のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『富本憲吉展』

2006-08-29 | 展覧会
『富本憲吉展』へ行ってまいりました。

富本憲吉氏といいますと、のろの頭に思い浮かぶのは
かの、「伝統」と「モダン」の雰囲気を併せ持った
赤地に金銀彩の羊歯文様 ↓ でございます。




と 申しますか
これぐらいしか思い浮かばなかったのでございますがね。
あとは「京都近美の常設展に、いつも出てるよなあ」とか。


というわけで
のろは本展にて初めて、氏の多彩な創作活動について知ったのでございます。
木版画に 掛け軸に 本の装丁も手がけておられた上に
磁器の分野においても、白磁に 色絵に 金銀彩 と
ジャンルも手法もさまざまな活動をなさっておいででした。
本展では、バラエティに富んだ氏の作品約200点を鑑賞できます。

器の形と調和するように、富本氏オリジナルの花弁文様が配された壷や
小九谷を連想させる、華麗な彩色の飾り箱の魅力もさることながら
のろの心に残ったのは、白磁 でございました。

絵付けが全く施されていない、本当にまっさらな白磁でございます。
模様や彩色が無いぶん、かたちの美しさが立ち現れております。
また、その肌合いの美しいこと。
もちろん手に取ってみることはかなわぬのでございますが、
見るからに ひんやり しっとり と手に馴染む、すべらかな触感が想像されます。

ちょっと普段使いしたくなるような、気取らない美しさ。
そこに惹かれてでしょうか、平日にしてはなかなかお客さんの入りがよろしうございましたよ。

↓ かつてはかなりの がっかりもの だった京都近美のHPも、最近はなかなかの充実を見せております。
会場内の様子も見られますので、どうぞ訪れてみてくださいまし。

京都国立近代美術館 The National Museum of Modern Art Kyoto