花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

尾長鳥文様について

2010-03-02 | 文様について

presented by hanamura


明日3月3日は、ひなまつりです。
お家に雛人形を飾って
ひなまつりを迎えるという方も多いでしょう。
ひなまつりが過ぎれば、
春の到来ですね。

さて、今回は前回の鳳凰文様と同じく、
空想上の鳥を意匠化した
尾長鳥文様のお話しをしましょう。

実在する鳥にも「オナガドリ」という名の種がありますが、
尾長鳥文様の「尾長鳥」とは、
空想上の鳥とされています。

実在するオナガドリは、
高知県に生息し、
ニワトリの品種で、
オスの尾羽が極端に長く、
ニワトリと同じような頭の形をしていて、
全体の印象は、とても尾の長いニワトリといった感じです。
東京の町中で見られる「オナガ」とは、
名前は似ていますが、
まったくの別種です。

オナガドリは、
日本の特別天然記念物にも指定されています。

「尾」が長いということで、
尾長鳥文様は、オナガドリのアレンジでもありそうですが、
尾長鳥文様の鳥は、
オナガドリよりもセキレイ(鶺鴒)とよばれる鳥に
最も近いようです。

セキレイは、
日本列島の各地に生息していて
よく親しまれている鳥です。
水辺に住み、長い尾を上下に振る習性を持っています。

古代から日本に生息してきたセキレイは、
日本神話にも登場しています。
また、セキレイを神の鳥だ称する伝承も残っています。

尾長鳥文様は、セキレイのアレンジでもありそうです。

つまり尾長鳥文様は、
オナガドリとセキレイなどの
長い尾を持つ鳥を合わせ、
理想化した想像上の鳥文様なのです。



上の写真の名古屋帯は、
桜と尾長鳥の文様を意匠としたものです。
白に青色という幻想的な桜の文様に
尾長鳥がよくマッチしていますね。

尾長鳥文様の歴史は古く、
正倉院にある宝物にも数多く見られます。
作り手たちは、尾の長い優美な尾長鳥を意匠の中に飛ばすことで、
意匠全体にも華麗さや優雅さといった美しさを加えてきたのです。

空想上の鳥である尾長鳥文様は、
その時々の意匠に合わせてアレンジできる
自由度の高い柔軟な文様です。
そのために、古くから人気がある文様なのでしょうね。

※写真の桜に尾長鳥文様の名古屋帯は花邑銀座店にて取り扱っています。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は3月9日(火)予定です。


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