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新オックスフォード英語辞典➁

2024年03月30日 | 日記

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からの転載です。

大学教養論集 通巻314号 (1999・1) pp.37-50

 

『新オックスフォード英語辞典』について 丸 山 孝 男

 

「日本食」イコール「健康食品」と考えている人も多い。 そのような事情を反映してか,食料品関係では,つぎの語が収録されてい る。  daikon(大根),gobo(ゴボウ),kaki(柿),kombu(昆布), katsuob- ushi(鰹節), miso(味噌), mizuna(水菜), nori(海苔), ramen(ラーメ ソ),sake(酒), sashimi(刺身), shiitake(椎茸), shochu(焼酎), shoyu (醤油),soba(そば), sukiyaki(すきやき), sushi(寿司), tsukemono(っ けもの),tofu(豆腐), udon(うどん), wakame(わかめ), wasabi(わさ び)など。  経済関係では,kaizen(改善), zaibatsu(財閥)などが収録されている

 『新オックスフォード英語辞典』について 49 が,前者は“a Japanese business philosophy of continuous improvement of working practices, personal ethciency, etc.”と,説明されている。  教育関係では,juku(塾)が収録されている。日本では,塾はこれほど普 及しているにもかかわらず,どちらかといえば日陰的な存在であるが,実際 には,教育の効率性ということを考えれば,塾ぬきにして日本の教育問題は 語れない。この語が取り上げられた背後に,そのような認識があるのではあ るまいか。  医学関係では,Kawasaki disease(川崎病), shiatsu(指圧), tsubo(っ ぼ)のほかに,ありがたくないことに,karoshi(過労死)まで収録されて いる。過労死とは,わが国の医学関係者の間では「長時間の労働のために疲 労が蓄積し,加重労働の負担により,脳出血,くも膜下出血,脳梗塞,心筋 梗塞などの循環器の病気が悪くなり,労働不能になったり,死亡」と,定義 されているが,労災申請数にみる限り,認定件数は少ない。この辞典では, “death caused by overwork or job-related exhaustion”と,簡潔に定義され ている。  服飾関係では,kimono(着物)はもちろんであるが, obi(帯), yukata (浴衣),katsura(かつら)などが収録されている。  そのほか,at randomにあげれば, hibakusha(被爆者),kuroshio(黒 潮),yakuza(やくざ), matsuri(祭り), tsunami(津波), tansu(たんす), tatami(畳), futon(布団), shoji(障子)などが収録されている。  上記にあげた日本語からの借用語は,私がたまたま目にしたものにすぎな い。本格的にチェックすれば,まだまだ,「英語になった日本語」がみいだ されよう。同時にこのことは,日本の文化,政治,経済が,いかに英語圏の 国々に影響を及ぼしているかという,ひとつの証でもある。 50 明治大学教養論集 通巻314号(1999・1) 8 むすびに  新語を含めて,『新オックスフォード英語辞典』には,全部で35万語が収 録されている。この手の英語辞典としては,最大の収録語彙数である。コソ ピューター処理も最大限に活用した。大がかりな語法調査もしている。  これまで述べてきたように,この辞典には,ひとつの殻をうちやぶった, 斬新性,さまざまな特徴がある。それゆえに,各界にいろんな波紋をなげか けている。世間一般に与えるオックスフォード大学出版局の影響力が甚大で あることを憂慮して,純正英語学会は,英語の乱れを防止するために,たと えば,アカデミック・フラソセーズのような「イングリッシュ・アカデミー」 の設立を提唱しているくらいだ(5)。  しかし,「なにが言葉の乱れか」については,古くて新しい問題である。 辞書が,それぞれの時代の文化,風潮,世相などを移す鏡であるとするなら ば,少なくとも『新オックスフォード英語辞典』は,文化史的な偉業といっ ても過言ではないように,私には思える。 注 (1) The Mirror, August 13,1998。 (2)Jeremy Marshall and Fred McDonald ed., Ouestions OfEnglish(Oxford Universi-   ty Press,1994),p.78. (3)Godfrey Howard, A Guide to Good EngldSh in the 1980s(Pelham Books,1985),p.   187. (4)市河三喜『英文法研二究(増訂新版)』(研究社,1967)p.29。 (5) The Guardian, August 13,1998. (まるやま・たかお 商学部教授)

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