日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

〈70年代の100枚〉№87~“元祖ルーツ・ロック”のアメリカン・スピリット

2009-10-12 | 洋楽
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、略してCCRと言います。日本ではCCガールズは知っていてもCCRは知らないと言う音楽ファンもけっこういるようでして、今となっては何とも情けない程度の知名度です。でも彼ら、60年代末期から70年代初頭にかけて数多くのヒット曲を放った伝説のアメリカン・バンドなのです。

№87   「コスモズ・ファクトリー/クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」

ブルーズ、ソウル、カントリー…あらゆるアメリカの音楽をまぜこぜにして、出てきたものをロックビートに乗せました、と言った感じの表現がピッタリくる“ザ・アメリカン・バンド”、それがCCRです。あまりにもアメリカ過ぎるからなのか、カントリー臭が強すぎるからなのか、日本ではとんと聞かない存在になって久しいです。でも日本でも当時は、「プラウド・メアリー」や「雨を見たかい」がけっこう売れていました。アメリカでは、完璧に一時代を形成したヒット・メーカーであり、リーダーのジョン・フォガティは解散後ソロとしても十年一日の如き音楽制作を繰り返していながら、その後もアルバムを出せばその音楽に人々のアメリカ魂が騒ぐのか、必ずやヒットを記録しているのです。ちなみに97年の「ブルー・ムーン・スワンプ」もグラミー賞を受賞。近々久々の新作も出されるとか、またあちらでは売れるんでしょうね。

さてさて70年発表のこのアルバム、前年69年以来出せばヒット連発の絶好調を象徴するようなヒット曲のオンパレードです。A3「トラベリング・バンド(2位)」B3「フール・ストップ・ザ・レイン(2位)」B1「アップ・アラウンド・ザ・ベンド(4位)」A6「ラン・スルー・ザ・ジャングル(4位)」A5「ルッキング・アウト・マイ・バック・ドア(2位)」B5「ロング・アズ・アイ・キャン・スルー・ザ・ライト(2位)」と、両A面扱いでシングルが切られていたとは言え、実に6曲のTOP5ヒットを出すという、マイケル・ジャクソンも真っ青のヒット・メーカーだったのです(このバンド実は全米№1ヒットがなく、シングル最多第2位記録という珍しい記録保持者でもあります)。そしてアルバムは、実に9週連続№1を記録しています。同年ではビートルズの「レット・イット・ビー」が4週№1、レッド・ツェッペリンの「Ⅲ」も同じく4週№1ですから、この当時の全米チャート的CCR人気がいかにすごいものであったか、よくお分かりいただけると思います。

でも彼らがヒット狙いの安っぽいバンドであったかと言えば、決してそうではありません。ルーツ音楽に根差した演奏をガッツリ聞かせるナンバーも必ずアルバムには入っていて、このアルバムでもB4などは黒人コーラスバンド、グラディス・ナイト&ザ・ヒップスおよび大物黒人シンガー、マービン・ゲイのヒット曲「悲しいうわさ」を、長尺ギターソロも含め白人バンドである彼なりの解釈で約11分にわたリ展開するという、ヒット曲ばかりではないこのアルバムの聞きどころとなっています。このように、よくよく聞き返してみればしっかりルーツ・ミュージックしてまして、決して安直な受け狙いバンドなどではなく、その後のサザン・ロックやウエスト・コースト・サウンドの原型がしっかりと見て取れるのです。

それにしても日本では今や知る人の少ないこと…。名盤選とかでもほとんど目にしませんし、とんと話題に上りません。ジョンの声は日本人好みじゃないのかな。でも単に彼らのアメリカ臭だけでなく、ジョンの兄トム・フォガティ脱退後の72年、ほとんど解散状態で日本公演を敢行し、武道館でお粗末な演奏レベルとたった40分のギグと言うビートルズ然とした超大物みたいな真似をして、悪評を買ったことも日本での不人気の一因であるように思います。残念。

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