ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

新恐竜伝説 金子隆一

2023-05-09 10:08:00 | 
恐竜学はいつも現在進行形。

私が子供の頃の恐竜のティラノサウルスは、尻尾と後足で直立する形、つまり漢字の「入」の形で表現されていた。

ところがいつのまにやらティラノサウルスは、巨大な頭部と長い尻尾でバランスをとり、背骨から地面に垂直に立つ姿、いわばTの字で表現されるようになっていた。

これが恐竜を学問的に研究してきた成果の一端であり、コンピューターによる力学的な解析も大きく貢献しているという。

またご存じの方も多いと思うが、恐竜は鳥の先祖だと考えられるようになったのも比較的近年のことだ。ティラノサウルスも作画者によっては、羽をまとって描かれていることもある。

また未だに決着をみていない論争の一つに、恐竜温血説がある。つまり爬虫類のような変温生物ではなく、恒常的に体温を維持する哺乳類のような身体であったと主張するのである。

他にも沢山の異論、奇論があるが、どれもなかなか結論が出ない。その原因の主たるものは、化石しか資料がないからだ。しかも恐竜に限らず生物は死んだからといって、全ての生き物が化石となる訳ではない。

だから未だに発見されていない未知の恐竜の化石があるかもしれないし、絶対に化石が見つからない恐竜もいるであろうと推測できる。皮肉なことに、化石の研究は年々進歩しており、分析方法も多様化している。

より化石研究の精度が上がっているのにも関わらず、むしろ却って恐竜に関する謎は増える一方である。現在、化石調査の最先端はシナの奥地ゴビ砂漠周辺と、アルゼンチンなのだが、実はもう一か所眠れる宝庫がある。

それが南極大陸だ。現在寒冷期にある地球において、南極は数キロに積み重なった氷床に覆われているが、恐竜が棲息していた白亜紀、ジュユ紀、三畳紀は今よりも温暖であり、この地にまだ見ぬ未知の恐竜の化石がある可能性がある。

つまり今も恐竜学は現在進行中の分野なのだ。私が子供の頃のTレックスが大きく変貌したように、半世紀後にはさらに変わっている可能性は十分にある。

だからこそ想像の夢が拡がる分野であり、ワクワクが止まらない分野でもある。だが学問的には、まだまだ謎多き未完成な分野でもある。

正直に云うと、表題の本を面白いと思える方は少数派だと思う。恐竜に関心がある方でも、学問的な矛盾や学者による見解の相違まで楽しめる訳ではない。実際、私は少し辛かった。

原因?それは私が元々は怪獣好きだからです。あんまり真面目すぎると肩身が狭くなる感じ。私程度だと「ウルトラ怪獣大図鑑」あたりが一番楽しめるんですよねぇ・・・
コメント
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