除した病原体を記憶しておき、二度目にその病原体が侵入を試みるとすぐさま排除することができます。免疫機構は一度目の侵入には弱く、二度目の侵入には強いのです。この人体の免疫機構を利用したのが、「ワクチン」です。擬似的にウイルスの一度目の侵入を免疫機構に体験させ、その記憶を維持させて、二度目の侵入に備えるのです。

 急性で一過性のウイルス感染症には、「麻疹(はしか)」などの全身感染症(全身性ウイルス感染症)と「インフルエンザ」などの局所感染症があります。全身感染症では、ウイルスが呼吸器の粘膜や消化器の粘膜から侵入し、そこで増殖します。その後、血管に入り全身へと広がっていきます。そうして、そのウイルスの標的とする器官に達するとそこで爆発的に増殖します。



 その結果、器官の機能が不全に陥り、「発病」です。全身感染症では、ウイルス抗原はウイルス血症(ウイルスが血液を介して全身に広がっている状態)で全身の免疫系を刺激することになるので、全身で免疫記憶が生じ、ウイルスが再び人体に侵入を試みても、侵入を試みた粘膜表面で阻止されて、標的器官にまで達することができません。ですから、全身感染症である「はしか(麻疹)」には通常は2度はかかりません。そこで、はしかに感染するのを防ぐには、ワクチン接種が非常に有効な手段になります。
 
 それと異なり、局所感染症である「インフルエンザ」は、ウイルスが呼吸器の粘膜にしか感染せず、ウイルス血症を起こすことはありません。そのため、免疫刺激は弱く、免疫記憶は長期間は持続しないといわれています(自然感染とワクチン接種では免疫刺激に大きく違いがある)。これが毎年インフルエンザワクチンの接種を受けなければならない理由のひとつです。

 さらに、ワクチンには副作用(副反応)があり、副反応がゼロであるワクチンを作ることは不可能であると言われています。免疫機構が人により異なることがあるからです。ひとつの例として、ゼラチンに対するアレルギーのある幼児がゼラチンを含むワクチンを2度接種されることになると、1度目には副反応が出なかったとしても、2度目には重篤なアナフィラキシー・ショックを起こすことがありえます(現在では、インフルエンザワクチンはゼラチンを含まない。現在の添加物は、チメロサール、ホルマリンなど)。

 そこで、ワクチン接種を考えるとき、ワクチンの接種によるリスクとワクチンの接種を受けなかったことにより感染症に感染して重篤化してしまうリスクを考量しなければなりません。特に「ハイリスク群」にとっては深刻な選択になります。

 アメリカでは、25歳の女性が季節性インフルエンザワクチンの接種を受けたところ、約10日後にインフルエンザの症状があらわれ、その後、中枢神経系の障害により不随の筋肉収縮が起こる運動障害である「ジストニア(dystonia)」になり、まともに歩くことも、会話や食事も不自由な状態になっていることが報告されています。専門家によると、季節性インフルエンザワクチンの接種で重度の副反応(副作用)が出る可能性は100万人に1人ほどなのだそうです。

 中国ではこれまでに1,000万人以上がワクチンの接種を受け、1,200人あまりに発熱などの副反応があり、そのうちの15人が重症化したようです。2009年11月13日、中国衛生部は新型インフルエンザのワクチン接種後に2人が死亡し、そのうち1人は心臓が原因の突然死と見られ、もう1人については調査が進んでいると発表したそうです。

 日本では、新型インフルエンザワクチンの接種を受けて、11月2日、岐阜県の糖尿病や高血圧、心筋梗塞などの基礎疾患があった70歳代男性が接種約3時間半後に心筋梗塞で急死し、11月11日、長野県の間質性肺炎などの基礎疾患があった80代の女性が接種の翌日に死亡し、11月12日、富山県の肺気腫の基礎疾患があった70代男性が接種翌日に急性呼吸不全で死亡し、11月15日、長野県の慢性呼吸不全の基礎疾患があった80歳代の男性が接種5日後に呼吸不全で死亡しています。(副反応を起こす年齢層は、10歳未満と70歳代が多いそうです。予防接種後に心肺停止や、肝不全などで死亡する例は、年間5人前後だそうです。)

(11月21日 追記) 2009年11月21日午前中にに「第1回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会」が厚生労働省で開かれました。午後には何らかの発表があるものと思われます。 (追記 終わり)

 いずれも持病が死因であり、接種と死亡の因果関係は評価できないケースと言えます。今後は、きわめて稀なケースではあるのですが、健康な人に副反応の報告もあるのだとも思われますが、その数がゼロか極めて少ないものであることを願ってやみません。私たち家族はそのリスクを承知で接種順位が回ってきたら、新型インフルエンザワクチンの接種を受けようと考えています。

(参考) 「インフルエンザワクチンの安全性と有効性の壮大な臨床試験が

(参考) 「「集団免疫」と「集団接種」と「ワクチンの有効性」と「接種禍」と

            (健人のパパ)

(追記)

 2009年11月18日配信の毎日新聞からです。

 宮城県は11月17日、50代男性が新型インフルエンザに感染し死亡したと発表した。県などによると、男性は15日に39度の発熱があり黒川郡の医療機関を受診。翌16日、発熱が40度となり再受診したところインフルエンザと判明。17日に重症化し仙台市内の医療機関に搬送されたが、肺炎で死亡した。仙台市衛生研究所の遺伝子検査(PCR検査)で新型インフルエンザ感染が確認された。神経疾患の基礎疾患があった。

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