いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

プーチンの意図。 intention of president putin

2016-12-17 19:55:39 | 日記
 (1)最近のロシア政府の言動、来日直前のプーチン大統領のメディア取材を聞いていて領土問題での進展には期待できるものがなかったが、安倍首相が地元山口県長門市にまでプーチン大統領を招いて「本音」(confess)で話し合うといった設定は何だったのだろうかという首脳会談の結末だった。

 3時間近くもプーチン大統領の来日が遅れて安倍首相は待たされたあげくにもたらされたのは、ロシア極東地域の日露経済協力、共同経済活動を推し進める話で、それもロシアは日本が求める日本企業への国内法適用の「特別な制度」に否定的で、今回の共同声明にも安倍首相が主張する「特別な制度」は盛り込まれなかった。

 (2)北方4島返還の領土問題はまったく進展もなく、ロシアの極東地域への日本の経済協力をロシアペースで推進する思惑ばかりが強調されて、プーチン大統領に思うようにしてやられた印象が強い。
 してやられたというより、領土問題でイニシアティブを持つロシアに安倍首相は弱みにいいようにやられたというところだ。

 3時間近くも待たされたあげくにこの結末には、わざわざ安倍首相の地元長門市に招いてまでの一体何のための首脳会談だったのかの疑念もふくらむ。95分間の通訳以外2人だけでの話し合いがもたれたといわれているが、結果は翌日の共同声明のとおり共同経済活動をロシアペースで進めていくというロシアの核心部分に集約されることになった。

 (3)第2次世界大戦の結果、北方4島はロシアの法律上の領土になったとするロシアの主張は、ロシアの太平洋に展開する重要軍事拠点として重要視する北方4島の返還問題は一筋縄どころかがっちりと鉄の結束で固められて、解きほぐすことも容易ではないロシアの意図を思い知らされる。

 安倍首相ははじめてだと思うが、将来の北方4島(あるいは2島優先)の返還のためにまずはロシア極東地域の共同経済活動をロシアとともに推し進めていくことが大事だと述べているが、今回の首脳会談の結果を見ればそういう日本側の領土返還に結びつけるシナリオも実現性があやしい印象を強くする。

 (4)ロシアが日本の企業協力活動により極東地域の経済発展をもたらしたあとに、その栄華をそれを手放して日本に領土返還することなどあり得ない幻想(illusion)でしかない。

 その過程で日本が北方領土返還を経済発展の対価として強く求めれば求めるほど、パラドックス(paradox)としてロシアはさらに軍事基地化を理由に強硬に返還を拒み続けるのではないのか。
 共同経済活動の成果、果実で日本も十分に対価、成果、恩恵を受けたと、もたらしたと主張することは十分に考えられる。

 (5)ひょっとしてプーチン大統領の「引き分け」論は、共同経済活動の成果、果実の相互恩恵のことを言っているのではないのかと思えるほどだ。
 ロシアとすれば72年の沖縄返還後の沖縄米軍「統治」の実情を見てきているわけで、仮に将来にわたって北方4島の返還スタンスを取ったとしても沖縄以上の北方4島のロシア支配体制を築いてくることは考えられる。

 ロシアからすれば北方4島を含めて極東地域は軍事基地化固定を進めて(ミサイル配備も伝えられている)、むしろ自然環境、生活環境が厳しい極東地域は国民が定着、発展するにはふさわしくないと考えてもおかしくはない。

 (6)ロシア国土はほかにも国内に広大な土地、地域を有しており、北方4島を軍事基地化、貿易、経済窓口、貿易港以外にこだわる必要性などない環境もある。
 日本の共同経済活動による極東地域の経済発展があれば、それは「付加価値」みたいなものとも思えるロシアの意図(intention of russia)だ。

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