花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

「唐草文様」について-その1-

2010-08-24 | 文様について

presented by hanamura


8月も半ばを過ぎ、
夏着物をお召しになれる季節も
もうあと少しとなってしまいましたね。

夏着物は着用できる時期が短かいので、
もともと、袷と比べて着る機会が少ないのですが、
今年は猛暑ということもあり、
袖を通せなかったという方もいらっしゃるでしょう。

まもなく、単衣の季節になりますが、
早く涼しくなってくれることを
祈るばかりですね。

暑い中、気の早い話しですが、
今年の冬はラニーニャ現象により、
寒さがたいへん厳しくなるようです。
猛暑の夏とはちがい、
重ね着が基本の和の装いにとっては
むしろ望むところかもしれませんね。

とくに、ほっこりとあたたかな紬のお着物は
寒さの厳しい冬には
とても重宝します。
そろそろ単衣や紬、またそれにあわせる帯も
あわせてお探しになられる頃合でしょう。

さて花邑銀座店では、9月1日から20日まで、
「更紗の帯展」を開催いたします。

今年の秋冬に着る小紋や紬、ウールなどのお着物を
引き立てる素敵な更紗の帯を数多く揃えて、
みなさまのご来店を心よりお待ちしております。

今日は、その「更紗の帯展」にちなんで、
更紗の文様の中で、
最も多く用いられている
「唐草文様」についてお話ししましょう。



唐草文様は、絡み合った蔓が曲線状に、
連続的にあらわされた文様です。

お着物を知らない方でも、
ドロボーさんが背負っていた
緑色の風呂敷の文様や、
獅子舞が被っている風呂敷の文様といえば、
すぐに思い浮かべることができるでしょう。

唐草文様は、
そうした風呂敷などの日常品から、
着物や帯、陶器などの意匠に古くから用いられ、
最も親しまれてきた伝統文様のひとつです。

そして、日本同様に、
世界各地でも古くから用いられている文様なのです。

唐草文様のはじまりは、
紀元前3000年前の古代エジプトだったようです。
古代エジプトでは、
壁画の装飾などに「ロータス」とよばれる睡蓮の文様を
連続的にあらわしました。

古代エジプトでは、
このロータス文様が復活や再生を意味し、
聖なる花として装飾品には欠かせないモチーフでした。

やがてロータス文様は、
西アジアで誕生した
古代オリエントにもたらされます。

古代オリエントでは、
「パルメット」とよばれるナツメヤシの文様を
つないだ文様が考案されました。

パルメット文様は繁栄や発展を表し、
このパルメットを繋いで
木のかたちにしたものは「生命の木」とされ、
神聖化されました。

さらに古代ギリシャにおいて
ロータス文様とパルメット文様とが
融合したパルメット唐草文様が考案されます。

このパルメット唐草文様は、
曲線状に蔓が意匠化されて
繋がれたもので、
現在の唐草文様とほぼ同様のものです。

古代ギリシアで考案されたパルメット唐草文様は
やがて、アレクサンダー大王の東征により、
ペルシャへともたらされ、
紀元前300年前ごろにインドへと伝えられました。

次回は、インドから中国、そして日本に伝えられた唐草文様のお話です。

※写真の名古屋帯は「更紗の帯展」にてご紹介する和更紗です。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は8月31日(火)予定です。


帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ

最新の画像もっと見る

コメントを投稿