アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

今年度の醤油ができました!

2020-01-12 19:06:01 | 稲武醤友クラブ
   先日、今年4月に仕込んだ醤油の絞りをおこないました。

   友人たちと醤油作りをはじめて6,7年。私宅で醸造から絞りまで行うようになって5年くらいになります。今年はいまだに雪の気配のない稲武。暖かすぎて心配になるくらいの一日でした。こんな陽気のもとで絞りをしたのは初めてです。

   さて、今年度は、昨年度までとは違う麹屋さんの醤油麹を使用。醤油麹は、大豆と小麦に麹菌をつけて発酵させたものですが、そのうちの小麦の状態がこれまでと違って煎りが浅くて形が最後までしっかり残ったまま。麹の量も多かったせいか、桶の中のもろみはいつもよりドロッとしているように見えました。

   そのもろみに、絞り師の井上時満さんが指示するだけのお湯を少しずつ加えて馴染ませます。この加減が難しい。昨年まで使っていた麹よりお湯となじむのがおそいようだ、と井上さん。しばらくしてもろみを袋に入れていきます。

    そして、出ました! 今年初のお醤油。なんだかとてもしっかりした味。塩気のほかのうまみもとても力強い気がします。

     もろみをすべて袋にいれて重ね、万力で押してどんどん絞ります。それを見ながら、醤油に合う食べものをみんなで列挙。「りんごにもあう」という人が二人いて、さっそく試したところ、違和感なくおいしい。

     絞りを見に来た友人の1歳数か月の子供の口にもあいました。彼女はリンゴを手で持って醤油の注ぎ口に陣取り、つけては食べ、つけては食べを繰り返していました。

     お昼ご飯は、毎年、搾りたての醤油をかけてたべるとおいしいものを用意。今年は、豊田市街地の信濃屋の豆腐と湯葉、稲武の製麺所末広屋の白玉うどん、それから醤油作りのメンバーの一人が飼っている名古屋コーチンの卵と五分搗きのご飯。やはり最もおいしいのは、卵かけご飯でした!

     昼頃からは、稲武の別のグループの樽の絞りにはいります。同じ麹で仕込んでいるにもかかわらず、環境によって、手の入れ方によって大きく変わる醤油作り。今年も案の定、かなり異なる味の醤油になりました。彼女たちのは優しい味でした。それぞれいい味。

      絞り師の井上さんは、南信州で自給自足的生活をなさっている方。無農薬で育てた豆や小麦、その加工品などを「沢渡」という名前で販売していらっしゃいます。

      こちらがその商品。今回私は、もちきびともちあわ、山椒と在来種のトウガラシの粉を合わせた香辛料、それにエゴマ油を買いました。ネットでも購入できます。

       絞りの後は火入れ。徐々に温度を上げて、ある温度に達したら、その温度をしばらく保つのがコツ。朝8時にはじまった醤油絞り、これが最終の工程です。
       
       樽に戻して一週間静置し、その後分配します。ひとたるで一升瓶およそ30本以上。これが3家族の大事な醤油になります。10か月の醸造のあいだ、暑すぎたり湿気が多すぎたりしないだろうか、台風で醤油を入れた箱が飛ばされないだろうか、カビが生えていたらどうしよう、とか種々さまざまの心配をしながらつきあってきました。絞りが終わって、まずまずの味の醤油を味わえると、心から安心します。

      無添加の、ちゃんとしたつくり方をした醤油が手に入りにくい時代もあったかもしれませんが、今ではまずまず安心できる醤油は自然食品店などで結構手軽に手に入ります。値段も、手作りの場合とさほど変わりません。それをあえて自分たちで作るというのはぜいたくなことだな、と最近つくづく思います。贅沢なことだからこそ、楽しんで作り続けたい。来年度もまた仕込みができるめどがついたことを、ありがたく思います。



     



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