日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ5 ~ “番頭さん”はなぜ必要か

2007-09-26 | 経営
引き続き「組織経営者に求められる“ふたつの顔”」についてです。

「カリスマ」と「社員の代表」、明らかに矛盾していそうな、ふたつの経営者の顔。昨日は至って簡単なことのようにお伝えしましたが、「軽くに言ってくれるけど、そんなにやすやすとできる訳ないだろう!」と思われるムキもあろうかと思います。

もちろん私も、社長ひとりでこれが完璧にできる人は、世の中決して多くはないと分かっています。では、一般的にどうしたらよいでしょうか?

答えは簡単。自分でできない、あるいはできる自信がない場合は、「社員の代表」としてマネジメントを考え実践する人を別に作ればいいのです。そのかわり、その人物には「社員の代表」部分の経営者として、自分と対等の発言力を与えかつ彼に対する“聞く耳”を持たなくてはいけません。
これこそが、“社長分業制”の第一歩かつ最重要ポイントなのです。

その人物の人選が、また大切です。単なる社長の腰巾着や提灯持ちの“イエス・マン”にやらせたのでは、「社員の代表」になり得ません。しっかり社内を見渡せ、状況を踏まえて社長の顔色をうかがうことなく、意見が言える人物でなくてはいけません。

「そんな奴はどこにでもいるもんじゃないだろう」、そんな声もまた聞こえてきそうですが、そういった人物を育て作り上げるのは、社長の任務であり社員に対する責任の遂行でもあるのです。それはまた、「俺と社員の会社」を作るための最低条件であるとも言えます。

コンサルタントや上場支援のファンドや監査法人などからよく聞くお話に、「有能な参謀がいる会社は大成する」とか、「会社が大きくなれるかどうかはナンバー2次第」という類のことがあります。昔からよく耳にする、「あの会社は、“番頭さん”がしっかりしているから安泰だよな」と言う話と同じでしょう。

まさに、求められる「社員の代表」こそは、ここで言う「参謀」であり、「ナンバー2」であり、「番頭さん」なのです。
いずれの場合も言えることは、単に参謀が、ナンバー2が、番頭さんが、優秀だったのではなく、社長が彼らを育て、「社員の代表」としての確固たる立場を認め、自分との経営分業を確立できる“優秀さ”を持ち合わせていることこそが大切なのです。

また、長くなりそうなので今日はここまで。
明日はさらにこの考え方の「応用編」を少し。