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No1073『ムーンライズ・キングダム』~爆音映画祭のマイベスト~

5月3日から6日まで神戸の新開地のKAVCで開催された
爆音映画祭(今週平日に京都でもありますが)。

今年は5日、6日に参加し、計6本観ることができた。
といっても、5日は、前日の楽しさの余韻(?)で集中力に欠け、疲れもあって
『汚れた血』は、途中、うとうとしてしまったり、ちょっと盛り上がりに欠けた気もする。
お客さんの数も、去年の第1回に比べると、全体に少なく、
『シガー・ロス~』でも、満席にならなかったのは残念。
とはいえ、いつもに比べたら、圧倒的に若い観客が多く、
映画の音も映像も楽しめたので、ぜひ来年も開催してほしいと思う。

期待の『ムーンライズ・キングダム』は
6日の朝11時からの上映で、早起き(?)して駆け付けた。
楽しかった!
最後のエンドロールで流れるブリテンの「青少年のための管弦楽入門」もいいけど、
この映画のテーマ曲「ザ・ヒロイック・ウエザー」のメロディが
弦楽器、打楽器、管楽器と次々といろんな楽器で、
順に演奏されていくのを聴いていると(サントラの21曲目
まるで、先日の音楽講習会で、
ドラム、ベースと音を加えていって楽曲ができあがっていくのと
同じ過程を、クラシックで聴いているようで(こちらは、音は重ならないのですが)
音楽つながりで、嬉しかった。

爆音上映という、ライブ機材をつかった上映だけあって
小太鼓とか、大太鼓のような低音楽器の音がお腹に響いて、心地よかった。

この映画を観るのは3回目なのだけれど
冒頭、雨の音から始まるとは気づかなかった。不覚。
爆音がいいのは、こういう、小さな音を発見させてくれること。
スージーの家で、弟たちやスージー、両親が、それぞれの部屋で過ごしているのが映るが、
外はしっかり雨。
この映画のクライマックスの暴風雨を予見したファーストシーン、見事でした。

小さな島に住む12歳の少年サムと少女スージーが一目ぼれして駆け落ちするお話。
恋する少年サムの表情がとってもいい。
スージーを守ろうと懸命な表情や、
スージーを見つめる、ものいわぬ目に、思わずときめいてしまう。
こどもながらに、精一杯背伸びして、
僕にはスージーしかいないと一目ぼれしている、甘酸っぱい恋路がすてきでした。

それでいて、独身の中年警官のブルース・ウィリスに
(字幕)「恋愛経験は?」(逐語訳:今までに誰かを愛したことあるの?)
「片想いだった」(彼女が僕に愛を返してくれなかった)
「あー」
と、がっかりした表情をしたり、
ませた会話もしていて、
大人びたところと子どもっぽいところが同居している。

そこに色とりどりの音楽が加わって、楽しさ、豊かさがあふれ、
大人たちは大人たちで、一生懸命やってる姿がいい。

サムは、両親もなく、ボーイスカウトでも嫌われ者で、
スージーは、母親の不倫が許せず、3人の弟たちとも気が合わない。
孤独をかみしめていた2人が、電撃的な恋に落ちて、
手紙をやりとりし、ついに駆け落ちの約束をして、
麦畑の真ん中で落ち合う。
鞄を持った2人が出会い、見つめあい、、少し照れながら、話をするシーンもいいし、
サムが、ボーイスカウトで得た知識をフルに生かして、
スージーに熱心に教えたりしながら、
川や山を越えて、目的の、最後に「ムーンライズ・キングダム」と二人が最後に名づける入り江までの
前半の道中も、本当にすてきで、
前回、見たとき、私は寝ていたのかと思うほどのしょぼい記憶力を反省。
とはいえ、ちゃんと今回観れてよかった!

最後、警官の養子となったサムが、
スージーの部屋から出て、別れるシーン、
2人は、一言も言葉を交わさないけれど、
目と目だけで、しっかり、心がつながっていることがわかる。
このあたりの演出はさすが。
ぜひ予告編だけでも、観てみてください。

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