フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月20日(月) 晴れ *完結

2020-01-23 15:49:04 | Weblog

10時、起床。

サラダと紅茶の朝食。

これだけさとちょっとカロリー不足なので、アーモンドチョコレートを4粒ほど。

朝食をとりながら朝ドラ(いまなら『スカーレット』)を観るのは習慣だが、朝食を食べ終えて書斎に移動する前に、居間で30分ばかり本を読むというのも習慣にしようと思う。以前であれば新聞を読むために使われていた時間であるが、それを仕事とも娯楽とも違う、あえていえば教養としての読書の時間に充てたいのである。仕事の読書は必要に迫られて行う。娯楽の読書は楽しんで行う。しかし教養としての読書は、必要に迫られているわけでなく、かといって楽しんでいるわけでもなく、それを読むことでものの見方や考え方に資するところがあるだろうという中長期的な(私の年齢では長期的というのは難しいが)展望に基づいての読書である。別の言い方をすれば、買ったままで読まれずに本棚に並んでいるだけの本の中から「やっぱり読んでおきたい」本を選ぶということである。

エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史ー極端な時代』上下(三省堂)

1914年(第一次世界大戦勃発)から1991年(ソビエト連邦の崩壊)に至る「短い20世紀」についての通史である。プロローグ+19章なので、朝のひと時、場合によってはその時間がとれない日があったとしても、一月あれば読めるだろう。

昼食は外に食べに出る。西口駅前のサンライズカマタのアーケードを抜けて、

池上線の踏切を越えて、

その先を左に折れて、多摩川線の踏切の手前にある「西洋料理SUZUKI」に行く。

今日のランチはビーフシチューとほたてのグラタンか。

今年もよろしくお願いしますの挨拶を交わして、私がアラカルトの海老フライを注文すると、お店の方(シェフのお母様)が「ほたてのグラタンを海老フライに替えましょうか?」と言われた。私が海老フライとビーフシチューの組み合わせが好きなことをわかっていての提案である。いいんですか? では、それでお願いします。

コーンポタージュスープ。

海老フライとビーフシチューとサラダのワンプレート。アラカルトで注文すると、ビーフシチューは量が3倍くらいになり、海老フライは本数は同じで海老がもっと大きくなる。ビーフシチューの柔らかさと海老フライのカリッ、サクッとした食感の組み合わせが最高だ。

いつもであれば食後にコーヒー(ミニ・プリンアラモード付)を注文するところだが、今日はスイーツを別のお店で食べる予定なので、今日は食事のみ。

JRで一つお隣の大森へ行く。大森駅のガンダムスタンプは「ブライト・ノア」だ。

西口に出る。駅前の通り(池上通り)の向こうの低層の店舗はずいぶんと古い。

横断歩道を渡った先にある「町田書店」。

店内を覗く。頑張っているな。

池上通りを右に行って、途中で、左の道に折れる。これって「ジャーマン通り」だよね? 途中の交番で「この通りはベーカー通りですか?」と尋ねてしまう。「いえ、ジャーマン通りです」と言われる。そうだよね、そのつもりで聞いたのに、なんで「ベーカー通り」なんて言ってしまったんだろう。シャーロック・ホームズかよ。おそらく「ジャーマン・ベーカリー」というパン屋の名前が頭のどこかにあったせいだ。

同じ道が、最初は「大森貝塚前商店会」と看板が出ていて、途中から「ジャーマン通り」の看板に代わった。

ルーテル大森教会の先の角を左に折れ、住宅街に入る。

目的のカフェ「sanno2198」。ブログ仲間のkimimatsuさんから教えていただいたカフェだ。

最初、気づかずに前を通り過ぎてしまい、地元の方にカフェの所在を尋ねたが、「この辺りにカフェはありませんよ」と言われてしまった。地元の方も知らないまさに隠れ家的なカフェである。「2198」は番地(山王2丁目19番地8号)から採っている。

大きな立派な木の扉ではなく、その右手の細い通路から入るようである。

うん、ここに間違いない。

カウンターだけの小さなお店かと思ったら、

こういう空間もある。「どうぞお好きな場所に」とマダムに言われる。客は私だけなので、カウンターの方に座る。その方がマダムと話がしやすいだろう。

ケーキは日替わり。本日のケーキはキャラメルチーズケーキと安納芋のプリン(写真)の二種。プリンをチョイス。

「どなたかのご紹介ですか?」とマダムに聞かれたので、「kimimatsuさんという方からです」と答えると、「まぁ、キミちゃん!」とマダムの声のトーンが上がった。常連さんのようである。

ケーキ入刀ならぬ、プリン入刀。

最初のワンピースだ。

「少しラム酒をかけると風味がよくなります」とマダムが言った。では、それでお願いします(私は下戸だが、それくらいは大丈夫だ)。

珈琲はマダムがネルドリップで淹れて下さったマンデリン(だったかな)。

美味しいプリンと珈琲をいただきながら、マダムとおしゃべり。このお店を始めた(開店して1年8カ月ほど)経緯などについてうかがった。ここに来る前、近所の方にお店の所在を尋ねたがお店の存在をご存知なかったという話をしたら、「看板も出していないし、宣伝もしていませんからね」と笑っておられた。ちなみにこの建物はマダムのご実家の一部で賃料はないのだそうだ。「だからやっていけるんです」。なるほど。蒲田の「カフェ・スリック」と似てますね(マダムの所有するマンションの一階を店舗にしている)。私の方からは「カフェ・スリック」「まやんち」「パン日和あをや」など私のお気に入りのカフェの話をした。マダムは私の話したカフェの名前を紙にメモしていた。「sanno2198」の定休日は水曜と日曜だから、「まやんち」(木曜・金曜のみの営業)以外は行けますね。

お店には1時間半ほど滞在した。寛いだ時間を過ごすことができた。その間、新しい客は入って来なかった。もちろんたまたまのことだろう。こんな素敵なカフェに客が来ないはずがない。実際、土曜日は一番混むそうだ。平日は、混んだり、空いたり、規則性はマダムにもよくわからないそうだ(このことは他のカフェのマスターやマダムも口をそろえて同じことを言う)。客足というものは読めないものである。

近々、また来ることになるだろう。予約はできないが、電話で混み具合を確認してから来るのがよさそうだ。

ジャーマン通りでもう1軒、行きたい店がある(初めての訪問)。カフェではなく、古書店だ。

「sanno2198」を出て、ジャーマン通りをさらに先へ(環七の方へ)行く。

古書店「あんず文庫」。歩道に「古本・珈琲・洋酒」という小さな立て看が出ている。ブックカフェバーである

去年の9月に開店したばかりの新しい古書店である。昔ながらの本がうず高く積まれている古書店ではない。広くはないが、空間の使い方が洗練されている。奥にバーカウンターが設けられている。(写っている髪の長い男性は店主さん)

中央のテーブルには「馬込文士村」にゆかりのある作家たちの本が並んでいる。

左側の棚の中央には私小説、とくに無頼派と呼ばれる作家の作品と、私小説について論じた評論が並んでいる。

挨拶代わりに一冊購入する。

 秋山駿『私小説という人生』(新潮社、2006)。

店主さんに、池上のカフェ「昔日の客」の関口さんにこの店をことを教えていただいて、今日うかがいましたと伝えると、「それはありがとうございます!」と喜んでいただけた。「昔日の客」とほとんど同じ時期にお店を開いたわけで、関口さんにしてみれば、お父様がやっていた『山王書房』がリニューアルされて現代によみがえったような気持ちでおられるのではないかしら。

店主の方は加賀谷さんとおっしゃる。以前、神保町の「小宮山書店」で働いていたことがあるそうで、ある程度古本業界のことがわかっていないと古書店は始められない。いや、わかっていても、わかっているからこそ、新規に古書店を開業するというのは相当の決断だったはずである。その辺のことは、次回伺ったときに聞いてみたい。

私が新規の客だったからか、店を出るとき、ビスケットを一袋いただいた。「この後、ちょっと「昔日の客」に寄って、「あんず文庫」さんに行ってきましたという報告をしようかしら」と私が言うと、「では、これをお届けねがいますか」と加賀谷さんからもう一袋ビスケットを渡された。飛脚か。

ここから「昔日の客」までは歩いて20分ほどのはずである。

「昔日の客」に着いたとき、すでに日は暮れていた。「昔日の客」ならぬ「夕日の客」である。

店内には関口さんご夫妻とお孫さん、そして三人の先客がいた。小さいカフェだから大賑わいである。

私が「あんず文庫」さんに寄ってから来たこと、店主の方からビスケットを託されたことを話すと、奥様は笑いながら、「こちらから向こうに行かれるお客様に届け物をお願いすることもあるんですよ」と言われた。カフェと古書店の交流、そこに客が加わる、いいですね。

ダージリンを注文したら、落雁が添えられてきた。山王の商店街の和菓子屋さんのもので、お客さんからのいただきものとのこと。あのビスケットも、明日、お客さんのお茶受けになるのかしら・・・と思っていたら、お孫さんが食べ始めていた。

お孫さんはとても利発な女の子で、私はてっきり小学生かと思ったが、まだ幼稚園の年中さんとのこと。関口さん、目に入れても痛くない」のでしょうね。

「昔日の客」を出たのが6時ごろで、自宅までは歩いて20分ほど。家の近くまで来て、整骨院の予約を5時半に入れていたのを思い出した。1時間ちかく遅刻してしまったが、やってもらえた。

夕食は8時。

主菜は鮭缶(肉と煮汁)を使った小松菜とシメジの炒めもの。

3時、就寝