大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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世界と違う日本の民営化、安くならない、競争も無い、競争からのサービス向上も無い、手厚い補助金、低賃金

2018年03月11日 | ├行政システム・公共調達

市場経済競争から価格が下がり、サービスが向上するといわれてきた民営化ですが、

税負担は減らず
競争もなく
だから競争でサービスはよくならず
補助金は手熱いけれど
現場で働く保育士や介護従事者は低賃金

ということが明らかになっています。


海外では再公営化が始まっていますが、それとも違うさらに問題の大きな日本の特殊な民営化について、予算特別委員会で問題を明らかにしました。


*以下、質問と答弁の概要です。
実際には、議場でのやり取りで、筋書き通りにはいっていません。(発言すべきは発言しましたが。)
あいまいな答弁は、掲載しませんでした。動画がアップされてから確認して掲載します。


市場経済競争で価格が下がり、サービスが向上すると言われてきた民営化ですが、必ずしも価格が下がっているわけではありません。

今日は、中でも株式会社にゆだねた民営化の効果がどうだったか、について考えたいと思います。

官民?公私、営利・非営利

民営化と言うとみんなの民ですが、公がやっていたことを営利企業に任せるということですから、パブリックに対してプライベートで、公と私。わたくしの私を使って私営化とか営利化というのがふさわしいと感じます。

ですから、海外では営利化と言ったりしていますが、日本では官より民間という意味でしょうか。民営化と言っています。

民営化といえば、公で行っていた事業を市場経済にゆだねるということで、だから経済競争で価格が下がり、サービスが向上するという言い方がされてきたわけです。


世界とは違う日本の民営化


市場経済競争は自己責任で、リスクをとり、その代わりに、そこから得られる利益は、自分のものにできる自己責任の世界です。

リスクなく、株主という個人の資産にも財政投入

ところが、そもそも、日本の民営化は、海外の民営化のように、水道や鉄道郵便や通信など地域独占事業も、子育て介護などの民営化も、いずれも、公が行っていた事業に手厚い補助金を出して運営させる方式で、ほぼリスクなく営利活動を行えます。

海外で民営化すると、事業者は、利益を大きくするためインフラ整備を怠ってコストを下げたり、料金を上げて売り上げを大きくしようとしますが、日本の民営化の場合、インフラ整備は、たとえば保育園で15/16という手厚い補助金で整備できます。

リニアが低利で3兆円の財政投融資を受けたり、蒲蒲線の補助金の協議が長引いていることでもわかるように、民と言っても官と同じように、インフラ投資への補助金も厚く、運営費も公定価格で定められていて売り上げも確保できるのが日本の民営化です。

競争が無い
競争で、サービスが良くならない

そもそも、委託費や協定金額で売り上げが確保されるしくみですから、市場経済競争で価格が下がることも、サービスが良くなることも、ありません。

言ってみれば、現場で公務員が運営していたところに株式会社などが入るようなものです。

・競争で、価格が下がらない

これまで、大田区が民営化で価格が下がったと言っているのは、わずかに、認可保育園と、特別養護老人ホームと高齢者在宅サービスセンターですが、認可保育園は、国の補助金が入り、大田区の一般会計予算の総額が増えたと言っているにすぎず、国の補助金も大田区の一般財源も私たち区民が負担している税金です。

大田区は、国の補助金目当てで民営化、縮減した一般財源は土木建設?

それより、縮減した一般財源を何に使ってきたのか、気になります。

平成30年度予算の福祉費や扶助費の割合は、昨年度に比べて減っています。縮減しても国でも都でもできる土木建設に使っているのでは意味がありません。

大田区は社会保障の責任主体なのです。

 

価格は下がらない、競争はない、だから競争ではサービスは良くならない、しかも現場で働く人の低賃金が問題になっている。

これが、今の大田区の民営化の現実です。

 

できた保育園は株主の資産

そのうえ、出来た保育園は、区立だと区民の財産ですが、株式会社が保育園を作ると土地も建物も株主の資産になります。

 

本当に民営化して効果はあったのでしょうか。

 

大田区のアウトソーシング指針で、民でできることは民で、書かれています。

 

1.そこでうかがいます。

Q:民でできないことは何ですか。

A:法定受託事務、税の賦課や許認可、政策企画立案など



●私は、同じ人間ですから、官でできて民でできないことはないと思っています。

大田区のアウトソーシング指針にあるように、

業務を切り分ければ、

・法定受託事務

・税の賦課や許認可

・政策企画立案なども

生活保護の相談や税の窓口を委託し、政策立案もシンクタンクに何千万の委託してますね、できるわけです。

こうやって切り分けていくと、最後は選挙でえらばれる区長と議員と教育委員くらいしか、官には残らなくなるかもしれないと心配になります。

税は議決によらなければならないわけですが、税の減免も議会によらず国家戦略特区でできる時代です。

 

●民にできるか、できないか、ならできないことはないのです。そうではなく、何を官が担うべきか、担ってきたのか、忘れてはならないと思います。

 

官が行ってきたのは、公務員が全体の奉仕者として位置づけられているからです。

だからこそ、公務員には服務の宣誓があるのではないでしょうか。

例えば大田区の職員の皆さんは昭和26年10月16日制定された職員の服務の宣誓に関する条例で、服務の宣誓を行います。

私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、擁護することを固く誓います。

私は、地方自治の本旨を体(タイ)するとともに公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として、誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います。

教育委員会ですと、地方自治および「教育」本旨を体すると「教育」が加わります。

 

 

株式会社は株主利益最優先

株式会社は、株主の利益を最優先するためのしくみです。
株式会社の社員は、株主の利益を最大化するために働きます。区の仕事を担う株式会社の社員は、区の仕事を担うことで、株主利益を最大化するために働きます。

公務員とは違うのです。

無駄な株主配当や内部留保に使われる、非効率な税金の使い方

そして、株式会社に大田区の住民福祉=社会保障を担わせると、税金の一部が、株主の資産になったり、配当に使われたりします。

私は、そのぶん、無駄なコストのかかる効率のわるい税金の使い方だと思います。

 

●長い間、株式会社を公共、特に社会保障分野にさせなかったことには意味があります。

非営利法人、社会福祉法人、学校法人、医療法人に、日本の社会保障、教育、医療を担わせてきたのも

剰余金の分配
持ち分の分配
残余財産の分配を禁じているからです。

また、個人資産形成には補助金を出してはならない、というのも大切な原則だったと思いますが、株式会社が建設する保育園に、15/16も補助金を出しているわけです。

それでも株式会社に社会保障を担わせるなら、効果を検証すべき

こういう中で、株式会社に社会保障を担わせるなら、明確なメリットが必要だと考えています。

.そこでうかがいます。

Q:社会保障分野に株式会社の参入が許されたのが2000年です。それまで、株式会社は社会保障に参入できませんでした。どうしてできなくて、どうしてできるようになったのですか。

大田区は、なぜ、社会保障分野に株式会社の参入をゆるしているのですか。国が決めたからですか。

 

 

 ●「個人の資産形成に公的資金を投入すべきではないというのは、これは財政運営上のもう基本的なルール。」これは、片山元総務大臣の言葉です。東日本大震災で罹災した方の住宅に公的資金を投入するときの発言です。

みんなの税金をだれか特定の人の資産を築くために使ってはいけないという考えを表しています。被災者のための住宅確保という災害時の特殊な状況が、今では、当たり前のように株式会社立の保育園ができ補助金を支給しています。

 

現在、大田区の株式会社立の保育園は、34園。4月に新たに21園できますから、137園のうち、半分弱が株式会社立の保育園になっています。

民営化がはじまってすでに10年がたっています。いまだに抽象的な説明で、具体的な検証が示されていないのは、あまりに無責任で検証すべきです。

民営化保育園の問題は、コストが下がらない、サービスが向上しない、株主配当や個人資産形成につながる、だけでなく。給付している公定価格相当が保育士には支払われないという問題があります。

そこでうかがいます。

Q:認可保育園に、処遇改善費用や家賃補助大田区独自の手当を支給しているのはなぜですか。

 

●払うべきではないのでは。

支払わせることはできるのか。

 民営化や民間委託先の従業員の給料は、委託費や公定価格では、公務員に準拠される形で算定されていますが、人件費というコストを削減され、株主配当など回されてしまい、低賃金が問題になっています。

4.そこでうかがいます。

Q:補助金を受けても保育士に支払わない事業者の問題ではないか。大田区は、補助金で公務員に準拠する賃金が支払われていることを知っていて、家賃補助や手当の補助をしているのですか。

A:知っている。 

●先日の奈須りえの一般質問で大田区は、公共サービスの提供に従事する従業員の適正な労働条件の確保に向け、民間事業者に指導助言などを行うとともに、保育士の処遇改善などにも取り組んでいる。

と答弁しています。

この答弁は、受け取っている補助金を支払っていない事業者に問題があると大田区が認識しているということで、
だとすれば、大田区が行うべきは、手当や処遇改善費用の支給ではなく、受け取った補助金分、保育士に支払わせることではないでしょうか。

5.そこで、うかがいます。

 Q:指導しているのですか。書面ですか。口頭ですか。
A:書面でも口頭でも指導している。


Q:保育士の低賃金の犠牲のうえの民営化とは考えませんか。

 

補助金を給付し、処遇改善費用も支払い、保育士には全額支払われず、配当や内部留保や資産所得に流れるのは、株式会社が全体の奉仕者ではなく、株主の利益を最優先にしているからではないでしょうか。

そこでうかがいます。

6.大田区の認可保育園の運営経費は、かかっている大田区の税金はほぼ同じで、民営化園だと保育士が低賃金になります。他の民営化や民間委託も同じ構図だと思います。それでも、株式会社による民営化園を選ぶのはなぜですか。

 

 

 

 

リスクなき投資家利益確保のしくみが(今の大田区の)民営化ではないかと思うのですが、こういった投資家の利益が確保できる民営化を続けているとおかしなことが起きてきます。

7.そこでうかがいます。
民でできることは、民で、と言ってきたわけですが、レンタサイクル、イベントなど、民がやっていることを官が行うようになっています。

これをどう考えますか。

 


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