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なにわ筋線視察でみえた、都市部で行う2つの鉄道路線を浅深度でつなぐことで進む蒲田駅ビル、区役所、産業プラザ建替え

2022年12月23日 | 新空港線(蒲蒲線)

交通問題特別委員会の視察で、大阪市にきています。

昨日は、なにわ筋線について調査しました。

使う補助のしくみが違うなど、資金調達や、その位置づけが違いますが、都市部に乗り入れている2つの鉄道路線をつなぎ、利便性を向上させるのは、蒲蒲線と同じです。

調査から見えた、蒲蒲線の大きな影響についてご報告します。

蒲蒲線もなにわ筋線も都市部を走る2つの鉄道をつないで、利便性を向上させます。

都市部なので用地買収ができませんから、地下を使うことになります。

大深度ではなく浅深度なのは、区道や既存の鉄道用地の地下を使うからと説明を受けていましたが、今回の視察で、浅深度の意味がみえてきました。

浅深度なら、上部の建物を建て替える必要がでてくることです。

鉄道が通ることで、私有地を通ったり、杭に影響する場合には、建物の除却や建て替えが必要になり、制限がかかります。

その場合、用地の収用(お金で買い取る)などが生じるそうです。

今回の蒲蒲線で、影響が出るのではないかと思われるのは、

駅ビル
大田区役所
産業プラザ(PIO)

です。

老朽化した駅ビルを建て替えるに際し、失われる容積率分補助を受けられることは、必ずしも、ビル所有者には悪いことではありません。


容積率は減りそうですが、空港の沖合移転などで高さ制限が変わっていますし、各種の都市計画のしくみや、建築範囲を変えれば、減るどころか、大幅に増えると思います。

鉄道が駅ビル地下を通ることで、老朽化した蒲田駅ビルの建て替えは一気に進むでしょう。

12月20日に行われた、政策大学院大学教授の岸井隆雄先生が、新空港線整備促進協議会で、老朽化した蒲田の駅ビルに言及したのも、これで意味がわかりました。

大田区の本庁舎や産業プラザは、まだ建て替えには早いと思いますが、これを機に、「たて替えなければならない」ようにすることで、建て替えへ誘導するのでしょう。

私は、そもそも蒲蒲線に反対ですから、不要な建て替えをここでもすることになるので、問題だと思います。

特に、この間、区役所は莫大なお金をかけて修繕をしています。
当然、行政はそうした可能性について知っていたでしょうから、そこにも疑問が生じます。

同じく先日の新空港線整備促進協議会で、大田区が作った動画は、建て替え後の大田区役所を思わせる動画になっていました。

 


視察報告書案


なにわ筋線について

なにわ筋線は、大阪市の(仮称)北梅田駅から南に鉄道を整備し、途中で二つに分かれて、JRとJR難波駅で南海本線と新今宮駅でつなぐ新たな鉄道路線。

建設延長は7.2㎞。
そのうち地下部分が6.5km、掘割・盛土部分が0.3㎞、高架部分が0.4㎞。

・鉄道の整備主体は、第三セクターの関西高速鉄道株式会社が行い、下
・運営は西日本旅客鉄道と南海で近畿鉄道株式会社が行う 上

上下分離方式を採用している。

総事業費約3000億円、のうち、国25.8%、府・市28.5%の補助金でまかない、借入金で25.8%を賄うとともに、残りの20%を出資金として、府と市で10%残りの10%をJRと南海の鉄道事業者で半々で担う。

借入金は鉄道公団の借入金1,147億円は固定金利0.6%の財政投融資を使い、40年をかけて返済する。

輸送需要24万人/日を想定し、2031年春の開業を目標に昨年10月に着工している。

鉄道経路のほとんどは、道路や河川などの公有地だが、一部民地がある。

鉄道が通る地下は大深度ではなく、構築物の基礎や埋設物などに影響するため、構築物を除却し、基礎などを縮小した範囲に建築しなおす必要がある。

差額は、土地収用法などをもとに補助する。

蒲蒲線は、補助率が高いため、黒字化などの年限が短く、事業採算性が良いように見えるが、なにわ筋線で資金の約1/4を超低利な固定金利で借入できるのは、インフレ傾向にある現状で必ずしも蒲蒲線の方が有利とは言えない。

蒲蒲線は、高い国の補助率に支えられ、利便性向上を理由に鉄道整備されるが、主眼が駅前広場整備などまちづくりに置かれているのに対し、なにわ筋線は、市民の需要に支えられた鉄道整備を主眼に行っている事業に見えた。

蒲蒲線も大深度ではなく、区役所本庁舎や駅ビル、産業プラザなど構築物の地下を通る場合、基礎部分に影響が及び、上部の建築物の建て替えが必要になる。

蒲蒲線は、区役所本庁舎・駅ビル・産業プラザ建て替えとセットではないかと思った。


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