いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

米朝2国間協議。 conference among two nations in USA and NK

2012-03-01 19:33:26 | 日記
 (1)2月に北京で開催された米朝協議で、米国の食糧(栄養補助食品)支援と引き換えに北朝鮮が核開発につながるウラン濃縮活動の「一時停止」と核実験、ミサイル発射の「凍結」を表明した。
 日本首相は重要な一歩と評価したが、北朝鮮の「一時停止」、「凍結」は国際社会の経済制裁解除、食糧支援拡大に向けた「担保」とする意図があきらかで、今でも何度も大きな一歩と言われてしかし言葉通り守られてきたことはない現実だ。

 米国ほかの「約束」履行の不十分さを理由(口実)に、さらなる自国利益の確保、協力のための計算でいつしか「元のもくあみ」となることが通例の北朝鮮事情だ。
 国際社会は何度も苦い、やりきれない経験を味わってきているし、北朝鮮は朝鮮半島の同民族分轄による簡単には崩れない、壊せない「力」のトライアングル・バランス(triangle balance 中国・韓国・北朝鮮)の現状をたくみに盾(たて)として自己主張を続けている。

 (2)北朝鮮の核開発の放棄を求めている米国ほか国際社会に対しても、指導者交代、前総書記の記念行事を前にして壊滅的な国内食糧事情へのテコ入れとしての「一時停止」、「凍結」の選択にすぎない。
 他国、国際社会の譲歩を引き出す最強最終のウラン濃縮施設の「稼働」停止には応じない、いつものしたたかな計算戦略の北朝鮮手法だった。

 米国としてはとりあえず北朝鮮をノドから手の出る食糧支援を見せての「政治ステージ」に乗せての、中国も含めた他国間交渉の中で今後の「完全停止」、「放棄」に向けて戦略を練っていくことになるのだろう。

 (3)課題は、同民族分轄対立という他国の干渉が入りにくい朝鮮半島事情、対立する米国、国際社会にとっても韓国、日本が隣接する簡単に介入できない特殊な「地域」環境を逆手にとっての北朝鮮の「したたか」さ、強引さ、身勝手さに効果的な解決手段のないところだ。

 北朝鮮の身勝手が前面に出てもう数年も開催されていない「6か国協議」といっても、協議内容そのものは決まり文句の応酬(言いっぱなし)で結果として北朝鮮の計算通りの協議が前進したことがないものだ。

 北朝鮮はそれよりインパクトの強い米国との2国間協議(conference among two nations in USA and NK)を一貫して主張しており、今回の格好(これも計算通りに一時停止・凍結)をつけて「実(食糧支援)」を取った北朝鮮の「したたか」な計算ばかりが際立つ結果となった。

 (4)とは言え、これ以上でも以下でもないのが北朝鮮事情ということならば、やはり北朝鮮の指導者が交代した転機でもありこの機会に指導体制も固まらない中での北朝鮮への国際社会からの先手、先手のアプローチの糸口は出来たことは事実だ。

 経済成長の著しいアジア圏でひとり国際社会から孤立している北朝鮮に、国際社会から矢継ぎ早にアプローチをかけて国際社会のステージに北朝鮮を引き出して、自ら自己矛盾もさらけ出すのも正常化方式だ。同様の軍事独裁国家ミャンマーの民主化の事例もアジア圏にある。

 (5)もちろん一筋縄でいかないのが北朝鮮事情だ。北朝鮮の核開発の放棄がまず目的といっても先導する米国が世界最大の核保有国とあっては、北朝鮮の核開発への格好の口実を与えてもいる。

 数千、数万発にも及ぶ核兵器を保有していても現実として「使用」など出来ないのが現実世界だ。地球破壊の自己矛盾、自己否定にすぎない。そういう理念がかっての世界パラダイム(paradigm)にはあったように思う。

 それでも9.11以降は「手段」を選ばない軍事、テロ攻撃が現実感を持ってきた世界観(global view)だ。
 米国大統領が「言った(最近は聞かれなくなった)」ように「核兵器のない世界」の実現は北朝鮮も含めて避けて通れない地球平和保護の生命線、世界観だ。

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