ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

霧の中の採集者.ヒメヒカゲ2

2009年07月24日 | 生き物 自然


昨日の続き

そうこうする内に霧が立ち込めてきて、「尾張小牧」
の男もこれで諦めて帰るかと思った。
しかし甘かった。
その男は霧の中でまだ捕蝶網を振り回していたのだ。
こいつは悪質だ、実力行使で阻止したいところだが、
今ひとつ根拠に不安だ。
ここで、自然管理センターがあったのを思い出し、そ
こに報告することにした。
車のナンバーもばっちり覚えて。
管理センターは現場から数分の場所。
センターの駐車場に車を止め、駆け込もうとしたら、
何と、管理センターは閉鎖状態ではないか。
おいおい、行革でなくなってしまったのか。
折角そのつもりで急いできたのに、完全に肩透かし
だ。
気持ちが治まらないではないか。
それにしても、あの「尾張小牧」の男。

コレクターというのは、珍しいものほどほしがる。
蝶の場合は、希少種ということになる。
人が採ったところで、絶滅するものではないというの
が彼らの理屈。
今回の、「一頭くらい良いでしょ」という言葉がそれ
をよく表わしている。
しかし、ある数以下になると、絶滅の決定的な要素と
なるのだ。
つまりその可能性のあることは、徹底的に排除しなく
てはならない。
最近は、そういう悪質なことをする採集者は、60前後
の、暇と金のあるおやじ共という傾向がある。
だから、「尾張小牧」辺りから4WDを飛ばし、200キロの
道を「ヒメヒカゲ」を採る目的のためだけに来るのだ。
見かけは普通のおやじなのだが、自分のコレクション
を増やす欲望を制御できずに、悪質な行為に走る。
大体が、すでに保有しているのだが、常に新しいもの
をほしがるのが彼ら。
実に、困った存在である。
自分の欲望のみで、自然全体を見つめなおすという視
点が根本的に欠けている彼らに有効なのは、厳しく取
り締まること以外ないのではないか。
多分、自覚などはしない。
いい歳した大人故、今更無理だと思う。
文化的教養の欠如と言っても良いのではないか。

採集禁止看板がないのも気になり、翌日管轄の塩尻市
役所に問い合わせた(自分でもよくやると思う)。
職員はクレームだと思い、始めは明らかに警戒した態
度だった。
まず、禁止かどうか聞いてみた。
条例で禁止したという事実はないらしい。
この時点で、「尾張小牧」の男には嘘を言ったことに
なる。
確かに、ハッタリのつもりもあったから。
しかし、それ以前に国定公園法で禁止されているとい
う事実を告げられた。
この時点で、職員の態度が変わった。
クレームではなく、意見として聞くという態度になっ
ていた。
そこで貴重な蝶なので、もう少し誰でも判るように禁
止の看板を増やすように要望して、職員の貴重なご意
見ありがとうございましたの言葉で電話は終了。
どこまで役所が自覚してるかは分からないが、少しは
状況を知ることにはなったろう、と思うことにする。

先週は所沢、今回は尾張小牧と、全く世に悪質な人間
は尽きない。
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