
『高校生と考える新時代の争点21 (桐光学園大学訪問授業)』 、桐光学園大学で高校生のため著名なご講師を招き講義を行った講師陣21名による講義録です。
メモ代わりに一部転載しておきます。
空気なんて読まない
武田砂鉄(ライター・編集者)
いま小学校の道徳の授業では「かぼちゃのつる」という物語を読むと聞きました。かぼちゃが自由につるを伸ばしていると、犬やミツバチがやってきて「そんなところでつるを伸ばすと迷惑になるよ」と忠告する。かぼちゃはそれを聞かずに伸ばし続け、道路に出てしまってトラックにひかれて、つるがちぎれてしまう。そんな物語を読んで「忠告は聞きましょう」「ひとの迷惑になることはやめましょう」と学ぶそうです。
みなさんも植物を育てたことがあるでしょう。太陽に向かって伸びていくのは自然の摂理です。かぼちゃが陽の当たるところへつるを伸ばすことには何の問題もない。それを「せっかくの忠告を聞かないのはよくない」という話にしてもいいのでしょうか。いい話のように聞こえるかもしれませんが、極端に言えば、これはそのひとの個性をみんなで殺してしまう話です。
まわりと同じように振る舞い、同じように考えて安心したいという気持ちがこのような教育の背景にあるのではないでしょうか。いわゆる「同調圧力」です。自分自身に向けられた同調圧力は、決して安心につながる考え方ではありません。
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