旅限無(りょげむ)

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飛ぶか?テポドン 其の弐

2009-03-28 13:15:52 | 外交・情勢(アジア)
■少なくとも「核弾頭搭載」という情報はまったく無く、その可能性も皆無に近いのに、北朝鮮が長距離ミサイルを発射するのが確実になったとて、急に日本の政府内が騒々しくなっているようです。唯一、標的とされている米国では、ポンコツ・ミサイルが領土内には到達しないとタカを括っているのか、北朝鮮のミサイルよりも恐ろしいサブプライム・ローンという大量破壊サイバー兵器の連鎖的爆発が起こってしまったことの方が、よほど深刻な問題だからなのか、今のところはクリントン国務長官の自制を求めるコメント程度で済ませているようです。

■確かに米国海軍のイージス艦は日本海に展開中ですが、その目的は監視と観測の範囲に留まるようで、グアム島の空軍基地に爆撃機が臨戦態勢を採ったというような情報は無いようです。日本はミサイルが上空を通過すると想定される東北地方の秋田県と岩手県に迎撃ミサイルを配置すると同時に東京都を囲む三箇所にも迎撃ミサイル部隊を配置するとの事ですが、これも万が一、ミサイルが予定のコースを外れて落下した場合に備えての事だそうで、決して日本列島に向けてのミサイル発射を断固として阻止する!という意思表示ではないようです。


社民党の福島瑞穂党首は26日の参院予算委員会で、北朝鮮の弾道ミサイルが日本領内に落下した場合、迎撃する日本政府の方針について、「迎撃ミサイルが目標に当たったら残骸が落ちる。当たらなくともミサイルは向こう(国外)へ行ってしまう。国内外の市民に被害はないといえるのか」と激しい批判を展開した。

■海上輸送の動脈が通るソマリア沖での海賊退治にも大反対!を連呼している変わった政党の事ですから、この程度のピント外れの発言をしても誰も驚かないでしょう。ちょっと前まで北朝鮮による拉致犯罪についても、平壌工作に同調して「濡れ衣だ!」と言い張っていた政党でもありますからなあ。発射に成功したらパチンコ文化人に選ばれた元党首の土井さんあたりは「祝電」の一本くらいは打ちそうですなあ。大韓航空機爆破テロの時にも、韓国による自作自演説を本気で信じていたような政党ですから、発射実験の現場に招待されても不思議ではないでしょう。


中曽根弘文外相は「わが国民の生命財産に被害が及ぶ恐れがあるならば迎撃は当然だ」と答弁。浜田靖一防衛相も「そのまま落ちてきた方が被害は大きい。宇宙空間で当たれば燃え尽きてほとんど落ちてこない。まず破壊することで規模を小さくするのが重要だ」と強調し、理解を求めた。しかし、福島氏は、「当たらない場合は国益を侵害し、当たった場合でも単なる人工衛星だったらどうなるのか」などと迎撃批判を延々と続け、野党席からも失笑が漏れた。
3月26日 産経新聞

■どうして「当らない場合は国益を侵害」する事になるのでしょう?福島さんの事ですから「百発百中」の迎撃システムを開発しろ!と言っているとも思えませんが……。たとえ「単なる人工衛星」であったとしても、日本の何処かに危険な燃料を満載した大型ミサイルが落下して来た場合の「国益の侵害」の方はまったく考えない政治家が、今の国会には棲息しているという事実はよく覚えておきましょう。それにしましても、「平和」や「核兵器廃絶」を主張している政党が、核兵器の拡散や核恫喝の問題に関してこれほどの無知を晒しているようでは、本当に万が一の被害が出るかも?と心配になってしまいますなあ。何せ、この政党の前身だった社会党の党首が総理大臣になった時には阪神淡路の大震災が起こるわ、東京都下ではオウム真理教の地下鉄サリン・テロが起こったのですからなあ。

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