いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

英国大連立構想。 plan of a large coalition cabinet in england

2017-06-18 19:48:57 | 日記
 (1)EU離脱か残留かの国民投票で残留を主張して敗北したキャメロン前首相に代わってメイ首相が就任して、当初は最大野党の労働党に大差をつける国民支持が集まっているといわれてその気になってEU離脱交渉を有利に進めるための基盤確保のために解散総選挙に打って出たが、予想に反して議会第1党は維持したが過半数を占めることはできずに事実上の敗北となった。

 そのメイ首相はその後マンチェスター・テロ事件にロンドン西部で起きた高層住宅火災の大きな被害で危機管理能力、指導力に批判が出て、EU離脱交渉どころではない国内政治の行方が定らまない混乱を招いている。

 (2)総選挙後は過半数を維持するために議員10人規模の地域政党の閣外協力を得る連立政権構想を打ち出していたが、ここにきて今回の総選挙で数十議席増やした最大野党の労働党との大連立構想(plan of a large coalition)が浮上(報道)している。

 そもそもがEU離脱交渉を有利に進めるための安定政権確保が狙いのメイ首相の解散総選挙であったので、その目論み、目的が叶わなかったのだから最大野党の労働党との大連立構想は英国統一のひとつの選択肢ではある。

 (3)ところが保守党と労働党といえばこれまでも交互に政権を担ってきた最大ライバル政党同士であり、大企業経済力、金融経済成長優先の保守党と中産階級、労働者の権利保障の労働党とは理念、政策が大きく異なり異質の数合わせだけではますます政治混乱を招くのはあきらかだ。

 議会制民主主義発祥の英国の議会構成としては、国民の意思を最大反映しない政党利益、利己主義の本末転倒の不条理(unreasonableness)な判断でなじまないものだ。

 (4)議会制民主主義先進国英国としては解散総選挙を選択、強行したメイ首相が過半数割れ(選挙前は過半数確保)に追い込まれたのだから、ここは保守党としてはメイ首相の退陣、首相交代、出直しが妥当のところだろう。

 世界政治は既成政治、政党への不満、不信勢力が勢いを増して極右勢力やポピュリズム政治に傾倒する流れが主流となっており、EU離脱、残留の国民投票でも残留を主張するキャメロン首相(当時)に対して国民は反対の意思表示で離脱を選択した。

 (5)伯仲した国民投票の結果やその後の選択混乱をみるとキャメロン首相(当時)、政権の国民説得、説明不足が考えられるもので、議会制民主主義の理念、手法の劣化危機とも受け取られる。

 今回の英国政治での保守党と労働党との大連立構想も、歴史と伝統の英国議会制民主主義の理念、思想、哲学とは相容れないものがあり、目先の数合わせだけの英国大連立構想は英国民の理解、協力、支持を得ることにはならないだろう。

 (6)世界的に政治は劣化したといえる。そういう時代だからこそ、英国民主主義政治がせめて良識と見識、覚悟を世界に発信する気概を示すべきだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする