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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

「加速思考」症候群④

2025年04月27日 | 現代の病理
『 「加速思考」症候群 心をバグらせらせる現代病』(2022/4/21・アウグリストクリ著),鈴木由紀子翻訳)からの転載です。



加速思考症候群を解除せよ

脳に入る情報が多すぎると、それは役にたたず、観察力や理解力だけでなく大胆さも損なわれる。たとえば、情報を選択せず、ただ集めることに必死なビジネスマンは、自身の個性や創造性をつぶしてしまう、スマートフォンの過剰な使用、過密スケジュール、情報過多、働きすぎ、利隘追求の競争から生じる職業卜のストレス(燃え尽き症候群など)もまだ、加速思考症候群に含まれる。働く人は誰もが、緊急時を除き、週末のスマートフォンの使用を禁止するべきだ。そうしないと常ねに目の前には解決すべき問題があり、その対処に追われてしまう。競争社会と消費主義の時代に、人間らしくいることを学ぶのか、それとも機械のように働き続けてしまうのか?・
 多くの人は、内観しながらゆっくり歩みを進める素朴な大問題を思い猫けない、どんなにすばらしい場所に住んでいても、自分の内面にすばらしい場所があることを知らない。
 あなたの心は加速思考症候群という爆弾を抱えていないだろうか?もし抱えているなら、ただちに起爆装置を解除したければならない。繰り返すが、思考過多のせいで自己による管理ができなければ、精神的に疲れはて、職業面、感情面、社会面にいずれ深刻な影響を及ぼすことになる。
 外界では、交通、産業の自動化、情報通信のスピードなど、すべてが加速することで恩恵を受けられるが、自身の思考の構築に関してはけっして加速させてはいけない。人間にとっての娯楽やモチベーション、ひらめきの源泉であるはずのオートフローが、ストレスや不安や心身症の源泉になってしまう。


加速思考症候群の最も深刻な影響は、感情が早死にしてしまうことだと覚えていてほしい。目の前のやるべきことにつねに追われ、せわしなく生きている私たちは、人生を考えるためにひとたび立ち止まるや衝撃を受ける。まるで、これまでずっと眠っていて、時間の経過に気づかなかったかのように。不安の底なし沼にはまり、心の地下牢に閉じこもり、気づけば、自分自身や子ども、友人、パートナーとの最良の時間を見失っている。その結果、成功者に見える多くの人が、肉体的にも精神的にも倒れるぎりぎりのところにいる。
 人生の質をないがしろにする人は、自分自身に膨大な負債を抱えているようなものだ。あなたの人生に対する負債が実際にどのくらいあるか知るには、率直に自分の心と向き合うといい。
まだ、現代の病である加速思考症候群によって生じる不安を上手に管理し、あなたの負債を清算するには、これまで述べた対処法を常識的に実践することをおすすめする。そして、内面を掘り下げ、弱さを認識し、過ちを認め、道のりを正し、自分自身の物語を紡げるように自らを育むこと。
 それは、あなた自身が向き合わねばならないことである。子どもやパートナーや友人、神経科医、精神科医、心理学者あるいは参考書でもない。どれもあなたの代わりにはならないのだから。あなただけがもっている最高のものに、どうか向き合ってほしい。
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