旅限無(りょげむ)

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正体不明の挟み撃ち? 其の壱

2011-10-26 16:09:06 | 外交・情勢(アジア)
■鬼が出るか蛇が出るか?世に言う「TPPお化け」を呼び出した野田ドジョウ首相は何も語らぬまま、外交日程を最優先に泥の中で眠った振りして独断専行で突っ走るつもりのようであります。隣の韓国が米国と自由貿易協定を結びそうだと言うので日本中がEPAだのFTAだの三文字用語が飛び交い始めて国会議員も含めて俄か勉強が真っ盛り。賛成派と反対派が一歩も譲らず国会も民主党内も真っ二つの様相を呈してはおりますが、余りにも情報が少ないために議論は噛み合わないまま白熱もせず、自由貿易と聞けばすぐに飛び出す「農業問題」、長過ぎた自民党政権時代の負の遺産が解決の糸口も見付からないまま、そっくりそのまま民主党政権にも継承されている恐ろしい現実が露呈してしまっているのは困ったものです。

■日本の財界に「バスに乗り遅れるな!」の声が上がった原因の米韓FTAを詳しく点検した研究者が警鐘を鳴らしている「ラチェット規定」と「ISD条項」という巧妙な罠の標的は決して日本の農業などではなさそうなのですが……。賛成派が鼻息荒く、まずは交渉に参加して日本の国益を堂々と主張して事を有利に進めよう!と空元気を出している様子を拝察しますと、かつての日米構造協議やらクリントン政権時代に仕掛けられた奇怪な高額訴訟の数々を思い出しまして、またまた日本は俎板の上のドジョウならぬ鯉にされて好き放題に料理されてしまいはせぬかと心配にはなりますなあ。


衆院議員のパソコンが外部からの攻撃を受け、コンピューターウイルスに感染し、衆院のサーバーが不正アクセスを受けていたことが25日、分かった。サーバー内には国会議員に割り当てられた電子メールのデータなどが保存され、盗み見された恐れがある。衆院は対策本部を設置し、情報流出の解明に乗り出した。防衛産業へのサイバー攻撃が相次いでいるが、同様の攻撃を受けた可能性もある。ただ、8月に被害が発覚していたものの、対応が遅れ危機管理意識の甘さを露呈した。…… 

■民主党が掲げる「政治主導」の看板が単なる素人集団の絵空事でしかなかったことは分かっているのですが、不正アクセスを知りながら1箇月間も放置していられる無神経さには呆れ果てます。自民党時代にも日米交渉の裏側で世界に名高いスパイ天国の日本らしく、米国側は盗聴やら不正アクセスの技術を駆使して交渉前にすべての情報を入手していたという恐ろしい話があったことを思い出します。もしも春から盛大に発覚しているサイバー攻撃事件の本丸がTPP交渉に関する情報収集だったとしたら、交渉のテーブルに着く前から勝負はついているようなものかも?


衆院事務局によると、ウイルス感染は8月28日頃に判明。サーバーの管理委託を受けた業者が「不正アクセスの痕跡がある」と事務局に通報した。経路を調べたところ、衆院議員3人に貸与したノートパソコンがウイルスに感染していた。議員のパソコンからサーバー自体にウイルスが転移した可能性もある。議員側がメールに添付されたウイルスを不用意に開いたことが原因とみられ、大規模な感染拡大を防ぐため、議員のパソコンとサーバー1台をネットワークから切り離したという。サーバーには衆院議員や公設秘書、事務局職員の計約2660人分のIDやパスワード、メールなどが保存されている。藤村修官房長官は25日の記者会見で「違法行為が確認されれば、警察が厳正に対処していく」と語った。衆院議院運営委員会の庶務小委員会(松野頼久委員長)は対策本部を設置し、各議員にパスワードの変更などを促す方針を決めた。
2011年10月26日(水) 産経新聞 

■日本の警察はサイバー犯罪に対して無力に等しいことは衆知の事実で、情報が1箇月間も駄々漏れになった後で「警察が厳正に対処する」などと寝言を言っているのでしょうか?でも、他に手段がないのが実態なのでしょうなあ。さてさて、国会議員や在外公館を狙ってサイバー攻撃を仕掛けているのは米国なのか?はたまたTPPは自国に対する経済的な封じ込め政策だ!と警戒感を強めているチャイナの北京政府なのか?或いは泰平の夢から醒めずに昼寝を続ける日本を戦場として両国が情報戦を展開していたらどうしましょう?残念ながら戦後の60余年を振り返れば決して米国は日本の良き同盟国ではなかった面も多多あり、ニクソン政権下でのドルショックやらバブル経済の狂乱を生んだプラザ合意、そして未だに傷が癒えないリーマン・ショックと、或る人の資産によりますと毎回毎回100兆円の国富が日本から米国に移転していたとか……。次なる100兆円の奪取方法としてTPPを使おうと悪知恵に長けた誰かさんが画策していないとも限りませんぞ。

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