「この子達の純粋な感性に泥を混ぜるな」
すっごく強烈なセリフだったんですけど
「クズ」とか「ゴミ」以上に具体的な言葉だからこそより響いちゃったんでしょうね
「クズ」なら単なる悪口で済みますけど泥ってかなりリアルな言葉じゃないですか。顔に泥を塗るって言うし。
そりゃキツいよなあ・・・と思いつつ。
濱野先生は挫折組ですがその理由は好きなものにストイックになるあまり「楽しい」という気持ちが薄れた
要するに技術だけを追い求める事に疲れてしまったという話なんですけど
だからこそ、ヒカリたちとの日々がリハビリにもなった訳で
それは決して泥なんかじゃなく
彼にとっては一つの救いだった、と
それにようやく自覚的になれた、かつての自分とは違う方向性で写真を追求する決意を出来たのが
この2巻の大きなトピックの一つだと思います。それ即ち部活ものといっても目指す方向がひとつではなく
もっと多様性のあるものなんだ、って提示してくれてるようでその二面性が心地良い巻でした。
濱野先生もまた技術志向の一面が例の出来事以前には垣間見られたんですけど
その出来事以降は少し吹っ切れたみたいで
ようやく顧問らしい熱さと写真への情熱が蘇ってきて良い具合に成長を遂げてるな、と
そりゃあ元々技術云々体裁云々で嫌になって辞めた過去があるので、それに対してリベンジはするべき、ですよね
ヒカリたちと共に結実を目指す事自体がある意味過去への清算やケジメの役割になってるのかも
そう考えるとよく出来てる物語だな~って感心してしまいました
お話に本格的な目標も出始めたし、
これ以降みんながどう成長して、どう豊かになっていくのかが楽しみですね
根詰めてストイックにやる事が正解なのか、気楽に自由に自分の思うがままにやる事が正解なのか。
濱野先生ならその真ん中にみんなを連れて行くことが出来ると個人的には信じています
色々と考えさせられる内容になってましたけど、
その分得られるカタルシスも多かった印象の2巻目でした
盛り上げ上手な上に絵柄の無添加な感じも合わさってツルッと読めた最新刊でしたね
意外と文化系部活モノとは言え真剣で熱血な手応えも味わう事が出来たのが尚良かったなと
前作もそうでしたがこの作者さんは題材をしっかりと扱ってくれてる丁寧な姿勢がとても好きです
登場人物たちの絆や団結力もグッと深まった読み応えある素敵な巻でした。
今まで燻ってた分、ハマノっちの本気に注目、ですね。
で、それ以外にもう一つ大きなトピックがあって濱野先生とヒカリの進展ですかね~
何を隠そう私は教師と生徒の恋愛モノに弱い節があるので(笑
すっげえニヤニヤ出来ましたね
まあ濱野先生は顧問なだけで学校の教師ではないんですけどね。
それでも、この二人の背景は1巻でしっかりと段階を踏んで描いて来ただけに
ようやく動き始めた二人の距離感やちょっとずつ近づいていく感覚、ヒカリの思わせぶりな態度とか
半分は恋愛漫画としても読めるその懐の深さもやっぱり大好きな新刊でした
特に濱野先生の夢描写は個人的にグッと来ましたね
あれって男の夢ですよね・・・
それを作者さんが理解して描いてくれた事自体に感謝!というかね(笑
ヒカリはもっと楽しくなる為の技術を求めて、ハマノっちは以前の自分が持っていた純真な気持ちを求めて
気が付けばwin-winの関係性になっているのがあさのゆきこさんの技量の高さを窺い知れますね
部活モノとしての結実とは別に恋愛モノとしての結実も是非願っております
やっぱり純真無垢な作風のラブコメは本当楽しいですね。
それを改めて実感しました。
それと、ここまで触れてなかった冒頭の病院のエピソードもさり気に良回だと思います
「収まるべき場所」の複線の使い方が絶妙でしたし、ああいうハートフルなお話描かせると流石だなと
その後の撮影回の顛末もまた爽やかな気分になれましたし
個人的にはもっと評価受けて良い作家さんかな、と
素晴らしい表紙イラストと口絵も含めてきっちり満足出来た出色の2冊目でした。
どの話も安定感があって外してない真摯な仕事ぶりがイイですね。
グッと来るシーン多数、特に濱野先生を想うヒカリの気持ちと
ヒカリとヒカリたちを想う濱野先生の気持ちがきれいに交わってるのが個人的なお気に入りポイントです
ここまで誰かの為に必死で想いを捧げる事が出来るのって豊かなことだよな、って思います。
女流作家ならではの画面の賑やかさ・華やかもまた明るくて読み心地抜群ですね。
そしてヒカリの可愛さは最早反則レベルでした(笑
ちょっと実際にいそうな雰囲気の女の子だからこそ余計に堪らないです。