日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ63 ~ すぐに使える「見える化」のヒント5

2009-06-26 | 経営
前回の補足、「議論の見える化」における「ホワイトボードの効用」についてです。

会議やプレゼンで、文字情報の「見える化共有」手段は大きく3つあります。「パワーポイント等投影資料」「レジュメ」そして「ホワイトボード」の3つで、それぞれメリット、デメリットあるのですが、こと協議、議論を中心とした会議における「議論の“見える化”」には断然「ホワイトボード」が力を発揮してくれます。

まず、他の2つがメリットを発揮する場面をお話ししておきます。「パワーポイント等投影資料」は、まさにパワーポイントが作られた目的そのものですが、最大の活躍の場はプレゼンです。スライドを1枚1枚切り替えて話を進めていく様は、まるで我々が子供の頃夕方公園に来ていた紙芝居屋さんを思いおこさせ(歳がバレます)、「次はどうなるのかな?早くめくってよ、次が見たいよ」とプレゼンを受ける側に期待感やワクワク感を持たせつつ進めるのにもってこいなのです。

転じてただ話すだけでは伝えたいことが伝わりにくいセミナー、講演などでも、聞き手を引き込むために“紙芝居タイプ”の「パワーポイント等投影資料」での「見える化」が有効です。この場合注意を要するのは、パワーポイント・スライド資料をプリントして事前に配布しないこと。人間配られたものはついつい先走って先先見てみたいもの。事前配布でワクワク感は一気に減じてしまうと心得てください。特に価格を先に見てしまうと、プレゼン効果が半減するケースなどもありますので、要注意です。

一方「レジュメ」は、基本的に「報告」ベースの「情報の共有化」目的での“見える化”に向いています。「報告」においても、口頭だけで経過や結果を伝えるのと、「見える情報」と共に伝えるのとでは、その情報の共有レベルにおいて雲泥の差が出ます。口頭だけの場合には、右から左で聞き逃してしまいがちな情報でもしっかりと目で確認ができますし、目で確認することにより聞き手の中でその「情報」に関する分析や思考が発生し、意見や質問となって出ることにつながり報告会議の活性化ひいては業務の活性化につながるのです。「報告」にプレゼンのようなワクワク感は不要ですから、パワーポイント資料を作る必要性は乏しく「レジュメ」で十分な訳です。

では「ホワイトボード」にはいかなるメリットがあるのでしょう。冒頭「議論の“見える化”」には断然ホワイトボードと申し上げました。「ホワイトボード」は「書きながら進む」から「その場で考えをまとていく様が“見える化”される」と言う点が、特に素晴らしいのです。すなわち、議論や思考が進展する様が“見える化”され参加者間で共有できるのです。議論の流れが目に見える形で整理、確認できれば、見当違いの発言や横道侵入防止などにも大いに役立つ訳です。一度実験をしたことがありますが、叩き台資料としての「レジュメ」だけを配布して口頭のみで議論する場合と、同じ「レジュメ」を配布しかつファシリテーターが「ホワイトボード」に議論の流れを順次書いていく場合とでは、議論の収束速度、無駄議論の度合い等に明らかな差が出るのです。

「ホワイトボード」は「議論」の他、「説明」「指導」時等にも大きな効果が発揮されます。説明したいことを、説明したい順番で書きこんでいく、質問があればそれを脇に書き加えて、今の質問が本題のどの部分に位置するのかを「見える化」する、等々説明する側の論理展開や質問者の不明な点のポジショニングを、流れに沿って見せていくことが出来る訳で、レジュメのみで説明する場合と比べて大幅に関心の度合いや理解の度合いが深くなるのです。これも大昔の大学受験時代に「西尾の英文法」や「寺田文行の現国」が、「旺文社ラジオ講座」比べて黒板を使用する代ゼミの“生”授業の方が数段興味深く分かりやすかったのと同じ原理なのです。

説明や議論の際に紙に書くのもいいのですが、やはり書くだけでなく流れ次第ですぐ消して修正したりレイアウトを変えたりできる点も、「ホワイトボード」の利点であります。議論が切り替わった時には、すべて消してしまうことでゼロクリアもできますから。そんな訳で、仕事の中で「議論」や「説明」の場面が欠かせないコンサルタントたちは「ホワイトボード」を常用し、万が一「ホワイトボード」の設置がない時用として小型「ホワイトボード」を持ち歩いたりもしています。私もどこにでも貼り付く1000円弱の小型ホワイトボード(写真)をノートの表紙に付けて携帯していますが、大変重宝しています。とにかく使ってみてください。「ホワイトボード」の“見える化マジック”で、こんなにも「議論」や「説明」に皆の理解が得られるものかと驚かされることうけあいです。

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