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のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

ノミ話5

2006-02-11 | KLAUS NOMI
「ノミ話4」は1月24日の記事を以てこれとします。
だっ れも気にしてないだろうけど。


キネマ旬報の2005年度ベストテンが発表されました。
『ノミ・ソング』は、一票でも票の入った洋画全155作品中 堂々の 

133位でした。

選出者62名のうち、一人だけ
自身のベストテンに含めてくだすったお人がいらっしたのですよ。(7位)




ありがとうありがとう。
ひとつ菓子折りでも差し上げたいくらいですなあ。
こんな所には名前も出てくるまい と予想しながらも
血眼で『ノミ・ソング』探した のろものろですが
一票入れた貴方も危篤なお人だ。

まあ
ランキングなんてどうでもいいんでございます。
メディアの中にクラウス・ノミという名前を見かけるだけでも
のろは嬉しいんでございますよ。

1月 24日

2006-01-24 | KLAUS NOMI
本日は クラウス・スパーバーの誕生日です。     



            



1944年 ドイツアルプス地方の小さな町に生まれた彼は
父親を第二次大戦で亡くし 母親の手で育てられました。

母親は音楽好きで 家にはレコードプレイヤーがあり
幼いスパーバーは クラシックのレコードをかけては 曲に合わせて歌いました。

地元でオペラが上演される時には 子役エキストラとして舞台に上がり
クラシック音楽と舞台芸術に親しみながら 成長しました。

12歳の時 エルヴィス・プレスリーに夢中になり
ロック嫌いの母親からお金をくすねて レコードを購入。
しかし 地下室に隠しておいたレコードは あっさり母親に見つかり
そんなものよりこれを聴きなさい と 代わりにマリア・カラスのレコードを渡されます。

この日から エルヴィスと同じくらい マリア・カラスにも惚れ込んでしまった スパーバー少年 
ある時 念願かなって 彼女の舞台を間近に見る機会を得ます。
(後年、この時のことを振り返って「一瞬、彼女と目が合ったんだよ!」と主張しています。はいはい。)

その翌日から 声楽のレッスンを受け始め
長じては ベルリンの音楽大学に通うようになります。

音大に通いながら 歌劇場の案内係として働く 田舎出の学生スパーバー。
掃除をしながらも 歌いまくり ソプラノの裏声を使って 
マリア・カラスの歌真似をして 同僚を楽しませたりしつつ
オペラ歌手になることを夢見ますが 歌手としての働き口は 見つからず

バーで歌って何年か過ごしたのち N.Y. へ 渡ります。

1970年代のイースト・ヴィレッジに 貧乏アーティストの一人として居を構え
アルバイトや 菓子職人として 生計を立てつつ
パフォーマーとしての道を模索します。
(本人は体質的に砂糖を受け付けなかったらしいのですが、お菓子を作って人に振る舞うのは大好きだったようです。
 彼の作るパイはとてもおいしくて、腹をすかせたアーティスト仲間のあいだで通貨のようにやりとりされました。)



ある夜
ニューウェーヴのパフォーマーたちが集う ショーでのこと

髪を三方に逆立て 
白塗りの顔に 黒いルージュをひき
歌舞伎役者のくまどりのような メイクをほどこし
B級映画の宇宙人のような チープな衣装をまとった
奇妙な人物が 舞台に立ちました。

彼が歌い始めると
観客も パフォーマーたちも 
息を呑み 唖然として その場に固まりました。

クラウス・ノミ と名乗る その奇妙な人物が 黒い唇から発したのは
ちぐはぐな容貌からは想像もつかぬ 澄んだソプラノの歌声と
美しい オペラのアリアの一節だったからです。


この夜から
1983年 当時は謎の奇病とされていたエイズで 生涯を閉じるまで
彼は  クラウス・ノミ  として生き続け
二度と クラウス・スパーバー に 戻ることはありませんでした。





誕生日おめでとう、クラウス・ノミ。

            









Picture Copyright:2004CV Films|CAMEO Film|ZDF/Arte

ノミ話3

2006-01-15 | KLAUS NOMI
とりあえず、Tシャツ姿のクラウス・ノミでもご覧下さい。





T シャツ の ノミ 。

これがまた似合わないんだ。

もと写真はこちら。→gallery

まあイカレファンといたしましては、その似合わなさが なおさら可愛いぜ などと思うわけでございますがな。

そもそも
あの容貌、あのメイクで、普通のTシャツを着ようというのが間違いです。
在りし日のノミさんのお姿を見るにつけ、
ああ この人は 「普通」の似合わない人だったのだなあ と、つくづく思います。
だってね、ちっと見てくださいましよ。
Ashra - The News Archive (スクロールして行くと、真ん中より少し上あたりに、
革ジャン&白Tシャツに赤いパンツでフツーにロックンロールしてるノミがいます。
ノミだとわかるかなあ。デコでわかるとは思いますが..)

↑これよりも、klausnomiland : Klaus Nomi land - A place for fans of Kl

こちらのお姿の方が断然、似合っておいでですし、断然、素敵じゃぁござんせんか。

映画『ノミ・ソング』でも、「彼は、普通にしていてもなんかだった」
とか「人間、誰しも変な所はあるけど、彼はとりわけだった」などという、関係者の
ナイスな証言がございました。
いやあ いいですねえ。 


...とか申してはおりますが。
少々まじめに語らせていただくなら、
自分は普通にしているつもりなのに、周りからは変だと思われてしまう、というのは
ちっとばかり 辛いことでもあるんでございますよ。
そして
ノミ本人や周りの人たちが、彼のそうしたアブノーマルさを意識的に活用したからこそ
「歌う変異体・Klaus Nomi」という存在が、あのように確立し得たのだと、思うのでございますよ。

インタビューで「僕は自分を生きるアートだと見なしている」と語るノミ。
音楽仲間のC・ホフマンは「彼は、”未来はアーティストを求めている”と言っていた。
常にその観点から、いかに生き、いかに生活するかを決めていたんだ」と語ります。(映画の英語版公式サイトで読めます)

「Klaus Nomi」というペルソナは、彼や彼の仲間たちが作り上げた、 作品 でした。
ひとたびこのペルソナが確立されると、
彼はその後ずっと------ステージ上はもちろん、舞台を降りてもなお------この仮面をかぶり続けました。
「Klaus Nomi」でいるかぎり、彼は「ドイツなまりの裏声で歌うゲイの小男」という異質な存在ではなく、
「Klaus Nomi」という作品として、あるいは「Klaus Nomi」を演じる人間として
いわば、公に認められていたのです。

アートとは、世界の中で「私はここにいる!!」という叫びである と のろは思っております。

「Klaus Nomi」という存在は彼にとって
「普通」の似合わぬ、
「普通」でいられぬ、彼が、世界に受け入れられるための desperateな策であった と
また あるいは
シャイでおとなしいくせに目立ちたがりだったという彼が、
パフォーマーとしての道を歩むための、大仰な かくれみの であったと
そのように思えてならぬのでございますよ。

「普通」が似合わない。
「普通」でいられない。
けれども、「僕はここにいる!!」という
世界に対する 叫びのように 思われれてならぬのですよ。

そう思って見るとほら、
ノミさんのちっとも似合わぬTシャツ姿が
なにやら いとおしく 感じられはしませぬか。

ううむ
本日は絵だけUPしてあっさり終わる予定であったのに
えらいこと語ってしまいました。

いいんだ。堂々と胸をはって変人道を歩むことに決めたんだ。

これに懲りず
まだまだ続きますよ、ノミ話。
誰も期待してなくったって語っちゃうんだもんね。
はっはん。




ノミ話2

2006-01-05 | KLAUS NOMI
何が楽しいって、好きな人を描くより楽しいことなんて、ありはしないのでございますよ。


お寒うございますね。
こんな夜にはクラウス・ノミの「Cold Song」がぴったりです。
この曲は英国のモーツァルトとも称される17世紀の作曲家、ヘンリー・パーセルの作品です。
歌詞はこうです。

汝はいかなる者か 
地の底より来る力よ
私を起き上がらせるのか 
私が望みもせぬのに 
ゆっくりと 永遠なる雪の伏床から

汝にはわからないのか 
私がいかに固くこわばり 
いかに年老いていることか
この恐ろしい寒さには 
私はとても耐えられぬ

私は身動きもできぬ
息つくことすら ままならぬ
私は身動きもできぬ
息つくことすら ままならぬ

どうか お願いだ
どうか お願いだ
再び私を凍えさせてくれ
どうか お願いだ
再び私を凍えさせ 死に赴かせてくれ

こんな歌詞を乗せて
まさに死者が棺からゆっくりと起き上がるかのように、張りつめた美声がテノールからソプラノへと高まってゆき、また低音へと収束してゆくのであります。
音域がとても広いので、「歌い手が女性なのか男性なのか解らなかった」という証言も、ままございます。

映画『ノミ・ソング』の終盤、フルオーケストラを従えたノミさんがこの曲を歌います。
ヨーロッパツアー中の映像です。
即ち このときすでにHIVに感染しており、翌年1月には入院を余儀なくされ、約半年後には死を迎える
という状態です。
そんな身体で
どんな思いで この歌詞を唄ったのでしょう、ノミ。
それを思うと親分、あっしゃあね、涙が出てきやすよ。

さておき。
ノミさんはそもそもオペラ歌手を目指していたお人なので、クラシックの歌曲を本当に美しくお歌いンなります。
「Cold Song」は、美しくも荘厳にして荘重、少し怖いような曲です。
うち続く冬と長い夜によって凍り付いた世界 を眺めているかのような。そんな心地になる曲です。
そんな曲が、「聞いてよBaby、わかるよね~、男ってこういう生き物だからさ~」で始まるバカポップ曲「Lightning Strikes」やら
「キャ~ハハハハ」とかわいい笑い声でシメる「The Twist」やらと一緒に、1枚のアルバムに収められているのであります。
しかも「Lightning Strikes」などは、ステージでは 肩の張ったタキシードに白手袋 という妙にかしこまったいでたちで歌うのですよ。
このアンバランスさが、ノミさんの魅力 の ひとつ ですね。

まだまだ続きますよ、ノミ話。
誰も読まなくったって語っちゃうもんね。
ははん。



ノミ話1

2005-12-29 | KLAUS NOMI
昨夜は大阪のミニシアター第七藝術劇場へ遠征して『ノミ・ソング』を観て参りました。
前に一回観たけれども。
DVDも持っているけれども。
のろの嫌いなレイトショーだけれども。
普段はレイトショーと聞くだけで行く気の失せるのろですが、ノミさんとあらば話は別です。

『ノミ・ソング』はクラウス・ノミというアーティストの伝記ドキュメンタリー映画です。
ノミさんがいかにスバラシイかを ふたこと みこと で語るのはとうてい不可能であります。
その姿をひと目に見たならば
ある人はコワイよと言い、またある人はキモイよと言い、またある人は絶句いたします。
友人には「奇人中の奇人」と評され
フランスでは堂々「今年度の火星人」の称号を賜り
写真家をして「両性具有性に魅かれた。男か女かというより、人間かどうかという点に」と言わしめるお方です。
のろはといえばそのお姿を見た瞬間、あまりのかわいらしさに打ちのめされた次第。
しかしその奇妙キテレツな仮面の下には
いい知れぬ真摯さと必死さと深い孤独があるのです。
とりあえず この場で多くは語りますまい。
危篤にもノミさんに興味を持たれた方は以下を御参照あれ。

http://www.thenomisong.com/
http://www.elephant-picture.jp/nomi/
http://perso.wanadoo.fr/klaus.nomi/
http://www.unosunosyunosceros.com/tRibuTO/Nomi.swf

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