ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ゴッドサイダー 巻来巧士

2023-08-22 09:14:57 | 

登場したのが早すぎた、あるいは掲載誌を間違えた不遇の漫画家だと思う。

才能は確かだった。「北斗の拳」の原哲夫のアシスタント出身であり、「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦のライバルとまで呼ばれた。画風は力強く、正統派の劇画と称しても良い。

しかし少年誌に掲載するにはあまりにグロテスクな描写が多かった。それが魅力の一つではあったし、そのストーリーからしても必然性のあるグロテスクだと私は認めている。

でも週刊少年ジャンプは子供向けの漫画雑誌であることが基本だ。ジャンプにはけっこう際どい描写がある漫画が少なくない。しかし、この作品は抜きんでてグロテスクな描写が特徴的であった。多分、親からの苦情もあっただろうと思う。

あの頃、ヤングジャンプのような青年誌があったのならば、そのほうが掲載誌として相応しかったと思う。成人向け漫画雑誌に載せるには、あまりに荒唐無稽であったことも不幸であった。でも、その破天荒さこそが魅力であった事実は否定しがたい。

もう覚えている人は少ないと思うが、漫画喫茶で見かけたならば是非一度は目を通して欲しいと思います。

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誤魔化しの謝罪会見

2023-08-20 15:13:37 | 社会・政治・一般

組織というものは、大きければ大きいほど内部の不正を隠したがる。

数年前、伝統あるアメリカンフットボールの名門である日大アメフト部が監督の指示で相手チームの選手を大怪我させたことが発覚した。当初は否定し、逃げ回った日大側だが最終的には認めざるを得ず、外部から理事を入れて、経営体質の刷新を図った。

しかし、巨大な組織故に内部で不正を処理して、表ざたにしたがらない体質は改善されていなかった。それが分かったのが、今回の日大アメフト部員のマリファナ及び覚醒剤所持事件であろう。

既報によると日大アメフト部では既に内部調査で薬物使用について分かっていたようだが、大学の面子を気にする経営陣がそれを隠蔽しようと画策していたようだ。しかし、それを良しとしない人たちがマスコミに漏らして事を大きくして、遂に警察が動き出す低落である。

外部から招聘された理事である林真理子がマスコミに向かって謝罪を繰り返していたが、本当に謝罪すべき隠蔽の実行者こそ表に出すべきであろう。それをしないのは、今後も同じように不正の隠蔽をするつもりだとの宣言に他ならないと思う。

林真理子を前面に出して謝罪させているのは誤魔化しに過ぎない。それを黙認しているマスコミ様ってどうよと思わざるを得ませんね。

追記 明日月曜日は朝から夕方まで多忙なので、休日出勤中に投稿した次第です。

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山登りと遭難救助

2023-08-18 09:31:01 | 社会・政治・一般

若い頃、山登りに夢中だった私だが、実は子供の頃は登山は好きではなかった。

理由は簡単で、単に登るのが苦しいからであった。まだ両親が離婚する前だったと思うが、既に父は家に不在であった。そのせいか、母は私たち兄妹を外に積極的に連れ出すようになった。

山登りもその一環であったようで、最初は東京西部の高尾山であった。この山は標高6百メートルあまりであり、登山道も整備してあり、幼い子供でも登れる。現在は外国人に人気の観光地と化している。

問題は次の登山が、奥多摩の御岳山であったことだ。この山はハイキングの対象ではあるが、小学1年生の私にはきつかった。当然、幼い妹たちにもかなりの労苦であったと思うが、最初に根を上げたのは私だった。登山道の真ん中で座り込んでしまい、立ち上がる気持ちになれなかった。

結局、近くの広場で昼食をとって下山した。母がどう思ったか知らないが、離婚後祖父母の家に同居するようになると、私をカブスカウトに入隊させた。ちなみにカブスカウトとは、ボーイスカウトの幼年組のことだ。

私はここでアウトドアで遊ぶ楽しみを覚えた。ただ精神的に荒れた子供であり、そのせいで学校で問題を起こして転校することになり、カブスカウトを止めてしまった。転校先では思いっきり猫を被っていたので、すぐにクラスに受け入れられて、ボーイスカウトに再入隊する気持ちは失せていた。

しかし、アウトドア遊びというか虫取りだけは大好きであったので、母にも内緒で高尾山周辺の森や林に赴いて虫取りに励んでいた。山に登るためではなく、虫取りのために山に分け入る子供であったので、自然とルートファインディングや獣道の見分け方などを身に着けてしまった。

ちなみに中学生の頃には、もっぱら夜の公園とか繁華街の裏道にたむろする危ない子供と化していたため、虫取りも止めてしまった。ただ、見知らぬ都会の裏通りを歩き回るのは好きであった。私が高校生になりワンダーフォーゲル部に入部した動機は、歩き回るのが好きだったからだ。

また先頭を歩くのが好きなのは、虫探しの時の習慣からだ。私は子供の頃から視力は悪いが、気配に敏感だったので虫がたてる微かな音や、甲虫が好む樹液の匂いなどに気が付くのが早かった。おかげで山で道に迷っても、獣道と登山道の違いとか、道なき山腹の微かな踏み跡にも敏感だった。

だから山頂を極めるタイプのピークハンター的な登山には、あまり関心が持てずにいた。登ったり降りたり、沢筋を遡行したり、藪を漕いだりするバラエティーに富んだ登山を好んだ。当然に道なき道を彷徨うことも多く、遭難と紙一重の登山をやらかすことも珍しくなかった。

でも遭難したことはない。私は登山とは家を出て、山に登り無事家に帰るまでで終わると考えていた。だから事前の準備は怠らなかった。地図は一般的な山マップの他に国土地理院の二万五千図を用意するのは義務だと思っていた。主要なルートとその周辺の地形は、暗記するほど熟読した。

その意味で、私は冒険家ではないと思う。むしろ臆病な散歩好きの延長が登山であった。遭難とか事故とかは真っ平であった。

だからこそ昨今の登山での遭難事件の稚拙さを憎む。特に夏に多い無謀な富士山登山には本気で腹が立つ。山好きの方ならご存じの通り、富士山は危険な山だ。優美な姿ではあるが、巨大な独立峰であり、天候の急変の凄まじさは日本屈指である。

率直に言って富士山に素人が登れるのは7月の梅雨明けから3週間程度だと思う。一番気候が安定しており、基礎体力さえあれば誰でも山頂にたどり着けるはずだ。しかし、あくまで天気次第である。独立峰である富士山は天候の急変が凄まじい。

無風で晴天ならばTシャツ一枚でも登れる。しかし、同じ日に、風が吹き雨が降ったのならば体感温度は一気に20度以上下がる。セーターと防風用上着がなければ低体温症を起こして死亡することもある。これは風が体温を奪うことから、体内の脂肪燃焼による熱以上の体温が奪われることで発生する。低体温症は意識の混濁を伴うため、気が付いた時には手遅れとなるケースが多い。

だから夏の富士山では、低体温症による判断力低下で転倒したり、昏睡状態に陥っての事故が後を絶たない.更に付け加えるなら救助活動も難しい山である。標高が高いと、ヘリコプターも飛行時間が短くなる。おまけに強風でも吹けば、ベテランの操縦士でも恐れるほどの乱気流が発生しやすい。

アルピニストの野口健氏が、昨今流行りの無謀な富士登山に救援隊を無理に出す必要はないと発言したところ、それを批難する人が出る始末。私は二次遭難の危険性が高い危険な救援など出す必要はないとの野口氏の主張に賛成だ。

そもそも登山とは命の危険性を伴うものだ。だからこそ周到な準備が必要となる。その準備を怠る愚かな登山者のために、救援に赴く人が無理をすることは理不尽だ。ところがそんな危険な場所にこそ行くのが救援隊の責務だと、真面目な馬鹿は安全な場所から声を上げる。

私はこの手の無責任な人命救助至上主義者が大嫌い。だったら自分でやってみろと言いたくなる。まぁどうせ逃げることは分かってますけどね。

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アラバスター 手塚治虫

2023-08-17 09:34:14 | 

手塚治虫が日本の漫画文化の象徴的存在であることは否定しない。

ただ、手塚氏は性格が基本的に善人だったので、徹底した悪役を描くのが下手だと思っていた。だが、表題の作品を思い出してみると、悪役を描くのが下手だったのではなく、悪役を描くのが嫌いだったのだと分かる。

週刊少年チャンピオンに1970年代初頭に連載された本作は、子供の心に深い傷をつけかねない危ない作品だった。そのせいで単行本化は遅れている。また秋田書店も積極的にセールスしたくなかったのか、どちらかといえば幻の作品に近い扱いであったと思う。

実際、手塚治虫全集が刊行されるまで、私は記憶の奥底にしまい込んでいたほどだ。後のインタビューで手塚治虫自身が嫌いな作品として、この作品を上げている。思うに1960年代に吹き荒れた劇画ブームに抗い、人気作家の地位を失っていた手塚の心情が、かなり影響していたと思う。

皮肉なことに、その後に週刊少年チャンピオンで連載が始まった「ブラックジャック」が再び人気に火をつけたため、なおさらこの作品は陰に埋もれてしまった。その後、手塚全集を発刊するにあたり、収録を一番渋ったのが本作である。結局、200頁にわたり改稿することで妥協したらしい。

それにしたって200頁って・・・よほど嫌だったのでしょうね。

もし再読するならば、改稿前の当初の作品が理想なのですが、私も手元にありません。それが残念でならない。実は虫プロの倒産や、人気作家からの転落など不遇の時期にあたる1970年前後に、手塚は心の暗黒面から生み出したような傑作を幾つか描いているのです。

私が一番評価している「火の鳥 鳳凰編」や「どろろ」を思い出して頂ければ分かると思いますが、必ずしもハッピーエンドではないが、人の心の闇を抉り出すような傑作を描いている時期でもあるのです。しかし、本作は傑作とは言いかねる。

主人公の迷いや、グロテスクさへの逃避は、手塚の迷いそのものではないかと思うのです。そのため結果的に中途半端であるというのが私の評価です。それが惜しい、悔しいのです。現在では改稿版しか読めないと思いますが、機会があったら一度は目を通して欲しい作品です。

 

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日本女子サッカーの奮闘

2023-08-15 09:11:15 | スポーツ

スターがいないから視聴率が取れない。

これが試合を放送しない理由であるらしい。馬鹿らしくて腹が立つ。現在、オーストラリアとニュージーランドの二か国共催で行われている女子ワールドカップ大会で、日本代表チームが強豪ノルウェーを破ってのベスト8入りである。

沢穂希擁するチームがアメリカを破って優勝したのが遠い昔に思えるほど近年は苦戦していたのが嘘のようだ。ところがマスコミがボンクラだ。TV放送をしないどころか、新聞のスポーツ面でも扱いは小さい。その理由が上記だという。

馬鹿じゃなかろうか。私はネットで視聴しているが、見応えのある迫力ある試合をしている。少し前に欧州でも人気の長谷川唯選手を取り上げたが、この大会では彼女がサポートにまわり、代わりに若い選手が欧州や南米のチーム相手に大活躍している。

その戦い方は、男子とも違い、相手にボールを持たせつつもしっかりと守り、チャンスとみるや一気に加速してゴールに襲い掛かる。強豪スペインとの試合ではボール保持率は23%しかない。しかし5回カウンター攻撃を仕掛けての4得点である。実に効率の良い試合巧者ぶりであり、欧米や南米のサッカー界からも高く評価されている。

当然、視ていても実に楽しい。それなのに肝心の日本のマスコミは無視である。たしかに近年は女子サッカーは人気が低迷しているのは事実だ。だからこそ監督は選手を鼓舞し、選手もこの機会を逃さずにアピールしようと必死になっている。

それを後押ししなくてどうする。馬鹿の一つ覚えで、甲子園野球ばかり報じ、大谷の些細な記事、羽生選手の入籍記事と大した価値のない報道ばかり。だから日本のマスコミは低迷しているのだと思う。

むしろネット上で個人が趣味でやっているようなサイトやユーチュブで大きく取り上げている。既成のマスコミは既に経年劣化して、報道機関としての役割を終えているのではないかと思う。

以前にも書いたが既存のマスコミのスポーツ担当は、伝統的に野球出身者が多く、先輩後輩の強いつながりがある。Jリーグが始まる前は、サッカーなんてマイナースポーツの扱いであった頃の思考から抜け出ていないと思う。

困ったことに、その分からず屋どもがマスコミの経営陣に加わっている。だから女子サッカーは残念な扱いとなる。でも今はネットがある。ベスト8以上は厳しい世界ですから、それだけに見応えがある試合が楽しめるはずです。

是非ともご覧いただきたいと切望しています。

追記 11日金曜に準々決勝が行われて強豪スウェーデンに1-2で敗れての敗退です。実は東京五輪のリベンジならず、でもありますが、帰国を拍手で迎えたいです。

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