旅限無(りょげむ)

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中国よりもインドが大事かも? 其の壱

2005-07-02 00:21:38 | 外交・情勢(アジア)
■最近の朝日新聞で、インドに関する目を引く記事が幾つか有りました。暴動だのイチャモンだので、「日中問題」の重要性ばかりがマスコミの飯のタネになっている昨今なので、少しはアジアの多様性を思い起こさせる意味が有ろうかと、参考になりそうな物を拾ってみましょう。最初は、元アジア開発銀行インド駐在事務所長で日本大学教授の森茂子さんの投稿です。

……主要国の要人たちが、あたかも回転式ドアから次々と人が現れるようにインドを訪れている。小泉首相も南アジア・欧州訪問で4月末、ニューデリーを訪れた。日印両国には、ビジネスの拡大や国連安保理の常任理事国入りなど共通の関心事がある。……米国は金融やITソフト関連ビジネスで、韓国は休息に膨らむ中間所得層を対象にした家電産業で……インドにとって日本は最大の経済援助国だ。今回の訪問時に、小泉首相は今後更に援助を増額していくとの声明を発表した。……10年ほど前にインドを訪問した際の経験談が、今回の訪印直後の英字新聞に掲載された。デリーのホテルで使い古した下着を捨てたところ、ホテルの従業員が拾って洗濯し、アイロンまでかけて飛行場へ向う小泉氏に届けてくれた。……2005年6月9日 朝日新聞『私の視点』より


■インドを時代錯誤の植民地支配しようとか、貧乏ぶりを笑って戦争を誘発しようとか、我らが純ちゃんは決してそんな事を考えていたのではないはずなのですが、この人の政治家としてよりも、人間としての品性と感性を疑ってしまうエピソードですなあ。この時の欧州訪問でも、ドイツのシュレイダー首相と仲良く音楽界に出掛けて、事もあろうに『ワーグナー』を堪能したのだとか、完全にハメラレたとしか思えません。中国と韓国が日本を非難する時に、「ドイツを見習え!」などと木に竹を接ぐような阿呆話を真顔でしているらしいですが、ドイツも輸出業界は火の車ですから、各地で反日ムードが盛り上がって不買運動でも起こってくれれば、自国の商品を売り込もうと虎視眈々なのでしょう。仲良く国連改革をしましょう、などと言われて同志を気取っていると大変なことになりますぞ!

■まあ、これで小泉純ちゃんは、中東にスポットライトが当たっても、イスラエルには入国出来なくなりましたし、米国のユダヤ系ロビイストからも嫌われてしまったわけですが、それに気が付くのはもう少し後になるのでしょうか?首相の知能とセンスを先読みして、余り国益を損ねる馬鹿をやらせないように気配りするのが外務省の仕事でしょうに、放っておくと音痴なオペラでも歌い出したら大変ですぞ!欧州には、オーケストラの指揮やらピアノ演奏のCDを売ってしまうプロ顔負けの腕前を持った政治家がゴロゴロしているのですからなあ。チンピラ時代に聞き覚えたプレスリーでは勝負にならない修羅場ですよ。ましてオペラ談義?トンデモございません。馬脚を現して蔭で大笑いされてしまいます。ああ、恥ずかしい。

■気分直しに森茂子教授の貴重な主張を続けましょう。


インドは第二次大戦以来、日本の貴重な友好国である。戦後の極東国際軍事裁判で、少数意見を代表して「日本無罪論」を主張したのはインドのパル判事だった。さらに51年のサンフランシスコ講和会議では、当時のネール首相は「尊敬する日本の国威に反する」として平和条約への調印を拒否し、翌年、日本に対する戦争賠償請求を放棄したうえで単独で平和条約を結んだ。最近は、日本語を学ぶインド人が増えている。……現在のシン首相は大蔵大臣だった91年、インドが国際債務の返済不履行という危機に直面した時に日本が国際通貨基金(IMF)より先に援助の手を差し伸べてくれたことへの感謝の気持ちを涙ぐんで語った。……インドでは、政府だけでなく一般庶民の間にも、従来の欧米偏重から東方にも目を向けてアジア諸国との交流をさらに深めたとの考えが広がっている。……2005年6月9日 朝日新聞『私の視点』より


■中華料理や焼肉ばかり食べていると、カレーの味を忘れてしまいます。カレーは薬効成分に富んだ香辛料を、絶妙に調合して作る料理です。無闇に油で炒めるだけとか、肉や臓物を炙るだけの単純な料理とはちょっと違いますなあ。今は昔で「巨人・大鵬・玉子焼き」などと言われたものですが、中には「阪神・柏戸・カレーライス」と言いたかった日本人も沢山いたのではなかろうか?そう言えば、「最後の右翼」として散った赤尾敏さんは、銀座で毎日演説しては、昼御飯は必ずカレーライスでした。毎日食べても飽きないカレーライス、メジャーリーグで活躍中のイチローさんも、毎日食しておられるとか……。数学・仏教・密教・金毘羅様・大黒様……案外知られていない「あいうえおの五十音図」までインドには随分昔からお世話になっておりますぞ。

■感謝の心と謙虚さを持っている世界最大の「民主国家」インドを忘れてはいけません。インドを放って置くと、中国と国境交渉をまとめてしまったり、ロシア・中国・インドの連携が進んでしまったり、日本人がマスコミ報道に騙されている間に、本当に日本列島は太平洋の孤島になってしまいつつあるのです。広いアジアには、親日国家・親日民族が実に沢山暮らしているのですが、マスコミも外務省もそうした場所からの声を上手に伝える工夫が足りません。アジア中が日本を嫌っているような印象を受けてしまうと、友人であるはずの国に対しても、始めから喧嘩腰になってしまう悲劇が起きないとも限りません。ご用心、ご用心。

其の弐へつづく

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