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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

リスクによる連帯

2015年03月29日 | 現代の病理
以前、パラドックスの話題で“日本文学の研究者、ドナルド・キーンさんが語ったことがある。「人間にとっていちばん悪い発見は、他の星、たとえば火星に人物がいないことです」(岩波書店『同時代を生きて』)もしも異星人がいたならば、地球上の人間はイデオロギーや宗教を超えて団結できただろう”を紹介しました。

図書館から借りてきた『リスク化する日本社会―ウルリッヒ・ベッグとの対話』(岩波書店)に、次のような記述がありました。

『リスク社会』では、放射能や化学物質による大気・土壌・土壌・食品の汚染の問題が扱われ、知覚できないリスクによって不安が高まり、産業主義社会が拠って立つ基盤が再帰的に掘り崩されてゆくさまが描き出されている。ベックはそこで、リスクが国境を越えグローバル化してゆくことを指摘、国境警備による安全保障が無意味となり、グローバルな政抬か必要とされると主張している。また、有名な「貧困は階級的であるが、スモッグは民主的である」という喩えにあるように、万人に平等によりかかるリスクによって、かつての階級による連帯に代わる「リスクによる連帯」が生まれることに期待している。(以上)

かつて1989年前、東西の冷戦というリスクによって、緊張感の中に連帯が形成されていました。「イデオロギーや宗教を超えて団結」は、平和の中にではなく危機感の中に成立するようです。

これってパラドックスですね。
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