日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

売れ筋ビジネス書<ブックレビュー>2・12号

2009-02-12 | ブックレビュー
最近話題の売れ筋ビジネス書のブックレビューです。

★「レバレッジ・マネジメント/本田直之(東洋経済:1600円)」
★「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則/本田直之(大和書房:1000円)」

おなじみ「レバレッジ・シリーズ」の最新刊。今回は、「レバレッジ・マメジメント」と称して経営者向けに、その姿勢、考え方、戦略等について「レバレッジ」を利かせる行動のあり方を説いてます。私自身、本田氏のレバレッジ・シリーズは大半を読んでいますが、今回の切り口である「マネジメント」は言ってみればビジネスにおけるあらゆる要素を総括する存在であり、その意味では本書が今までのシリーズの総集編的なつくりになっているという印象が色濃く出ています。

初めて氏の著作を読んだ時のような新鮮さはありませんが、各著作のエッセンスが程よくブレンドされて、シリーズを読んでいる人には復習兼総仕上げ的存在になるでしょうし、初めてこのシリーズを読む人には比較的詳しいレバレッジ・カタログ的な存在になりうるものと思います。対象は中小企業経営者および管理者と起業希望者。レバレッジ・シリーズを初めて読む人には、経営全般にわたって言及されているだけに、けっこう“目から鱗(うろこ)”的な衝撃があるかもしれません。かなり好調な売れ行きのようで、発売以来アマゾンのビジネス書分野で上位を続けています。

もともと「レバレッジ(=梃子(テコ)の原理)」的発想をビジネスに持ち込む考え方は、私自身の起業時のスタンスにも共通するものがあり、氏の考え方は個人的に共感するところ大いにありであります。ビジネス・パーソンとして部分的にであれ私の目標になりうる人物であると再確認できた、非常に本田氏らしい著作でありました。

10点満点で9点。読む価値大いにありです。
マイナス1点は、他の著作を読んでいる人にとっては目新しさに欠ける点です。

一方、同時期に発売されやはり今売れている氏の著作「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」は、どちらかというと若手ビジネスマン向け。氏の考え方のエッセンスには触れられているものの、55の項目立てという箇条書き方式にしたことで、氏の論点を支える「レバレッジ思考」の重要なポイントがボケてしまい、ありがちな「行動啓発本」的になってしまったのが残念。むしろ、値段相応の仕上がりにおさめたという意味で、なるほど一流コンサルタントらしい仕事と言うべきなのかもしれません。

こちらは6点。サラッと読めます。多くを期待せず通勤電車向けにどうぞって感じです。

明日も引き続き<ブック・レビュー>やります。