世界初の実用・量産ロータリーエンジン搭載車として登場したコスモスポーツが生産修了した1972年(昭和47年)から1975年(昭和50年)までの期間、「コスモ」の名を冠するクルマがなくなりました。復活したのち、バブル全盛期の1990年(平成2年)にユーノス・コスモとして蘇ったときには、まさに夢のマシンともいうべき登場でした。
しかし1996年(平成8年)にユーノスコスモは生産終了し、それ以降、再び「コスモ」の名は途絶えたままの状態になっています。
今回は夢と幻に酔いながら、ユーノス・コスモを骨伝導機器とともに「聴く」ことにします。ロータリーエンジンの官能的な音声が、耳だけでなく骨からも伝わることで、コスモスポーツとは異なるサウンドを体験します。
⇒ コスモスポーツを骨で聴く
個人的に所有していた期間は短く、あまりの燃費の悪さに辟易しながらも、実はわがままなユーノス・コスモが愛おしくて仕方なかった思い出があります。
初代のコスモスポーツが「世界初の実用・量産ロータリーエンジン搭載車」であるのに対し、このクルマは「量産車初の3ローターのロータリーエンジン搭載車」といえます。
また今では当たり前になっているカーナビですが、世界で初めてGPSカーナビを20Bエンジン車に標準搭載していたのも特筆すべきことです。ちなみにこのナビは三菱電機と共同開発したものでした。
車内の質感も高く、バブル時代の申し子らしい内装でした。またエンジンは世界初の3ローターだけでなく、RX-7でお馴染みの13Bエンジンも設定され、どちらもシーケンシャルツインターボでした。
3ローターエンジンは高排気量のV12エンジン並の滑らかを持つともいわれ、パワーの上でも当時の国産最高クラスでした。しかし、当時の通産省の行政指導により自主規制枠の280馬力デチューンが必要で、そのためにターボへの排圧を低くするバランスの悪さがありました。13Bエンジンと比較して排気ポートが狭く塞がるようになったのです。
実はマツダのディーラーの人には、この20Bエンジンはやめたほうが良いと散々言われた思い出があります。どうしても無理な設定があって、エキセントリックシャフトや後部のローターの冷却性に問題があったり、ターボのプライマリー側とセカンダリー側で異なるタービンがトラブルを多く発生させたりすることがあって、メンテナンスの面からお勧めできないことを言われました。
それでもこの記念すべき3ローターのエンジンは、日本の技術力を世界に示すことのできるものであることは間違いありません。アクセルの開閉、特に低回転時の「重さ」を感じたときから一気に踏み込んだときの天井知らずの回転力、これはまさに官能的です。
ロータリーエンジン特有のサウンドも心地よく、レシプロエンジンでは絶対に味わえない世界へと誘ってくれます。
これを改めて最先端の骨伝導機器で聴きます。
米軍で採用された特許技術の骨伝導機器には、世界初の技術が網羅されたユーノスコスモに似合います。今の時代の目でみても決して古さを感じないコスモは、最先端の骨伝導で聴くことも十分に魅力的です。
⇒ 世界特許の骨伝導機器
懐かしさが先行してのものでしたが、やはりこの時代の贅沢なクルマは日本が世界に誇れる技術が満載であることを改めて感じました。