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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

ナッジでココロを変える

2023年05月02日 | 日記

『「ココロ」の経済学: 行動経済学から読み解く人間のふしぎ』 (依田高典著)からの転載です。

 

ナッジでココロを変える

 

行動経済学では、人々の理性は限定的であり、どの選択肢を選ぶかは、選択肢の与えられ方によって左右されます。これを「フレーミング効果」と呼びます。例えば、確率50%で賞金がもらえると説明されるか、同じ碓率で何ももらえないと説明されるかによって内容は同じであるにもかかわらず、人々の選択が変わってくるのです。選択が選択肢の与えられ方に依存する以上、為政者は人間の選択の自由を認めつつも、彼らが後悔しない選択肢を選ぶように選択肢の与え方を工夫すべきであるといういが、セイラーたちの言う「ナッジ(気づき)」です。

 ナッジとして、よく用いられる例を紹介しましょう。オランダのアムステルダムの国際空港では、男子トイレの小便の配水溝付近に、ハエの絵が描かれています。そうすると、男性たちはハエの絵を徂って、用を足すので、飛び放りが80%減ったといいます。このハエの絵は、人間の注意を引きつけて、良い方向に行動を変容させるナッギだと言えます。

 ナッジを実際の行動変容に活用しようとする国もあります。2008年7月、イギリスの野党第一党である保守党のデーヴィッド・キャメロンとその協力者は、行動経済学を経済政策に活用することに興味を持って、セイラーに協力を求めたのです。2010年5月の総選挙で保守党が勝つと、キャメロンは首相となり、イギリスの内閣府の下に、「行動洞察チーム」(ナッジ・チーム)を組織しました。例えば、税金滞納者に税金を支払うように催促するために、「イギリスの納税者のほとんど(90%以上)が税金を期限内に支払っている」「あなたはまだ納税していない少数派の人です」というメッセージを手紙で添えるというフィールド実験を行ったところ、税金の納付率が5%以上も高まったと言います。ナッジを使えば、やり方次第では、大したコストをかけずに、大きな効果が期待できるのです。(以上)

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