旅限無(りょげむ)

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ダライ・ラマ法王が訪米 其の弐

2010-02-06 17:19:52 | チベットもの
■ダライ・ラマ14世とオバマ大統領の会見計画は、昨年、一度立ち消えになった経緯があります。

■日本で半日、北京で4日を過ごした就任間もなかったオバマ大統領は、日本では鳩山サセテイタダク首相に騙され、北京では人権問題は封じられ、あまり成果のないままシンガポールの国際会議に出席したのでした。就任演説からチャコのプラハでの演説に続く名調子を期待したのに、日本での演説は新政権の出方も分からないこともあり、太平洋はアメリカの海だぞ!と念を押すだけのものだった印象しか残りませんでしたなあ。


会談は11月下旬から12月末までの間、ワシントンで行われる見通しだ。米政府は、ジャレット大統領上級顧問、チベット問題担当のオテロ国務次官を9月中旬、インド・ダラムサラの亡命政府に派遣し、「オバマ政権のチベット問題に対する新たな取り組み」(同特使)を説明するとともに、オバマ大統領が訪中終了後にダライ・ラマと会談することで合意していた。

■2009年1月20日に就任して10カ月後、前政権のアホな経済政策とリーマン・ショックで国内の経済財政問題に頭を悩ませるオバマ新大統領としては、新たな市場であり米国債の最大の引き受け手であるチャイナを怒らせるわけには行かない台所事情がありましたから、人権問題を棚上げして親善友好ムードを演出する必要があったのでしょう。半世紀以上も耐え忍んでいるチベット亡命政府としては、今更、米国大統領に慌てて会見しようとじたばたする必要は無かったのでしょうなあ。


今回の首都訪問中、オバマ大統領がダライ・ラマとの会談を見送ったことでは、議会関係者を中心に強い不満が出ていた。国務省のケリー報道官は5日、定例会見で、「対中政策とは別個の問題」と述べ、会談の見送りが、訪中を控えて対中関係に配慮した結果との見方に反論した。オバマ大統領は上院議員当時にダライ・ラマと会談しているが、大統領就任後の会談はこれまで実現していない。ケリー報道官は「相互に合意した時期に会談する」として、今後の会談実現に含みを持たせていた。ダライ・ラマは6日、米議会で、故ラントス元下院議員を記念して創設された「ラントス人権賞」を授与される。
2009年10月6日 産経新聞

■こうしてチャイナに貸しを作った形にしておいて、いよいよ外交政策で得点を稼ぐ必要が出て来たオバマ大統領は、手始めにチャイナの人権問題で弾みを付けようと思っているのかも知れません。降って湧いたようなグーグル検閲問題も、ちょっとして露払いの役割を仰せ付かったのかも知れません。何を言っても「内政干渉だ!」と聞く耳持たぬ相手ですから、米国企業の問題ならば立派な国際問題になりますからなあ。
 
 
訪米中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は(10月)8日、CNNテレビとのインタビューで、オバマ大統領との会談が延期されたことについて「(胡錦濤)中国国家主席に恥をかかせないようにするためだ」と述べた。このため「全く失望していない」と言い切った。……「ただ会談を行って写真だけ撮るよりも(会談を延期してでも)より真剣な協議を行う方がいい」と指摘。12月か来年1月に改めて訪米し、オバマ大統領と会談すると述べた。
2009年10月9日 CNN

■こういう前段階があっての会談ですから、北京政府が何を言おうと粛々と約束が履行されるのは間違いないと思われます。米国としても大統領が何処の誰と会おうと会うまいと独自に判断するべきことで、他国にとやかく言われるのはまったくの「内政干渉」であります。こうした当たり前の政治姿勢がひどく羨ましく見えるのは何故でしょう?
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