日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

相撲協会は“無教養運営”の抜本改革を!

2010-06-15 | ニュース雑感
不祥事が続く相撲界。暴力団への関係者観覧席券融通の一件では木瀬親方が先の処分時点で暴力団との付き合いがあったことを協会の聴取で認めていたことが判明、野球賭博疑惑では昨日現役大関の琴光喜関が報道時点で否定していた賭博関与を認めたと言います。どうなっているんだこりゃ、という感じで開いた口が塞がりません。

2つの問題に共通することはゴマカシ、隠ぺい、常識とかけ離れた判断の類等々を平気でおこなう相撲協会の体質そのものに原因があると言う点です。まず、木瀬親方の一件では協会が、被疑者の暴力団との付き合いの有無という一番重要な問題点について事実を公表せず、処分だけを発表して終わりにしている点が全く常識外です。本人が認めていた事件の核心を公表せず隠ぺいすることを良しとするとは、組織として常識的な判断能力を逸していると言わざるを得ないでしょう。野球賭博の問題では、事実関係の調査において「正直に言えば今回はみのがしてやるから正直に言え」というスタイルで全力士から自己申告を求めたそうですが、これじゃ小学校の学級会です。

しかも、この協会の申し出に渦中の琴光喜関は「実はやっていました」と嘘を吐露した訳で、「大関」という角界を代表する人物が子供でも分かる事の善悪にようやく気がつくという始末です。これが教育テレビの道徳の時間のドラマなら、気がついた主人公は今回は責められず「これからは嘘をついちゃだめだよ」「悪い人たちと付き合っちゃだめだよ」の教育的サジェスチョンで番組は終わるところですが、お前はれっきとした大人だろと言いたくなる呆れた展開でした。しかも今回の調査で賭博をしていたと自己申告した力士が65人、うち暴力団との関与をうかがわせる野球賭博をしていたのが29人もいたそうですから、この業界の常識はどこにあるのか、と唖然とさせられるばかりです。

力士自身が平気で反社会的勢力に近づいたり不法行為に手を染めたり、さらには平気でうそをつくのは、長年培われた相撲協会の無教養がなせる非常識風土にあると思います。協会自身が平気で重要事項の隠ぺいをはかろうとするのですから、何をかいわんや。ズバリ問題点は「伝統」「国技」の名の下での、教養のカケラもない相撲が強かっただけの者たちによる閉鎖的な協会運営です。すべての原因はそこにあると思います。ここ最近の、弟子の暴行致死、国際化時代の力士の品格、薬物汚染、そして賭博に暴力団関与、と次から次へと起きる角界を巡る不祥事と管理すべき協会の無策さを見るに、文部科学省管轄下の公益法人としての協会運営はその体をなしていない、と断言できます。一般企業なら経営幹部は即刻総辞職、取引金融機関から経営陣を受け入れて大手術が必要という状況です。

もう今回ばかりは、公益法人である以上文科省も徹底的な指導をおこうべきであると思います。場合によっては政治的な圧力も加えながら、まずは現職幹部役員の総辞職。そして、執行部は最低半数は民間からの有識者をその運営にあたらせる等の大改革が必要です。会社組織で言ってみれば、委員会制を導入して民間からの社外取締役に規律整備や教育体制確立も含めた基本的な組織運営と監理を一任。実際の場所運営や巡業に絡む実務執行管理のみを角界OBが執行役員的に担当する、そのようなマネジメントのアウトソーシングと経営と実務管理の完全分離をおこなう以外に相撲協会を再生させる道はないと思います。もう今回は後がありません。「国技」である以上、国主導での改革に今こそ着手すべき時でしょう。マスメディアも単なる協会批判や琴光喜関の処分うんぬんばかりに終始するのではなく、今後の協会運営のあり方について具体的な意見具申をすべき時であると思います。