旅限無(りょげむ)

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テレビ・ラジオの曲がり角 其の弐

2009-04-29 09:43:57 | マスメディア
■「最低の人間」発言で物議を醸してしまった鳩山総務大臣は、事務所に多数の抗議電話が殺到したとて前言撤回、手榴弾を投げ込む予告電話まで掛かった所もあったそうです。どちらもテレビを真剣?に観ていることには変わりはなさそうですが、テレビ業界がよい方向に向かう助けにはならないような気もします。

民放連は27日、平成23年7月の地上デジタル放送完全移行をPRする新キャラクターを発表した。2本足で立ちアンテナの形の角を持つ“ゆるキャラ”で、愛称は「地デジカ」くん。地デジ移行の「注意喚起」を促す意味で黄色い服を着ている。……地デジ普及推進のメーンキャラクターを務めているSMAPの草なぎ剛さん(34)が23日に公然わいせつ容疑で現行犯逮捕され、地デジCMは全局で放送中止中。……発表会に出席した鳩山邦夫総務相は「(草なぎさんは)立派に大人の反省をして立ち直ってくださると信じている。彼がいない分、地デジカくんに頑張ってもらわないといけない」と話した。
4月27日 産経新聞

■逮捕が23日で「地デジカ」くんの発表が27日。生身の人間で代役を立てるのは非常に難しかったのでしょうが、何とも安直なお役所仕事ではあります。無気味な可愛さですっかり日本中に知れ渡ってしまった「せんと君」ぐらいのインパクトがないと草ナギ君の穴埋めは無理でしょう。SMAP人気と「女子アナ」ブーム?に便乗すれば地上デジタル化は順調に進むだろうと、何処かの誰かさんが考えたところから間違いが始まっているのですが……。

■あわてて作った面白くも可笑しくもない「地デジカ」君の着ぐるみに入っているのは鳩山大臣ではありません。「ゆるキャラ」のブームに便乗して登場した「サイバンインコ」という名前もデザインも苦笑と冷笑を浴びた着ぐるみに入って大汗をかいていた鳩山大臣でしたが、あれで懲りたのか?単に「地デジカ」君の着ぐるみが鳩山大臣の体型を考慮していなかっただけだったのか?理由は不明ですが、これから大急ぎでCM制作とポスター作りが始まるのかと思うと気が滅入るようなデザインと名前でありますなあ。

■2009年から正式に始まる「裁判員制度」自体が、このまま本当に開始できるのか?と心配されるほど疑問と批判の声が日に日に高まっている昨今であります。例の「サイバンインコ」は各地の地方検察庁が張り切って作った60種類以上もの「ゆるキャラ」の中から鳩山大臣が直々に選んだ福岡高検の作品で、法務省・検察庁の公式キャラクターなのだそうです。2009年版の『現代用語の基礎知識』(自由国民社)にも掲載されることが決まっているという報道もありましたが、本当かいな?と長年お世話になった『基礎知識』の衰えも心配になります。着ぐるみよりも制度自体に欠陥が多い裁判員制度ですから、「サイバンインコ」よりも不幸にも選ばれてしまった初代裁判員の皆さんの御心労と御苦労を思うと気が重くなって来ますなあ。

■「サイバンインコ」がテレビCMに出て来たという話は聞きませんが、最初から広報用の予算にテレビ枠は組まれていなかったのかも知れません。地デジ移行に関する広報にはは莫大な予算が使われているようですし、各テレビ局も死活問題ですから自腹を切って全面的に協力しているらしく、誰も観ないのに草ナギ君の広報CMがのべつ幕無しに垂れ流し状態で放送されていたようですから、これからは同じ頻度で「サイバンインコ」ならぬ「地デジカ」君が顔を出すことになるわけですなあ。彦根城の築城400年を記念して登場したゆるキャラの元祖「ひこにゃん」に負けないほどの人気者にはなれないまま、「サイバンインコ」と共に寂しくお蔵入りとなるのでしょうか?

■どうやらテレビが持っていた神通力や影響力には大きな翳(かげ)りが見えているとしか思えないのですが、一部には今でも非常に偏った形で強い影響力を持っているのが心配です。


2歳の長女を熱湯を入れた風呂につけたとして、警視庁少年事件課と綾瀬署は28日までに、傷害容疑で、東京都足立区の無職の母親(19)と友人の無職少女(19)を逮捕した。長女は両足に2カ月のやけどを負ったという。……「言うことを聞かず、いらいらしていた。お笑いタレントが熱いおでんを食べさせられるのを思い出し、懲らしめようと思った」などと供述。……自宅マンションで、ベビーバスに入れた深さ約8センチの熱湯に、長女の両足を約1分間つけるなどした疑い。……熱湯は60度以上あったとみられ、母親らは長女の肩を押さえつけ、茶碗で熱湯をすくって体にかけるなどした。「熱い」と床を転げ回る姿が面白く、笑って見ていたという。……4月28日 時事通信

■「熱いおでんを食べさせられ」たお笑いタレントは誰なのか?それを特定してみたところで我が子が泣き叫ぶ姿を「笑って見ていた」鬼の心が矯正されるはずもありません。我が子に対する虐待が笑いのネタになっているという衝撃的な事態が起こっている!同列に語っているのですから、この19歳の馬鹿母は残酷趣味のテレビ番組を大笑いしながら観ていたのでしょうなあ。他人が火傷するかも知れない危険な事をしている姿を見て笑える……。そういう視聴者が一定数存在するからこそテレビ局はこういう企画を大真面目に考えるのでしょうし、それを命じられた職業人は命懸けで命令に従うことになります。テレビ画面を挟んで、アチラ側とコチラ側とが完全に隔絶しているわけですなあ。

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2 コメント

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Unknown (芸能裁判研究班(芸能事件簿))
2009-04-29 23:11:59
こんばんは。
ビートたけしは草なぎ擁護発言において、
鳩山大臣を批判していますね。

また来ます。
芸能裁判研究班さんへ (旅限無)
2009-04-30 10:21:51
いらっしゃいませ。丹念に芸能界の動向を追跡しておられる御様子に敬服いたします。政局が流動化している時に芸能界までトバッチリを受けるのは仕方がないのかも知れませんが、時節柄、人気者を利用して選挙も地デジ移行も思い通りに進めようとしている人達の影が見え隠れしているような嫌な感じもしますなあ。小泉政権は上手にマスコミを利用していたようですが、それに比べると麻生内閣のやり方は強引で分かり易いのかも知れませんね。