仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

夢を生きる功罪

2009年12月12日 | 現代の病理
犬の進化論は、現代の病理についてワンちゃんを介在させて示したものです。「吾輩は猫である」という具合に、小説風にすれば面白いかもしれません。

若者でフリターや単純作業業務についている人にインタビューすると、将来の希望を俳優やミュージシャンなどと夢を語るという。
現実に生きがいや充足感が見いだせないと、人は夢の中に生きがいを見出し、満たされない現実を受け入れ、「今はこうだが」と帳尻を合わせる。

10年くらい前、新聞記事で見つけた実験記事です。

心理学の実験で二つのグループを作る。両者に同じ作業をさせる。ただしその作業はごく退屈なものとする。そして一方のグループは、時給をごく安くする。たとえば一ドル支払う。他方は時給を高くして、たとえば十ドル支払う。仕事が終わった後で、それぞれのグループに仕事が面白かったかを尋ねる。どちらのグループが仕事をより面白かったと答えたか、つまり仕事に価値を見いだしたであろうか。それは、時給が安かった方だと云います。なぜなら、つまらない仕事をした上に、時給が安かったのでは、踏んだりけったり。だから心理的には、仕事の面白さをかさ上げして、心理的バランスを取るとのことです。時給は安かったけれど、仕事は面白かった。と云うことらしい。

 人間の満足心の構造の一端が垣間みられ、面白い話だと思う。
 心は常に満足を求めています。たとえ十のものが得られなくても、意識が想像してが現状に満足するように調節してくれる。これを現代のいわゆるワーキングプアと言われる仕事人に重ね合わせると、“今はこんな仕事をしているが、いずれは俳優に”と夢によって現実にかろうじて従事しているとなる。

その夢が断絶したときに、うつ状態になる。昨今、うつ病の人が多いと聞くが、現代の病理的な側面がある。

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