presented by hanamura
「角帯について」
「花邑の帯あそび」では、これまで種類の違う帯についてのお話しをしてきました。
これまでお話しをした帯はその形や仕立て方は違いますが、
全て女性が絞めるための帯でした。
しかし、男性が絞める帯も忘れてはいけませんね。
そこで、今回は男性が使う「角帯」についてのお話しをします。
「角帯」は、女性用の帯に比べ、細くて長い帯です。

その寸法は巾が2寸6分~3寸(15~19cm)、
長さが1丈5寸(398cm)です。
この寸法にとくに決まりはなく、
帯の締め方や体形によって、さまざまなものが揃っています。
「角帯」の仕立て方は「半巾帯」(※1)に似ています。
帯反を半分に折って縫い合わせ、帯芯を入れて仕立てます。
一方「博多織」のように、帯反がしっかりとしているものは
帯反の端をかがって縫い合わせます。
素材には女性の帯と同じように
絹や木綿が使われていますが、
「染め」のものより「織り」のものが多いようです。
締め方は、よく知られている「貝の口」の他にも
さまざまです。
しかし、どの結び方のときにも帯を「3重巻き」にするのがふつうです。
この「3重巻き」にする結び方は、
江戸時代に武士によって広められました。
江戸時代の取り決めの中には、
「武士は大小2つの刀をもつように」というものがありました。
そのため武士は、帯に刀を2つ差して
結ぶ必要があったのです。
まず2回巻いた帯の前に脇差(わきさし)を1本、
そして3回巻いた帯の前に太刀を1本差していました。
刀を差すために用いられていたため、
武士が締めていた角帯は、現在より巾が広めにつくられていました。
当時の武士にとって、帯はただ衣服として用いただけではなく、
武士にかかすことができない刀を身に着けるのに
必要なものでもあったのです。
男性が締める帯には、女性が締める帯にはない
「勇ましさ」があるんですね。
● 写真の角帯は「帯のアトリエ 花邑hanamura」にて取り扱っております。
(※1)5月25日更新のブログ「帯の種類-半巾帯-」を参照してください。
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次回の更新は6月10日(火)予定です。
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