ヌマンタの書斎

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エンジンの製造は難しい

2023-08-25 09:36:15 | 経済・金融・税制

 

地味な技術を侮るなと云いたい。

ここ数年、EV車に積極的でない日本の自動車メーカーを誹謗し、コリアやシナの自動車メーカーを持ち上げる自動車評論家が目につく。

日本の自動車メーカーがEV車に消極的なのは事実だし、コリアやシナが積極的なのは事実。その意味では間違いではないが、私は些かこの手の記事に違和感を持っている。

ガソリン価格の上昇は、原油の枯渇問題と強く関連しており、従来のようなガソリン(軽油含む)燃焼型のエンジンによる自動車は、将来的には大きく減少するだろう。しかし、その解決策としてEV車は決して理想的ではない。

現在、ほとんどの国では火力(重油や石炭、LPGガス)発電により電気を生み出している以上、電力供給網が十分配備されていない途上国ではEV車は適切ではない。またEV化を強制的に推し進めようと目論むEUでは、電気代の高騰に頭を痛め、EV車購入を悔いている有様である。

この現実を知りつつ、コリアやシナの自動車メーカーを賛美する記者が後を絶たない。

意地の悪い私は、こいつら金もらって記事書いているんじゃないのかと邪推している。もちろん出版社ではなく某自動車メーカーからだ。邪推といったが、根拠がない訳ではない。

実はコリアもシナも独自でガソリン燃焼型のエンジンを造る技術が拙い。コリアの二社はVWやGMからの技術指導なしでは造れないのは知る人ぞ知る事実。またシナで現在走っている国産車のエンジンの6割は三菱のOEM品である。

ガソリンエンジンの歴史は長いが、その製造と改良は現在も続く。新興の自動車メーカーにはいささか荷が重いのが実情だ。高度な冶金技術だけでなく、附属部品の品質、コンピューター制御のノウハウなど設計書には書かれていないノウハウが多く、先進国はそうそう教えてくれない。

ヨーロッパのメーカーから技術指導を受ける半島や大陸のメーカーだが、肝心の非公開のノウハウまでは教えてもらえぬ苦渋を味わっている。だからこそ西欧ともに未知のEV車で先進国を追い抜こうと必死だ。

その成果は、レースやラリーなどである程度分かる。実際、近年はラリーで好成績を上げている半島のメーカーもある。しかし、その車に乗るプロドライバーたちの評価は辛辣だ。「振動がひどく、疲労感が凄まじい」とか「故障が多くて精神的に疲れる」と散々な言い様なのだが、これは一朝一夕で改善するものではない。

レースやラリーは車に過酷な使い方を強要するため、その自動車の真価が問われる。同時に過酷な経験により様々なノウハウが得られる。コリアやシナのメーカーには、この経験が乏しいから、先進国の車と比べるとどうしても格落ちの評価となる。

何故だか知らんが、日本の自動車メーカーを誹謗する自動車評論家の先生様は、そのあたりのことは全くスルーしている。知らないはずはないのですけどね。

余談ですけど、EUが強引に推し進めてきたEV車戦略は、欧州の自動車メーカーから「NO」を突き付けられている始末です。どうも合成燃料の使用だとか、水素エンジンなどの可能性を追求しているらしいです。

原油の枯渇は、21世紀中に訪れる最大の課題ですから、自動車という文明の利器を諦めない以上、代替するエンジンの開発は必須なのも事実。でもEV一辺倒は、どうも芳しくないようです。

にもかかわらず、割と名の知れたモータージャーナリストがEV車をシレっと推奨し、日本メーカーを貶める。本当に試乗して評価しているのか、私はかなり疑わしいと思っています。皆様におかれましても、この手の売文ジャーナリストには注意された方がよろしいかと思います。


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2 コメント

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Unknown (しろぎつね)
2023-08-25 23:14:40
ちょろっと書きましたが、欧州では今度はタイヤが摩耗する粉じんを問題にするそうです。
でもそれって車体の重いEVに不利なんじゃないでしょうか。
HVもそれなりに重いから共倒れでも狙っているのでしょうか。
どっちへ行こうとしているのかよくわかりません。
Unknown (ヌマンタ)
2023-08-28 09:24:11
しろぎつねさん、こんにちは。EUもだいぶ混乱しているようです。現時点の技術力、社会資本の再整備など全面的なEV化は無理なのだと、ようやく気付いたようです。あとはEU委員会の面子でしょうね。

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