のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『ロープ』

2006-04-27 | 映画
本日は
ローブの日 でございます。
何故ロープの日なのか と申しますと
4月 27日。  
4  2 7。  
よい つ な。
良い綱・・・

本当ですってば!!

と いうわけで、本日は巨匠ヒッチコックの作品『ロープ』(1948年 80分)をご紹介いたしましょう。

大学を出たばかりの青年、フィリップとブランドン。
映画の冒頭、いきなり
2人は、同級生のデヴィッドを絞め殺します。
完全犯罪を遂行することによって、自分たちの優等性を証明するために。
「優れた者が劣った者を殺すことは肯定される」というラスコーリニコフ思想の2人は
さらなるスリルと優越感を味わうために
殺人を犯したその部屋に客を招き、死体を隠したままのチェストを
テーブル代わりに使って、パーティーを開くのでございます。
招かれた客の中にはデヴィッドの父や恋人、そして大学の恩師であったカデル教授(ジェームズ・ステュアート)の姿も。
死体を囲んでのパーティー。
果たして彼らの「完全犯罪」は
誰にも気付かれることなく完結するのでありましょうか?・・・・・

この映画の一番の特色は、80分間ワンカットであるということでございます。
舞台は最初から最後まで、殺人現場であるアパートの一室。
劇中の時間と現実の時間を同一にしたいわゆるリアルタイム・ドラマの形式。
鑑賞者は、あたかも自分がパーティーに同席しているかのような感覚を持つことができます。
あるいはマジックミラーを通して室内を見ているような、覗き見的な感覚を。

さて、そこで
行われた犯罪と死体の隠し場所を知っているのは
ブランドンとフィリップ、そして 鑑賞者 のみ。
鑑賞者は、あたかも共犯者のような立場に置かれるのでございます。
ブランドンがわざわざ挑発的なことをする度にハラハラし、
会話がチェストや凶器であるロープのことに及ぶと
ああ、今にも死体が見つかる、と気をもみます。
決して 椅子の背にビタッと貼付けになるような緊迫感 ではございませんが、
全編ワンカットの面白みも手伝って、最後まで目が離せません。

最初から最後まで、見る者に緊張感を強いる作品というと
最近では『CUBE』や『SAW』を思い出しますが
ストーリーも描写も凄惨でございますね。時代の反映、でございましょうか。


ロープの日 といえば
バロネス・オルツィのシリーズ小説『隅の老人』もご紹介したい所でございますが
別の機会に譲ることといたします。
そうですねえ、敬老の日にでも。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿