日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ54 ~ 「ロジカル」の第一歩→「理由を明確にする」

2009-02-27 | 経営
前回触れた管理者の3つの管理のうち、もっとも難関とお話しした「感情の管理」について、もう少し分かりやすく追加説明します。

「感情の管理」とは、「言動が感情的にならないよう管理する」ということです。では、「感情的にならない」とはどういうことでしょう。この場合の「感情的」の反対語を考えてみましょう。一般的な対義語ではないかもしれませんが、この場合は「論理的」が「感情的」の対義語にあたるのと考えます。なぜなら、ここで言う「感情的に人と接すること」は、「論理的でなく、思いつきで言動を発すること」だからです。

でも「感情の管理」をするために「論理的に行動せよ」と言われても、どう動いていいものか、ちょっと難しいですね。ではこう考えましょう。「感情的になる」とは、先ほど「論理的でなく、思いつきで言動を発すること」と言いました。すなわち、「思いつきで行動しないこと」がここで言う「論理的行動」となります。ということは、「思いつきでない」とは「考えて言動を発する」ことになるのです。「考えて言動を発する」をさらに一歩進めて「何を考えて」かに焦点をあてると、すなわち「自分の言動の理由を考えて」であることが分かります。つまり、「論理的に行動をする」とは、「自分の言動の理由を考えて行動する」ことであるのです。

ではなぜ、「理由を明確にする」ことが「論理的行動」につながるのでしょう。ロジック・ツリー分析を思い浮かべてください。ロジック・ツリーはひとつの出来事の原因を次々ツリー状にして展開し、その一番根源となる原因を探り出して問題解決につなげるフレーム・ワークでした。そう、このロジック・ツリーこそ究極の「理由探し」のフレーム・ワークであり、理由を明確化することこそが「論理的展開」の裏づけになるという考えの下、「ロジック・ツリー」=「論理の樹」と呼ばれているのです。

こうやって考えると、論理的な言動をすることの第一歩は「その言動の理由を明確にすること」であることがお分かりいただけるのではないかと思います。理由が明確でそれを知らせながら、相手に指示・命令をおこなうなら、相手はその理由が理不尽でない限りにおいて指示・命令に従わざるを得なくなるのです。まさに「感情の管理」ができる論理的管理者の姿がそこにあります。

「感情の管理」すなわち、感情的でない言動や受け答えができることは、一人前の管理者になるための必須条件です。一方感情的でない言動、すなわち「論理的言動」を心がけることは難しいと思われがちです。難しいと思う人が多いからこそ、「ロジカル○○」と言ったノウハウ本が本屋さんの店頭で目につく昨今なのでしょう。でも実は、「論理的」=「ロジカル」な言動の実現は簡単なのです。基本は、「理由を明確に伝えること」に他ならないのですから。逆に自分の言動で、その理由がうまく説明できないとしたら、それは「論理的でない」=「感情的」な言動に他ならない訳です。

ロジカルな経営者、ロジカルな管理者であるためには、自身の言動のつど「その理由」を自問自答し、その「正当性」について常に自己チェックを心がけることです。