ヌマンタの書斎

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自動車評論

2023-03-14 09:20:49 | 社会・政治・一般
多分、日本における最も著名な自動車評論家であったのが故・徳大寺有恒だ。

その徳大寺氏を主筆として創刊された自動車雑誌がベストカーガイドであった。私が車に興味を持ちだした十代後半から20代後半まで読み続けた愛読誌であった。その編集部の若手の一人にいたのが国沢光宏であった。

正直、その当時はさほど目立つ存在ではなかったと思う。名物編集長の勝俣氏や他のレーサー出身のライター等の書く自動車記事に比べてしまうと、ドライバーとしての技量が低いことが明白だった。

しかし、その後国沢氏は自らレースの世界に飛び込み、運転技術の向上に務め後の自動車評論に活かしているから、たいした努力家だと思う。彼が独立してフリーの自動車評論家とした頃には、私はベストカーを読まなくなっていたので、彼のその後はあまり良く知らなかった。

再び目にしたのは、フォルクスワーゲン(以下VW)社の不正事件の時だ。VW社の偽装を非難する記事が大半を占める中、国沢氏は擁護の立場で論調を張っていた。正直言って妙な反論だと思っていた。なにせNOxは40倍でも有害性はないとか平気で書いていた。

私は不正の背景にあるのは、あまりに厳し過ぎる環境規制があると考えているが、ウソの報告はよくないし、NOxの有害性は当然なので、国沢氏はあまりに企業寄りではないかと疑っていた。

実のところ、自動車評論家あるいは自動車ジャーナリストという職業はかなり危うい立場にある。仕事上、自動車の評価をするのはともかく、多くの場合、その評価の対象となる車はメーカーから広報車として貸与される。

借りた車を貶した場合、次回以降再び借りることが出来るとは限らない。だから新車の場合、よほど明白な欠陥がない限り、貶すことを避ける傾向が強い。もちろんあくまで自分の意見を貫き通す硬骨の自動車評論家も実在した。

しかし、その場合はその評論が貶されたメーカーの技術者が納得せざるを得ないほど説得力があるからこそ、自動車メーカーは次回もその自動車評論家にも広報車を貸与する。少数ではるが、そのような実力ある自動車評論家はいたのだ。

オーナーとして自分の車を評価するならまだしも、借りた車を仕事のネタとして評価することは、それなりにリスクを伴う。それゆえ国沢氏もメーカーから拒否された経験を持つと聞く。

そのせいか、あるいはだからこそなのか、国沢氏の自動車評論には時折首を傾げることが、ままある。特に最近だとやたらお韓国車を持ち上げる。当初はその姿勢を私は評価していた。

韓国車は日本でこそマイナーな車だが、世界規模でみれば大メーカーであり、韓国車が走っていない国のほうが少ない。だからこそ、取り上げる価値はあると思えた。ただ、その取り上げ方がいささか偏り過ぎに思えた。間違いなく広報車を借り出して取材しているのだろうけど、褒めるばかりで欠点を取り上げようとしない。

私とて韓国車(現代または起亜)のデザインの良さは認めている。しかしエンジンは一世代以上遅れているし、製造がわりと大雑把なので故障が多い事も知っている。これが故・徳大寺氏であったのならば、その欠点もやんわりと指摘していたはずだ。しかし国沢氏の文は甘い、甘すぎる。

元々韓国は国内市場が小さいが故に、初めから世界への輸出を考えた車を作る。しかし、製造業者としての技量が低く、また大雑把な気質が車造りにも反映されてしまっている。中古車市場での値下がりの激しさがその証拠である。

最近はEV車に力を入れているが、そもそも内燃機関を製造する技術が低いので、組合せで作れるEV車に可能性を見出していることが明白だ。またこれはLGが作っているバッテリーの欠陥だが、それを採用したが故に車が炎上するトラブルを頻発させている。

これだけトラブル、欠点が多いのにそれに触れずに韓国車を絶賛する国沢氏の姿勢に私は非常に懐疑的です。
コメント
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