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 上気道の感染症の一つ、インフルエンザは、重症化すると気管支、細気管支などの下気道にも炎症が及び、気管支炎、肺炎などを起こし、呼吸不全になり、場合によっては死に至ります。インフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)も同様の過程で、死者を増やしていっています。

 2009年8月27日配信の時事通信の記事からです。

 名古屋市は8月26日、新型インフルエンザに感染した疑いのある同市在住の女性(74)が25日に死亡したと発表した。女性には基礎疾患はなく、死因は誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)だった。同市によると、女性は市内の病院に長期入院していたが、24日午前9時半ごろ、38.5度の熱が出たので、簡易検査を実施したが陰性。翌25日に呼吸困難に陥った上、熱が上がったため、再び簡易検査したところ陽性だった。同日午前10時25分ごろに死亡した。女性は新型インフルエンザ感染の疑いがあるが、PCR検査を実施していないため感染者かどうか確認は取れていない。全国ではこれまで感染者3人の死亡が確認されている。 別室に入院していた患者2人と、女性と接触したとみられる看護師1人の感染が確認されている。

 「ハイリスク群」の人たちが危険に晒されています。ハイリスク群とは、インフルエンザに感染すると、重症化や合併症を引き起こす可能性の高いグループのことで下記の人たちです。
 (1) 65歳以上の高齢者
 (2)妊娠28週以降の妊婦
 (3)慢性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、肺線維症、肺結核など)を持っている人
 (3)心疾患(僧帽弁膜症・鬱血性心不全など)を持っている人
 (4)腎疾患(慢性賢不全・血液透析患者・腎移植患者など)を持っている人
 (5)代謝異常(糖尿病・アジソン病など)を持っている人
 (6)免疫不全状態の患者

 2009年8月22日配信の読売新聞の記事からです。

 肥満などメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や妊娠は、新型インフルエンザによる死亡の危険性を高める恐れがあることが、フランスの研究チームの分析で明らかになった。肥満は、これまでの季節性インフルエンザでは死亡の危険因子とは考えられておらず、新型の特徴である可能性もある。研究論文は欧州の専門誌(電子版)に掲載された。
 研究チームは、世界保健機関などが発表したデータをもとに、4月~7月に新型インフルエンザで死亡した27カ国の574人を分析。生前の健康状態が分かる241人のうち9割に持病があった。最も多かったのが、そのうちの3割を占める肥満や糖尿病などのメタボ患者。妊婦は、死亡した20~39歳の女性の3割で、季節性インフルエンザと同様に新型でも死亡の危険性が高まるとみられる。


 インフルエンザに対抗するためには、感染を防ぐか感染しても重症化しないように免疫力を高めておくしかないのです。免疫力を高めるには、健康を維持する(肥満も解消しておく)以外にインフルエンザワクチンを接種するという方法があります。現在、日本には概数で、妊婦 100万人、基礎疾患のある人 1000万人、基礎疾患のない高齢者 2100万人がいると言います。妊婦と基礎疾患のある人の合計だけで1100万人になり、日本のインフルエンザワクチンメーカーの製造能力にほぼ達してしまいます。それに、基礎疾患のない高齢者 2100万人を加えたとすると、3200万人になります。しかし、これでも足りません。インフルエンザ患者の治療にあたる医療従事者 100万人をまず守らなくては、医療が崩壊してしまいます。ここまでの合計が3300万人です。これに、厚生労働省は、1~6歳の乳幼児 600万人と7~18歳の小中高生 1400万人も加えて、5300万人分のワクチンが必要だとします。

 ワクチンは現在、国内4社のメーカーが製造しており、12月末までに1300万~1700万人分が供給される予定ですが、製造を2月末までに延ばしても3000万人分が限界のようで、必要とされる5300万人分にはまるで及びません。不足分を補うために政府は輸入を検討していて、海外のワクチンメーカー数社と交渉中のようです。一部の企業は副作用(副反応)が出た場合の責任を免除することを求めているようです。日本にはアメリカにあるような「無過失補償制度」がないからです。

 インフルエンザの予防接種を受けた後に、発熱やショック症状、肝機能障害などの「副反応」とみられる症状を起こす人は、日本では、年間100人から150人ほど。この「副反応」の発症例は、分母(接種を受けた者)がいくつか不明です。分子(「副反応」の発症者)もすべてが報告として上がってくるとは考えにくい。1万例をサンプリングしたところ、100例ほどあったとする報告もあります。これだと、副反応がでるのは1%ほど。症状は発熱が最も多く、次いでショック症状、肝機能障害、浮腫、ぜんそくなど呼吸器症状、注射部位のはれ、発疹の順となっています。「副反応」を起こす年齢層は、10歳未満と70歳代が多いそうです。予防接種後に心肺停止や、肝不全などで死亡する例は、年間5人前後だそうです。

 アメリカでは、1988年に、National Vaccine Injury Compensation Program (VICP)が設立され、ワクチンによる副反応で障害が生じたときには、十分な補償を受けることができるようになっています。(The National Childhood Vaccine Injury Act of 1986, as amended, (the Act) established the VICP. The VICP went into effect on October 1, 1988 and is a Federal "no-fault" system designed to compensate individuals or families of individuals, who have been injured by covered childhood vaccines, whether administered in the private or public sector.) それまでは、副反応で障害が生じた場合は、訴訟を起こして賠償金を請求するしか方法はなかったものが、VICPができたことによって、ワクチンメーカーや医療関係者、国などの責任追及をせずとも、補償を受けることができるようになりました。

 この制度のおかげで、ワクチンメーカーは製造上の瑕疵がなければ、訴訟のリスクを負わなくて済むようになりました。日本にはこれがないので、責任を免除しろと言ってきているわけです。しかし、この責任を免除すると、ワクチン禍の被害者は救われないことになります。日本は感染症対策の後進国です。法律の整備すらなされていません。はしか(麻疹)がいまだ流行する先進国は日本以外にはないそうです。

 2009年8月26日の読売新聞の記事からです。

 舛添厚生労働相は8月26日、新型インフルエンザ用のワクチン接種によって、副作用(副反応)が出た場合に、被害者を救済する補償体制構築をめざす特別措置法を、衆院選後の国会に提出する意向を明らかにした。政府は国内生産で不足するワクチンを輸入する方針だが、海外メーカーは副作用が出た場合も免責するよう求めているため、輸入の前提として補償体制の構築を急ぐべきだと判断した。

 ワクチンなどの医薬品を輸入する場合、安全性を確認する臨床試験(治験)が行われ、5年程度かかります。それでは今回の状況では間に合わないため、舛添要一厚生労働相は8月25日の会見で「特例承認になると思う」との見解を示しました。「特例承認」は、緊急時に限ってですが、日本と同程度の審査態勢が整った国であれば、最小限の治験で承認が可能となる制度です。いままで適用された例はありません。制度上は治験を行わずに輸入することも可能なのだそうですが、「数100人でもいいから治験はすべきだ」(国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長)と指摘する人もいます。海外メーカーの新型インフルエンザ用のワクチンは免疫力を強めるための製剤を添加するなど国内メーカーのワクチンと製造方法が異なるため、安全性に疑問を抱く専門家も多いのだそうです。



 数ヵ月後には、世界ほぼ同時にインフルエンザワクチンが接種されることになります。インフルエンザワクチンの有効性が世界規模で検証されることになります。ワクチン禍が起こる確率(安全性の問題)とワクチンの有効性をめぐって、壮大な試験場に世界はなるのです。過去の例によると、予防接種後に心肺停止や肝不全などで死亡する人は、5300万人に接種が行われたとすると、およそ18人になります。輸入ワクチンを用いると、これを「少なくとも18人」という表現にすべきかも知れません。ワクチンによって重症化せずに命を救われる人たちがこの数百倍ほどもいたとしても、この数字を日本人は冷静に受け止めることができるのでしょうか。

          (この項 健人のパパ)

(追記) 2009年8月27日の時事通信の記事からです。

 新型インフルエンザの感染拡大を受け、舛添要一厚生労働相は8月27日、記者会見し、「9月中に政府方針を決定し、10月下旬からワクチン接種を開始する」と述べた。不足分を補う輸入ワクチンについては「安全性を確保したい」とし、臨床試験(治験)を実施する方針を明らかにした。舛添厚労相は接種開始を急ぐ意向を示してきたが、26日の専門家との会合で、出席者から「輸入ワクチンには添加物があり、副作用の有無が不明」と慎重な判断を求める意見が続出。こうした声を受け、同相は「100例でも治験をやりたい」と説明した。
 
 2009年8月27日の時事通信の記事からです。

 長野市は27日、新型インフルエンザに感染し肺炎を併発、重症となっていた同市近郊の30代の男性が同日死亡したと発表した。死因は肺炎による呼吸不全で、重い慢性心不全を患っていたという。国内で新型インフルエンザ感染者の死亡が確認されたのはこれで5人目。
 同市によると、男性は20日に咳や下痢などの症状を訴え、23日に37.9度の熱が出たため市内の医療機関を受診。症状が改善せず25日に同市の病院に入院したが、26日朝呼吸不全となり、集中治療室(ICU)で治療を受けていたが、27日昼すぎ死亡した。


 どのような状況でどのように病状が進行すると危険なのかを知ることが自分の身を守るのに役に立つであろうと考え、しばらくニュースを追跡します。

1例目(産経新聞による)
男性、57歳、慢性腎不全、沖縄県
9日午後、喉の痛みを訴えた。
10日の透析治療中に37度台の熱があったが、簡易検査は陰性だった。
12日の透析中に39度まで熱が上がったため再度、簡易検査を実施。インフルエンザA型陽性と判明した。
男性はタミフルを投与され、別の医療機関に入院した。
15日早朝に死亡した。肺炎を併発し、敗血症を起こしたことによる。

2例目(読売新聞による)
男性、77歳、高齢、神戸市
16日に38度の熱が出る。
17日朝、市内の透析医院で受診。簡易検査でA型陰性だったが、肺炎の疑いがあるとして総合病院に入院した。
同日午後、再検査でA型陽性を示し、呼吸困難などの症状があったため、医師がタミフルを投与した。
18日午前6時20分、急性気管支炎による肺気腫の悪化で死亡した。

3例目(毎日新聞による)
女性、81歳、心疾患、名古屋市
13日に39.5度の高熱があったため救急外来を受診してそのまま入院。
15日になって咳がひどくなったため個室に移った。簡易検査でA型陽性となる。
18日に遺伝子検査(PCR検査)の結果、新型インフルエンザと確認される。
19日午前1時半ごろ重症肺炎により死亡。

4例目(時事通信による)
女性。84歳、高齢、名古屋市
24日午前9時半ごろ、38.5度の熱が出たので、簡易検査を実施したが陰性。
25日に呼吸困難に陥った上、熱が上がったため、再び簡易検査したところ陽性だった。
同日午前10時25分ごろに誤嚥性肺炎で死亡した。

5例目(時事通信による)
男性、30代、慢性心不全、長野市
20日に咳や下痢などの症状を訴える。
23日に37.9度の熱が出たため市内の医療機関を受診。
25日に症状が改善せず、同市の病院に入院した。
26日朝呼吸不全となり、集中治療室(ICU)で治療を受けていた。
27日昼すぎ肺炎による呼吸不全で死亡した。

(追記)
6例目(読売新聞による)
女性、60歳代、肺癌、枕崎市
27日に発熱。
28日に新型インフルエンザの感染が確認された。
29日未明に急性呼吸器不全で死亡した。

7例目(読売新聞による)
女性、30歳代、姫路市
27日、発熱や咳、倦怠感などの症状があり、自宅近くの医院で受診し、A型インフルエンザの診断を受け、タミフルの処方を受けた。
29日午前1時30分頃、自宅で容体が急変し、姫路市内の病院に搬送されたが、午前4時過ぎ、死亡が確認された。

(追記)

 2009年11月13日配信の毎日新聞からです。

 厚生労働省は11月13日、新型インフルエンザワクチンを接種した富山県の70代男性が、接種翌日に急性呼吸不全で死亡したと発表した。男性には肺気腫の基礎疾患があり、主治医は「持病が原因で、ワクチン接種との関連はない」と判断している。厚労省は専門家に因果関係の検討を依頼し、安全性を改めて評価する。ワクチン接種後の死亡例は初めて。
 厚生労働省によると、男性は11日午後、通院先の医療機関でワクチンの接種を受けた。特に異状はなかったが、翌日夜、家族が死亡しているのを見つけた。男性は肺の機能が低下し、慢性呼吸不全の状態だったという。
 使われたワクチンは化学及血清療法研究所(熊本市)の製品で、同じ製造番号のワクチンは約2万6500本(約48万回分)出荷されている。13日までに、この死亡例以外に58件の副作用報告があったが、頻度は他製品と大差ないという。


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