いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

天皇の宮中皇室改革。 royal innovation of tenno

2017-06-12 19:51:26 | 日記
 (1)天皇の退位特例法が成立した。80才の高年令で健康にも不安を抱える天皇の意思が実現し、来年末の皇太子の新天皇即位、2019年1月1日から新元号が適用されるという日程(報道)が有力だ。

 前天皇と現天皇が並んだ報道写真を見ると、64年間病気で亡くなるまで天皇を務めた前天皇に比べれば29年目の現天皇はまだ若いという印象は受けるが、前天皇が重い病気を抱えながら亡くなるまで天皇を務めたことを間近で見てきた現天皇がつらい思いを共有したあたらしい時代(実は古くから天皇退位の歴史は多くあったわけだが)の天皇像の幕開けでもある。

 (2)新天皇となる皇太子は近現代史ではもっとも年長者としての新天皇となることもあわせて、現天皇の思いはいろいろとあったのではないのだろうか。
 現天皇は皇室歴史上初めて民間から皇后美智子妃を迎えて、皇太子など子どもをそれまでの宮中慣例とは別に自らの手元で育てるという宮中皇室改革(royal innovation)を実践してきた天皇歴史があり、昨年8月の退位意向の表明にも宮中皇室改革者としての天皇の決意がみてとれるものであった。

 (3)皇太子の新天皇即位にあわせて現天皇は上皇、皇后は上皇后となることが特例法で決まっている。上皇としての仕事は具体的にはまだ決まっていないが、私的な行為とこれまでの公的行為(被災地訪問など)との区別が国民にはわかりにくいとの問題もあり、「国民が上皇を事実上の天皇とみなしてしまう『象徴の二重化』が生じるとの懸念」(報道)が報じられている。

 (4)国民が天皇の上にさらに天皇(上皇)を認識、認めるかどうかは一概にはいえないが、基本的には一家の中に働き手の夫がいて、現役を退いた祖父がいるとの関係でとらえることはできる。

 国民統合としての象徴は理論的には「ひとり」だが、また理論的にはそれぞれの象徴が複数人いてもそれぞれをそれぞれの思いで尊厳すれば問題はない。

 (5)象徴天皇は政治には直接かかわらずに、かっての天皇制のように権力、権威を有するものではないので、「象徴の二重化」が国民に与えるインパクトは強いものとは考えない。

 国民統合の象徴が複数人いてもそれぞれの思いの中にそれぞれにあるもので、どの象徴がどの象徴を上回るというような象徴天皇の権力、権威構造主義の世俗的な関係ではありえないものだ。

 (6)上述のように現天皇は宮中皇室改革を実践してきた近代象徴天皇のあたらしい具体像を示しており、今後も新天皇を上皇として見事に支えるのではないのか。
 自ら決意した天皇退位のあるべき理想像を具現化する決意もあわせ持つものだ。

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